「生涯年収」がもっとも高いのは、公務員?会社員?

LIMO / 2020年7月31日 21時15分

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「生涯年収」がもっとも高いのは、公務員?会社員?

生涯年収とは、就職してから退職するまでに得られる給料の総額です。「終身雇用制度は崩壊した」といわれる昨今ですが、「大手企業」や「転職なし」のほうが生涯年収は高くなりやすいです。会社員と公務員でも傾向は異なり、学歴や性別、地域などの要因にも影響を受けます。

今回は生涯年収をさまざまな視点から検証します。もっとも多くの生涯年収が得られるのは、どんな属性の人なのでしょうか。

国家公務員と地方公務員の生涯年収

はじめに、公務員の生涯年収をみていきましょう。

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国家公務員と地方公務員の生涯年収(人事院と総務省の資料をもとに編集部作成)

ここで紹介する国家公務員の生涯年収は、人事院が作成した「平成31年国家公務員給与等実態調査」(https://www.jinji.go.jp/kankoku/kokkou/31kokkou.html)のうち「行政職俸給表(-)」の平均給与月額をもとに推計したものです。60歳退職を前提としており、諸手当やボーナスを含みますが退職金は含みません。また、男女別データはありません。

一方、地方公務員の生涯年収は、総務省の「平成30年地方公務員給与の実態」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/h30_kyuuyo_1.html)に記載された「全地方公共団体の一般行政職」の平均給料月額から60歳退職を前提として推計したものです。ボーナスは含みますが、諸手当および退職金は含みません。

公務員で生涯年収がもっとも高いのは大卒の国家公務員で、その金額は2億6,000万円を突破しています。もっとも低いのは中学卒の女性地方公務員で、1億7,400万円となっています。中学卒を除くと学歴差や男女差が比較的小さいことが公務員の特徴といえるでしょう。

会社員の生涯年収

つぎに、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の「ユースフル労働統計2019 ―労働統計加工指標集―」から、会社員の生涯年収を紹介します。

この資料では、会社員を3つのタイプに分けて分析しています。

「転職なし・フルタイム正社員・60歳定年」型・・・60歳まで同じ企業に勤めるケース

「転職あり・フルタイム正社員・60歳定年」型・・・同じ規模の企業に転職し、失業期間がないケース

「フルタイム非正社員・60歳まで」型・・・学校卒業後60歳までフルタイムの非正社員を続けるケース

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学歴・就業形態別の生涯年収(労働政策研究・研修機構の資料をもとに編集部作成)

会社員でもっとも生涯年収が高いのは、大学・大学院卒の「転職なし・フルタイム正社員」の男性で、金額は2億8,970万円です。もっとも低いのは「フルタイム非正社員」の女性で、1億~1億2,000万円程度となっています。このデータには退職金を含みません。

会社員の生涯年収では学歴や性別、正社員かどうかによる格差が際立っています。

会社員の企業規模別の生涯年収

会社員の生涯年収に大きな影響を与える要因の一つに、企業規模があります。企業規模を下記の3つに分類して、学歴別男女別にそれぞれの生涯年収を比較します。

会社規模1,000人以上

会社規模100~999人

会社規模10~99人

大学・大学院卒の生涯年収

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企業規模・就業形態別の生涯年収 大学・大学院卒(労働政策研究・研修機構の資料をもとに編集部作成)

大学・大学院卒では就業形態や性別によらず大企業に勤める人ほど生涯年収が高くなっています。もっとも生涯年収が高いのは企業規模1,000人以上の「フルタイム正社員」の男性で、金額は3億円を超えています。もっとも低いのは企業規模10~99人の「フルタイム非正社員」の女性で、1億6,470万円となっています。

高校卒の生涯年収

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企業規模・就業形態別の生涯年収 高校卒(労働政策研究・研修機構の資料をもとに編集部作成)

高校卒の場合も企業規模が大きいほど生涯年収が上がりますが、もっとも生涯年収が多い企業規模1,000人以上の「フルタイム正社員」男性でも3億円に届きません。高校卒女性の「フルタイム非正社員」においては企業規模による違いが非常に小さくなっています。

年収の地域間格差

年収は、都道府県や地域によっても異なります。「ユースフル労働統計2019 ―労働統計加工指標集―」(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/index.html)をもとに地域ごとの生涯年収をみていきます。

年収の全国平均を100とした場合、各地域の指数は以下のグラフのようになります。

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地域間賃金格差指数(労働政策研究・研修機構の資料をもとに編集部作成)

年収が高い地域は南関東と近畿、東海で、北海道・東北がもっとも低くなっています。都道府県別にみると、男性でもっとも高いのは東京の124.5、もっとも低いのは青森の77.5です。一方、女性でもっとも高いのは東京の121.5、もっとも低いのは宮崎の80.1です。

生涯年収が多いのは「大企業のフルタイム正社員」

単純な比較はできないものの、生涯年収がもっとも高いのは大学・大学院卒で大都市の大企業に勤める男性のフルタイム正社員となりました。民間企業では学歴差や男女差が大きく、企業規模による違いも目立ちます。一方、公務員は大学・大学院卒以外の人や女性にとって生涯年収が高くなりやすい職業だといえそうです。

今回は転職の影響がほぼありません。失業期間や退職金が考慮されていない点に注意する必要があります。

参考

「平成31年国家公務員給与等実態調査の結果」(https://www.jinji.go.jp/kankoku/kokkou/31kokkou.html)人事院
「平成30年地方公務員給与の実態」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/h30_kyuuyo_1.html)総務省
「ユースフル労働統計2019 ―労働統計加工指標集―」(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/index.html)独立行政法人 労働政策研究・研修機構

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