貯蓄が「できる家庭」と「できない家庭」は何が違う?~ダブルインカムが陥りがちなワナとは~
LIMO / 2020年8月3日 11時55分
貯蓄が「できる家庭」と「できない家庭」は何が違う?~ダブルインカムが陥りがちなワナとは~
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、私たちの生活に大きな影響を与えています。先行きが見えない今こそ、不測の事態に備えてしっかりと貯蓄を増やしておきたいと考える人も多いのではないでしょうか。
なかでも、決して収入が低いわけではなく、むしろダブルインカムなのに思ったようにお金が貯まらない…と悩んでいる共働き世帯の場合、「貯蓄ができない家庭」になってしまっている何かしらの原因があるかもしれませんね。
今回は、貯蓄に関する最新のデータについて触れながら、これを機に家計を見直す参考にしたい、貯蓄が「できる家庭」になるためのヒントについてご紹介します。
2人以上世帯の平均貯蓄額は1755万円
総務省が2020年5月に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上世帯)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2019_gai2.pdf)」によると、1世帯あたりの貯蓄現在高は1755万円で、前年と比べて3万円(0.2%)増加しました。
大きい数値の影響を受けやすい平均値よりも実態に近いと言われる中央値(数値を低い方から順番に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する値)は、貯蓄保有世帯で1033万円、貯蓄が0の世帯を含めたと967万円となっています。
また、2人以上世帯の55.6%を占める勤労者世帯についてみてみると、平均は1376万円で、こちらも前年に比べて4.2%増加しています。また、貯蓄保有世帯の中央値は801万円、貯蓄が0の世帯を含めた中央値は751万円でした。
平均値だけ見ると「みんな結構貯めているんだ」と感じるかもしれませんが、貯蓄現在高の階級別世帯分布をみると、平均の1755万円を下回る世帯が67.9%(前年は67.7%)となっており、全世帯の約3分の2を占めています。
一部の高い数値によって平均が引き上げられているものの、全体でみると低い階級に偏った分布となっており、貯蓄が0ではない世帯の中でも「100万円未満」が全体の10.7%と最も多いことから、なかなか貯蓄ができていない家庭も少なくない実状がうかがえます。
貯蓄が「できない家庭」になっている原因は?
例えば、子供の進学や一人暮らしなどにどうしてもお金がかかる時期であれば、思うように貯蓄が増やせなくてもある程度は仕方がないかもしれません。
しかし、「お金の貯め時」にもかかわらず、「共働きなのに貯蓄が増えない」「収入は上がっているのに貯金にまわすお金が増やせない」と悩んでいる場合は、何か理由があると考えるべきでしょう。
その原因を分析して家計を見直すことで、それぞれの家庭に合った方法で貯蓄に取り組めるようになるはずです。
共働きだからこそかかる「経費」
夫婦それぞれに仕事用のスーツや靴が必要になる共働き家庭は、身なりを整えるのにかかるお金が専業主婦・主夫家庭に比べて多くなる傾向があります。さらに、年齢が上がって役職に就くようになった時、立場にふさわしいきちんとしたものを身に着けようとすれば、そのための出費もさらに膨らんでいくでしょう。
その一方で、仕事が忙しくて家事や育児に手が回らないとき、家事代行やベビーシッターを依頼する費用もかかります。帰宅後に夕食の準備をする元気や時間がなくて、外食に出かけたりデリバリーサービスを利用したりする日が多くなりがちかもしれません。
このように、忙しい共働き世帯だからこそ、家事や育児のアウトソーシング代といった項目が家計を圧迫していて、貯蓄にまわすお金が増やせない、という家庭も少なくないようです。
仕事が忙しく、疲れているときに無理をして家事・育児のすべてを自力でやりきろうとすることは心身の負担になりますし、外部に委託するサービスを利用することでストレスを減らして日々を過ごすのは合理的かつ大切なことです。
ただし、ダブルインカムだからといって気を抜かず、「外食費がかさんでいるな」と感じたら夫婦のうち早く帰宅できたほうがなるべく食事を用意するなど、収支のメリハリを意識していくことが貯蓄を増やすカギになります。
夫婦で財布が別々だと、お互いの懐事情が見えない
夫婦それぞれの収入や支出の管理は各自で行い、「家賃と光熱費は夫の財布(収入)から」「食費や雑費は妻の財布から」などと取り決めている共働き家庭も多いでしょう。
そうして、お互いに「相手がそれなりに貯めてくれているはず」と油断していて、毎月自由に使える金額を多めに設定していた場合、何年も経った後にふたを開けてみたら全く貯蓄がなかった、という家庭もあるようです。
「貯蓄用」の口座や、勤務先の財形貯蓄など、長いスパンで残高をみていく必要があるものについては、夫婦で情報を共有しておく、という発想を取り入れてみるとよいかもしれませんね。
まとめにかえて
夫婦の財布を別々に管理していて「お互いに貯蓄に対する意識が低かったね」と気づいたら、共同の財布に毎月一定額をそれぞれ入金して、ふたりで管理するという方法もおすすめです。互いの懐事情を知られることに抵抗があったとしても、最低限の貯蓄を確保しつつ、家計やお金に関する意識を共有できます。
「うちはどうして思うように貯蓄が増やせないんだろう」と感じたら、ぜひ夫婦ふたりで、共働きならではの出費や日頃の生活スタイルを振り返る機会を作ってみましょう。
「この部分を見直して、一緒に貯蓄を増やしていこう」と、気持ちを新たに取り組んでいくきっかけになるかもしれません。お金に対する意識だけではなく、夫婦の信頼関係も高まるはずですよ。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参考】
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)より『貯蓄の状況』概況(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2019_gai2.pdf)」総務省
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