コロナ禍での妊娠生活で覚悟したこと~お金で”もしものこと”をカバーする必要も
LIMO / 2020年8月2日 11時0分
コロナ禍での妊娠生活で覚悟したこと~お金で”もしものこと”をカバーする必要も
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止に努める生活は、なかなか終わりが見えません。ワクチンや治療薬がまだ開発の途上にあり、妊婦や胎児への感染リスクが明確に判明していない今、妊娠を望んでいるものの不妊治療を断念している夫婦も少なくないでしょう。
一方、今後も続くコロナとの共存生活の中で自ら望んで妊娠した人もいます。今、妊娠するとどのような生活を送ることになるのでしょうか。先日、自然妊娠で妊娠が確定し、現在妊婦生活を送っている筆者と筆者の周囲の実例をもとに紹介します。
里帰り出産ができないリスクも承知しておく
現在、2人目の妊娠で妊娠4カ月目を迎えている筆者。東北地方の実家への車移動での里帰り出産を予定していますが、地元の病院に連絡したところ、「こちらに帰省してから最低でも2週間は自宅待機していただき、発熱などの症状がないことが確認できた上で初診となります」と言われました。そして「ただ、今後のコロナの状況次第では里帰り出産の受け入れができない可能性もあります」とも。
そのため、通常よりも2週間以上も長い里帰りとなり、さらには自宅近くの病院で出産する可能性も考慮しなければいけません。3カ月弱里帰り出産する場合と里帰り出産ができない場合の2パターンを想定し、もしもの時の陣痛タクシーや産後のベビーシッターサービス利用など、さまざまな情報収集や費用も含めた準備、スケジュール確認を行っています。
また現在、ほとんどの地域で通常であれば行われる両親学級やマタニティヨガといったイベントは感染予防のためにすべて中止。その代わり、動画で知識や情報が得られるようになっています。また、顔を見て話ができる助産師や保健師への相談も電話対応となっていることも。
筆者は2人目なのでそこまで大きな影響はありません。しかし、もしこれが初めての妊娠だったらと考えると、妊娠・出産の不安や疑問を吐露する機会や同じ地域に住む妊婦さんとの交流ができる場がないことで、通常の妊娠よりも孤独感が増す妊娠生活となっているのではないかと感じています。
夫婦ともに完全在宅勤務に切り替えて家庭内感染も防止
また、現在1人目の妊娠5カ月目をまもなく迎えようとしている筆者の友人Aは、コロナ禍での妊娠を決意した大きな決め手が「夫婦ともに完全在宅勤務となったことだった」と振り返っています。
Aは現在30代後半。結婚してから数年もの間、妊娠を望んで不妊治療を行っていました。しかし今春の新型コロナ感染拡大が本格化する前の3月初めに、不妊治療の一時中断を決断。年齢のこともあり、「コロナが落ち着いたら不妊治療を再開しよう」という選択にっは時間的余裕がないと感じていました。そのため、緊急事態宣言下でも自然妊娠を望んでいたところ、無事に妊娠が確定したのです。
A夫婦はともに都内に通勤する会社員のため、満員電車や職場でのコロナ感染はとても不安です。そのため安心した妊娠生活を送るために夫婦ともに妊娠前から会社側にお願いをし、2人とも完全在宅勤務としてもらったそうです。
また、友人との接触や外での食事、買い物、お出かけなどの頻度も極力なくしています。「多少は支出が増えても感染リスクには代えられない」とし、ネットスーパーや宅配サービス、デリバリーをフル活用しているのだとか。
通常の妊娠生活に比べると、金銭的負担は大きくなっているようです。しかし、A夫婦を見ているとこのコロナ禍での妊娠についてのリスクも承知しているので、金銭面でカバーできることはカバーするくらいの覚悟は必要なのだとも感じます。
コロナ禍でも妊娠を望むか、様子を見るかに正解はない
先日、政府は新型コロナウイルスの感染予防ワクチンを、医療従事者や高齢者とともに妊婦にも優先的に接種する案を分科会に示しました。現在、諸外国を含めたデータでは、妊娠中に新型コロナウイルスに罹ると重症化するリスクが高いことが報告されているからです。
しかし、子どもがなかなかできない人や年齢的な焦りを感じている人にとってはコロナ禍であろうとなかろうと妊娠したい気持ちに変わりはないもの。
実際にnatural tech(ナチュラルテック)株式会社が妊活中・不妊治療中の女性を対象に行った調査によると、「コロナ禍でも妊活を延期したくない」と回答した人は74.3%という結果に。その理由として最も多かったのが「年齢や体の状態を考慮すると、延期したくなかったから」でした。
人によっては「母子ともにコロナに感染するかもしれないのにこんな時に妊娠するなんて」「医療崩壊が起きたらどうするの」といった感覚を持つ人もいるかもしれません。
しかし、他人がどう言おうと、今このコロナ禍で妊娠すべきかどうかは、自分や家族の中で正解を見つけるしかありません。ただ言えることは、今妊娠する上では多くの知識や情報を持ち、妊娠、出産する上でのリスクも理解し、金銭面も含めたさまざまな準備をすることが必要になってくるということでしょう。
【参考資料】
「コロナワクチン、医療従事者や妊婦など優先 政府が提案(https://www.asahi.com/articles/ASN7Q6G1CN7QULBJ00L.html)」(朝日新聞 DIGITAL、2020年7月22日付)
「Morbidity and Mortality Weekly Report - June 26,2020(https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6925a1.htm?s_cid=mm6925a1_w)(アメリカで新型コロナに罹った約9万人の15歳から44歳までの女性を解析した報告)」(米国CDC、原文英語)
「コロナ禍における妊活・妊娠のライフスタイル変化を調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000042157.html)」(natural tech株式会社、PR TIMES 2020年7月30日)
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