老後資金の準備、知らなくて損してるかもしれない2つのこと
LIMO / 2020年8月16日 20時25分
老後資金の準備、知らなくて損してるかもしれない2つのこと
コロナ禍で家計の見直しをしなければ…と考えている家庭も少なくないのではないでしょうか? 経済への影響が長引くことが懸念される中、家計をダウンサイジングしながら将来に備えることも大切です。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年)」によると、8割超の人が自分の老後生活に不安を抱えていて、「公的年金では不十分」だと回答した人は82.8%となっています(対象:全国の18〜69歳の男女、4,014サンプル)。
ところが、厚生労働省が発表した「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」によれば、2018年(平成30年)3月末時点では、20歳以上65歳未満で企業年金・個人年金に加入している人の割合は25.0%と、実際に準備している人は意外に少ない結果になっています。
コロナの収束時期を予想することはできませんが、確実に老後は近づいてきます。そこで今回は、老後資金を賢く準備するうえで知っておきたいポイント2つと、そのポイントを外さないために活用を検討したい制度を紹介します。
老後資金準備のポイント1:なぜ「短期より長期」なのか?
たとえば、40年間毎月1万円ずつ積み立てて3%のリターンで運用したとします。すると、投資元本は1万円×12カ月×40年で480万円。最終積立金額は約926万円になります。
一方、期間を半分の20年間、金額は倍の2万円ずつ3%のリターンで運用したとすると、投資元本は480万円で同じですが、最終積立金額は約657万円になり、269万円ほど積立金額に差が出ます。
投資で運用した利益を受け取らずに、再び投資元本に含めて運用を行うことを複利といい、複利は回数を重ねると次第に投資元本が増えていきます。つまり、期間が長ければ長いほど、複利効果は大きな力を発揮することになるのです。
先延ばしにしてしまう人は、後から始めたとしても金額を増やしさえすれば、追いつけるだろうと考えてしまいがちです。でも実際は少額であっても早くから始めた人には、なかなか追いつくことはできません。
注1:上記はシミュレーションであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。また、手数料・税金等は考慮していません。
老後資金準備のポイント2:意外にかかる税金
長期で資産運用する場合、重要なのはコストをシビアに考えることです。コストといえば、まず手数料が思いつきますが、実は意外に高くつくけれども忘れてしまいがちなのが、税金です。
金融商品などの分配金や売却益には所得税・住民税などで20.315%の税金がかかります。たとえば、100万円の利益が出た場合、100万円に20.315%課税されるので、税金は203,150円。その結果、実質の手取り利益は796,850円になります。このように、税金は意外と負担になるのです。
2つのポイントを外さないよう活用したい制度とは?
ところで、個人型確定拠出年金の「iDeCo(イデコ)」について聞いたことがあるでしょうか? QUICK資産運用研究所「個人の資産形成に関する意識調査」によると、7割の方がiDeCoを知りませんでした(対象:全国の20~74歳の男女、5,075サンプル)。
iDeCoは私的年金制度
iDeCoは2017年1月に登場し、まだまだ世間一般の認知度は低いですが、老後資金を検討するうえでぜひ押さえておきたい仕組みです。ざっくり言うと、iDeCoとは、毎月または月ごとに決まった金額を積み立てて、そのお金を自分で運用し、老後資金を準備することができる私的年金制度です。
運用商品は国内外の株式・債券・REITや金などと豊富なラインナップから選ぶことができます。また、元本割れが心配という方には、元本確保型の商品も用意されています。
加入対象者は、20~60歳までの国民保険・厚生年金に加入しているほとんどの方が対象で、加入者ごとに月々の掛け金限度額と年間限度額が決まっています。
注2:勤務先の規約によって加入できない場合もあります。
iDeCoの3つの税制メリット
iDeCoの最大メリットは、積立時・運用時・受け取り時に税制優遇が受けられる点です。
① 積立時
従来の個人年金にも税制優遇はありますが、控除額は所得税が最高40,000円、住民税が28,000円です。iDeCoの場合は、掛け金が全額控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。
② 運用時
通常、金融商品などで運用した場合、利益に課税されます(源泉分離課税20.315%)。iDeCoの場合は、運用で得た配当金や利息、売却益は全額非課税になるため、すべての運用益を投資元本に含めて、再度投資することができます。
③ 受け取り時
iDeCoは、年金か一時金で受け取りすることができます。年金として受け取る場合には、「公的年金等控除」の対象となり、一時金で受け取る場合には、「退職所得控除」の対象となり、最高1,500万円まで非課税になります。
デメリットはないの?
iDeCoにもデメリットはあります。iDeCoは原則60歳まで資産の引き出しはできませんし、年金資産の「運営管理手数料」や「口座管理手数料」などの手数料がかかります。また、当然のことですが、運用の結果によっては、年金資産が減ってしまうリスクもあります。
ここではiDeCoの概要を紹介しましたが、詳しく知りたい方は、「iDeCo公式サイト(https://www.ideco-koushiki.jp/)」をご参照ください。
おわりに
老後の生活は、すべての人にとって重要なライフイベントです。そして、安心して老後を送るためには、計画的にまとまった資金を準備することが重要になってきます。
iDeCoは長期投資が前提になるので、まずは無理のない資金計画を考えるところからのスタートになります。公的年金への不安が増す中、老後資金準備の選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
【参考資料】
「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf)」(厚生労働省 年金局)
「令和元年度「生活保障に関する調査(https://www.jili.or.jp/research/report/chousa_r1st.html)」(生活保険文化センター)
「個人の資産形成に関する意識調査(https://moneyworld.jp/210602/fix/05_00018145)」(QUICK資産運用研究所)
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