日韓に重い課題。米中対立が極まったら中国との経済関係を捨てられるか?
LIMO / 2020年7月29日 20時0分
日韓に重い課題。米中対立が極まったら中国との経済関係を捨てられるか?
米中対立が深まるなか、中国政府は27日、四川省成都にある米国領事館を閉鎖したと発表した。27日現在、中国政府の担当者らが総領事館内に立ち入り、撤収状況を確認しているとみられる。
それに先立つ今月21日、米国のポンペオ国務長官はスパイ行為や知的財産侵害の拠点になっているとして、南部テキサス州ヒューストンの中国領事館の閉鎖を要求し、ホワイトハウスは24日までに同領事館の閉鎖を発表した。
局地的軍事衝突やブロック経済化の恐れ
今後、どこまで米中対立は深まるのだろうか。それが武力を含む全面的な戦争に発展する現実的可能性は低いにしても、南シナ海や東シナ海などではこれまで以上に緊張が高まっている。
尖閣諸島周辺では100日以上連続で中国海警局の船が確認され、最近は中国が日本に自らの領海に立ち入らないよう要求したことが明らかになった。ここまで踏み込んだ要求をすることはこれまで確認されていない。
いずれは偶発的な衝突がきっかけとなり、極地的かつ一時的にも軍事衝突に発展する恐れはある。軍事衝突といっても、“大規模かつ長期的な”ものと“限定的かつ短期的な”ものでは発生可能性が大きく異なる。
しかし、米中対立の長期化は、大規模な軍事衝突以上にさらなる貿易戦争、そして相互のブロック経済化をもたらす可能性がある。
これは、米中それぞれがいつどの瞬間で経済依存を放棄するかによるが、香港国家安全維持法にアフリカや中東を中心に世界52カ国が支持に回ったように(注)、中国が独自の経済圏を維持・拡大できる空間は以前より広がっている。
(注)これには反政府活動を抱える国々、一帯一路によって多額の資金提供を受けている国々も多く含まれており、また各国特有の事情も影響していると見られ、一概に52カ国が“親中、反米”というわけではない。
経済二極化で難しい舵取りを迫られる日韓
現在、オーストラリアや英国はこれまで以上に中国への警戒心を高めており、現在の米中対立は経済領域での二極化、中国圏 vs. 自由民主主義圏へと発展する可能性もある。
仮に、そういう世界が訪れるならば、中国と同じ東アジアにある日本と韓国はこれまで以上に難しい舵取りを余儀なくされる。
上記の国家安全維持法において、日本は不支持に回ったが、韓国はそのどちらにも回らなかった。その背景には、安全保障上は米国の同盟国であっても、中国との深い経済関係から不支持にまで踏み切れなかった可能性が想像できる。
日本としても、国家安全維持法や尖閣諸島での問題で中国を非難できたとしても、経済関係を考えると必要以上の外交関係悪化は避けたいのが本音だろう。
政治を取るか経済を取るか、米国を取るか中国を取るか、もっと言えば、どこでバランスラインを引くか、これは日本にも韓国にも共通した課題だ。
そして、今後さらに米中関係が悪化し、それがニューノーマル(新常態)となれば、東アジアの日韓にとってはより重い課題となる。
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