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「帰省しないで」お盆を前に悩む田舎の人々。口に出せないその一言

LIMO / 2020年8月6日 20時45分

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「帰省しないで」お盆を前に悩む田舎の人々。口に出せないその一言

まもなく今年もお盆シーズンが到来します。例年なら地方への帰省ラッシュが始まる季節ですが、今年はコロナ禍ということもあり、例年同様にいかない人も多いのではないでしょうか。

帰省するかしないかの判断はふるさとを出て都市部で暮らす人の意志による部分が多く、ふるさとで待つ側は、今年は遠慮してほしいと思っていてもなかなか「こないで」とは言い出せないようです。

今年の里帰りはしないべき?

2020年8月2日の朝日新聞デジタル「#ニュース4U(https://www.asahi.com/articles/ASN8153DGN7QPTIL021.html)」によりますと、「この夏に旅行や帰省を考えている」という質問に対し、「いいえ」と答えた人は66%にのぼりました。また、20%が「迷っている」と答えていることからも、今年の里帰りは「帰らない方がいい」と思っている人が大多数を占めているようです。ただ、国や自治体から緊急事態宣言などが出されていないため「禁止されていないのならいいのでは」という意見も聞かれます。

2018年7月にソニー損保がおこなった「お盆の帰省に関する調査(20018)(https://from.sonysonpo.co.jp/topics/pr/2018/07/20180730_01.html)」によると、お盆の帰省にかかる費用は一世帯あたりの平均は21579円。なかでも、自家用車で帰省する人の平均は18393円となり、鉄道を利用する人の38493円、飛行機を利用する人の61583円に比べ安価で移動できることがわかっています。

加えて今年は「家族としか接しない自家用車での移動なら安全なのでは」という意見もあるようで、鉄道・飛行機利用者に比べ、自家用車利用家族は「安くて安心感がある」ため比較的帰省を計画する傾向にあるようです。

地方で待つ家族は戦々恐々

地方の町に暮らすYさんは長男の嫁だそう。夫は三人兄弟の一番上で義実家近くに住んでおり、義父は持病があるといいます。例年ならお盆時期には都市部で暮らす夫の弟妹一家が義実家に帰省し、三世代十数人が集まる一大イベントが行われるそう。

「私たちの町はまだ感染者が数人という状態なのですが、夫の兄弟はどちらも都会に住んでいるのでこちらとはけた違いの感染者数と聞いています。当然今年は帰省してこないものと思っていたのですが、義母から『日程を短くしてこっちにくるみたい』と聞いてびっくりしました」

義母の話によると、義妹一家は車で2時間ほどの義実家への帰省を通常通り計画しているとのこと。しかも、義母も孫に会いたいからか好意的に受け入れているようなのです。

「義妹夫婦は共働きで不特定多数の人と触れ合う業種です。お子さんも保育園に通っているので、話を聞いた時は『無症状で感染している可能性は考えないの?』と思ってしまいました。また、義父の持病のことを承知しているはずの義母も止めないんだ…と私ひとり焦る気持ちに」Yさんのモヤモヤはさらに続いたそうです。

一族との感覚の違い

その話をご主人にしたところ、それなら我が家も顔を出そうという話に。

「夫の反応に『この人もあの家族の感覚なんだ』と思ってしまいました。私が一番気になるのはやはり義父のことです。高リスクな義父に対し、私はとにかく感染リスクを回避しなくてはということをいつも考えて暮らしています。小学校に通ううちの子供も最近では顔を出すのを遠慮するほど。それなのに、数百人の感染者を毎日のように出している都市部からくる一家を一緒になって歓迎しようという考えが私には理解できませんでした。私たちがいくことこそ『密』を作り出すのではないでしょうか。

そして、『今この町で他県ナンバーの車が数日止まっていたら?』『10人を超える人数で食事を取ったなんてご近所に知られたら?』ということが引っ掛かりました。簡単に引っ越すことのできない田舎町で暮らすものとして、あとあとまで噂されるような火種を作って欲しくない。私はその思いで頭がいっぱいでした」

そんな気持ちは持ちながらも、直接義両親に「帰省を辞めさせるべきなのでは」といえないというYさん。「夫の口からならまだしも、私の口から義兄弟に『来るな』はさすがに言えません。一度だけ『この辺とは感染者の数が違うみたいなのでお義父さんが心配じゃないですか』といったのですが『車で来るし、大丈夫じゃない?』と言われてしまいました。何度も止めるのはさすがに嫁の立場ではできませんでした」

毎日の感染者が増えるたび、ご主人には「やはり止めた方がいいと思う」とつぶやいているというYさん。帰省しても子供と自分は顔を出すつもりはないと話したところ、ご主人との間に嫌な空気が流れたそうです。「これ以上感覚の違いで溝ができるのは正直しんどいです。政府か首長が禁止してくれないか毎日願って仕方ありません」

対策を万全に、親孝行をしたいという気持ちも

ただ、現在のところ都市部からの帰省は禁止されている行為ではありません。あくまで「3密」や「大人数での会食」などを避けるよう注意が促されているので、静かに移動し密を避けながらお墓参りをするなどの行為は止められていません。

コロナ禍での子育てをしている人の中には「生まれてからほとんど赤ちゃんが人と触れ合っていない」という人も多く、そんな人たちが抱く「お盆くらいはマナーを守り親に会いたい、子供をみせて喜ばせてあげたい」という気持ちも理解してあげたいという思いもあります。コロナ対策に関する感覚は本当に人それぞれです。それゆえに線引きも難しく、ストレスになっているという人が多く、今年は各地でそんな悩みの声が聞こえてきそうです。

【参考】
朝日新聞デジタル「#ニュース4U(https://www.asahi.com/articles/ASN8153DGN7QPTIL021.html)」
ソニー損保「お盆の帰省に関する調査(20018)(https://from.sonysonpo.co.jp/topics/pr/2018/07/20180730_01.html)」

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