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働いてる人の年金受給額って、どれくらい?

LIMO / 2020年7月29日 18時45分

働いてる人の年金受給額って、どれくらい?

働いてる人の年金受給額って、どれくらい?

老後資金のことを考えたとき、まず頭をよぎるのが「年金ってどれくらいもらえるんだろう」ということではないでしょうか。ねんきん定期便を確認するなどして、自分が将来もらえる年金額についてある程度把握しておきたいですね。

ここでは、2018年度のみんなの年金受給額と、在職中の人の年金受給額をみていきます。在職中ですと、支給停止になってしまう場合もあります。こちらも詳しくみていきましょう。

いくつになっても働きたい…でも年金はどうなるの?

在職中ですと、年金額が一部または全部が支給停止されてしまう場合もあります。詳しくみていきましょう。

対象となる人と基準

70歳未満の人で会社に就職し厚生年金保険に加入した場合

70歳以上の人で厚生年金保険の適用事業所に勤めている場合

上記のような方は、年金の一部、または全部が支給停止になる可能性があります(これを「在職老齢年金」といいます)。その基準ですが、

総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が28万円に達するまでは全額支給

28万円を上回る場合は、総報酬月額相当額の増加2に対し、年金額1を停止

総報酬月額相当額が47万円を超える場合は、さらに総報酬月額相当額が増加した分だけ年金を支給停止

(ただ、この「28万円」は賃金や物価の変更に応じて毎年見直されています)

「28万円」が基準額ということは分かりました。まず用語から確認してみます。

「基本月額」・・・加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額

「総報酬月額相当額」・・・(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

「標準報酬月額」・・・基本給のほか役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えた報酬から、臨時で支払われるものや3カ月を超える期間ごとに受ける賞与などを除いた額で考えます。報酬月額を1等級(8万8,000円)から31等級(62万円)までの31等級に分け、その等級に該当する金額を「標準報酬月額」といいます。原則、年一で見直されます。

「標準報酬月額」はねんきん定期便で確認できますので、やはりねんきん定期便は確認必須な書類ですね。

そして、まだここでは終わりません。年齢により計算方法も異なります。前述した「28万円を上回る場合は、総報酬月額相当額の増加2に対し、年金額1を停止」の具体的な計算方法です。

(詳しくは、日本年金機構「在職中の年金」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20140421.html)参照)。

60~64歳の場合

総報酬月額相当額(①)と基本月額(②)の合計額が28万円以下であれば、全額支給

①が47万円以下、②が28万円以下→基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2

①が48万円以上、②が28万円以下→基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

①が47万円以下、②が29万円以上→基本月額-総報酬月額相当額÷2

①が48万円以上、②が29万円以上→基本月額-{47万円÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

65~69歳の場合

総報酬月額相当額(①)と基本月額(②)の合計が47万円以下の場合→全額支給

①と②の合計が48万円以上→基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

64歳までは28万円以下、65歳以上は47万円以下であれば全額支給となります。「それ以上になりそうだな…」という方は、このまま仕事を続けた方が良いのか、それとも辞めるべきか、または働き方を変えてみるなど、前もって考えておくと良いでしょう。

昨今、フリーランスで働き続ける人も増えています。業務委託というかたちで働き続けるのであれば、年金カットを気にしなくて済みます。とはいえ、確定申告などの書類仕事が増えたり、雇用保険がなかったり…デメリットもありますので、ご自身の状況を踏まえて様々な選択肢を考えてみると良いでしょう。

法改正も頭の片隅に…

頭がこんがらがりそうですが、法律の改正があることも頭の片隅に入れておきましょう。給与が高い人に関係がありそうですが、まず「厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定」があります。

「厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定」・・・2020年9月から、標準報酬月額の上限等級の上に1等級追加されます(表参照)。

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拡大する(/mwimgs/f/2/-/img_f285c817ede5cd9ff455cec39b29b3c6167109.png)

(出典:日本年金機構)

また在職老齢年金についても、改正されています。2020年6月5日に公布された「年金制度改正法(令和2年法律第40号)」によると、

60~64歳の在職老齢年金制度では、前述したように基準額は28万円でしたが、47万円に引き上げられるようです(2022年4月施行)。

つまり、65歳以上の人と同じ基準額になるということですね。

さらに、年金の受給開始時期についても改正されています。現行制度では、60~70歳の間で自由に受給開始時期を決められます。ただ、65歳より早く受給開始した場合(繰上げ受給)、年金月額は最大30%減額。65歳より後に受給開始(繰下げ受給)した場合は、年金月額は最大42%増額します。

今回の改正は

受給開始時期の上限を70歳から75歳に引き上げる(2022年4月施行)

ということです。75歳から受給を開始した場合は、年金月額は84%の増額となります。詳しくは以下の表「繰上げ・繰下げによる減額・増額率」を参考にしてみてください。

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拡大する(/mwimgs/3/3/-/img_33dd7f91dbd3e62fe0b577360b6dc547216979.png)

(出典:厚生労働省)

働きながら年金受給を考えている人は、繰下げ・繰上げどちらをするにしても注意が必要です。

繰下げ受給(65歳より後に受給開始)では、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額が48万円以上の場合、年金額はカットされますので、その分については増額率が適用されません。一方で繰上げ受給(65歳より早く受給開始)の場合も、そもそも年金額は減額され、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額が29万円以上となれば、さらに減額…となってしまいます。

受け取る時期やいつまで働くかで年金受給額も異なってきそうですね。年金と仕事、前もって考えていきたいものです。

みんなの厚生年金受給額、いくら?

さて本題ですが、厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報」から平均年金月額をみてみましょう。

2018年度末の厚生年金保険の年齢別老齢年金受給権者平均年金月額

男性

60-64歳:9万2,471円

65-69歳:16万532円

70-74歳:16万4,391円

75-79歳:17万4,983円

80-84歳:18万9,296円

85-89歳:20万1,422円

90歳以上:20万8,477円

女性

60-64歳:5万715円

65-69歳:10万6,251円

70-74歳:10万6,249円

75-79歳:10万7,997円

80-84歳:11万1,513円

85-89歳:11万5,128円

90歳以上:11万3,277円

(平均年金月額には基礎年金月額を含む)

男性は9万~20万円ほど、女性は5万~11万円ほどとなっています。男女差がありますが、男性でも20万円以上に達しているのは85歳以上となっています。医療費などもかかってくる時期ですので、これでは心もとないと感じる方が多いかもしれませんね。

仕事しながら年金もらってる人の、年金受給額はどれくらい?

在職者の年金受給額についてもみていきましょう。

在職者の平均年金月額

男性

60-64歳:8万7,355円

65-69歳:16万2,351円

70歳以上:17万9,096円

女性

60-64歳:4万8,846円

65-69歳:11万1,203円

70歳以上:13万221円

となっています。在職中の人の平均年金月額はやはり少なく感じますね。男性は8万~17万円、女性は4万~13万円ほどとなっています。

まとめにかえて

2019年話題となった、金融庁の「老後2,000万円問題」を振り返ってみると、高齢夫婦(夫65歳以上妻60歳以上)の毎月の収入(主に年金収入)は20万9,000円。これに対して支出は26万4,000円となっており、その差額の毎月の赤字が5万5,000円となっています。これが仮に老後30年間続くとなると、

5万5,000円×12カ月×30年=1,980万円

となり、約2,000万円となります。今回の平均年金受給月額は20万円以下となっている年齢もあります。そのため、老後資金として約2,000万円、もしくはそれ以上必要となる可能性があります。一朝一夕に用意できるものではありませんので、早めの準備が大切といえるでしょう。

参考

「厚生年金保険・国民年金事業年報」(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/)厚生労働省
「在職中の年金」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20140421.html)日本年金機構
「厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定」(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202007/072002.html)日本年金機構
「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html)厚生労働省
『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」』(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)金融庁
「50代の貯蓄額と将来の年金受給額は、どれくらい?」(https://limo.media/articles/-/18009)LIMO
「55歳の人は、どれくらい年金をもらえる?」(https://limo.media/articles/-/17791)LIMO

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