「夫の産休? 勘弁してよ…」育休でさんざんな目にあった妻たちの本音
LIMO / 2020年8月10日 10時0分
![「夫の産休? 勘弁してよ…」育休でさんざんな目にあった妻たちの本音](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_18656_0-small.jpg)
「夫の産休? 勘弁してよ…」育休でさんざんな目にあった妻たちの本音
つい先日、ニュースで話題になったのが「夫の産休創設」。妻の産後うつや育児負担の軽減、ひいては少子化に対する打開策として一躍脚光を浴びました。
「これで母親の負担がグンと減る!」「ようやく夫婦で協力して子育てができるようになる!」など、歓迎の声が多数あがっていますが…。おやおや? 浮かない顔をしている女性陣の姿もチラホラ見られるようです。
彼女たちは「夫の産休創設」のどこに不満を抱いているのでしょうか…?
新たに制度化される「夫の産休」とは?
7月下旬に報道(https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200726-OYT1T50145/)された「妻が出産直後の夫を対象にした新たな休業制度」。これは簡単に言うと現在、母親のみ取得が認められている産休制度の父親バージョン。
ちなみに現在、母親が対象となっている産休制度は、原則として出産予定日の6週間前から取得可能な「産前休業」と出産後8週間取得できる「産後休業」の2つ。
今回父親が対象となるのは、「産後休業」。期間などの制度設計は秋ごろからの予定ですが、母親と同程度であれば赤ちゃんが生まれてから2カ月弱、父親も産休を取得できるようになる、というわけです。
一家の主たる稼ぎ手であることの多い夫が産休をとってしまうと心配なのが収入の減少ですが、今回の産休制度では休業中の給付金を手厚くすることも検討されているのだとか。スムーズに行けば政府は来年の通常国会で育児・介護休業法などの改正案を提出する予定だそうです。
夫の育休はありがたいけれど、現実は地獄
確かに、産後まだ体が本調子じゃないときにひとりで育児をするのはとても辛いもの。とにかく毎日が必死、昼夜関係なく赤ちゃんのことが最優先、「30分でいいからぐっすり眠りたい」「たまにはゆっくりお風呂に入りたい」と何度となく思ってしまう…。さらに自分の辛さやしんどさを話せる相手もいない孤独感。世のお母さんは、本当によく頑張っています。
でも、もし夫も産休を取得できるようになれば、洗濯や買い物などの家事を頼める、赤ちゃんを見てもらっている間に睡眠、食事がとれる。何よりふたりで協力して子育てができるので、とても心強いし、夫も父親としての自覚が早くから芽生えるはず。こうしてみると、「素晴らしい!」の一言に尽きる父親の産休制度ですが…。
「父親の産休? 勘弁してほしい…」
そう話すのは1歳の男の子のママ、Mさん。Mさんの夫が務める会社は比較的男性の育休が取りやすく、出産直後は夫も育休をスムーズに取得できたとのこと。
「育休を取ってくれたのはありがたいのですが、お風呂は怖いから入れられない、オムツ替えもちょっと無理…。じゃあ、家事をお願いしたらいちいち『どうすればいい?』と聞いてくる。全部私が教えて、『お願いだからやってほしいな』なんて機嫌取って…。ほんとに地獄でした。夫に産休を与えるのなら、『産休中やるべきこと』をしっかりと事前にレクチャーしておいてほしい!」
夫が育児をすることに馴染めない義両親
2歳の女の子のママ、CさんもMさんと同じく夫の産休取得反対派。
「私の場合は、夫が…というよりも義理の両親がしんどかったです…」
Cさんの家は夫の両親との二世帯住宅。義理の両親、とりわけ姑さんとの仲も良好だったCさん。夫の「俺、育休取るから」という一言で、近くの産婦人科での出産を決意。「私の両親は里帰り出産してほしいようでしたが、姑さんもいい人だし、夫と協力して育児をしていきたいな、と思ったんです」
しかし、いざ出産してみると、「息子が何をしているか心配だ」と言って毎日様子を見にくる義理の両親に辟易。
「子供の世話をする夫の姿を見て『私たちのときとは時代が変わった』『男が育児をするなんて』『ずいぶん楽な育児しているわね』だのなんだの。ついに夫に『あなたが家に居るとお義母さんたちの視線がイタい。頼むから仕事復帰してくれ』と言ってしまいました」
Cさんはこう嘆きます。「夫の産休が当然の権利だと言っても、義理の両親みたいに古い価値観を持っている人は『男に仕事を休ませるなんて』と嫁に嫌みをいう可能性もある。年代を問わず『男性の産休も当たり前』という考えが浸透しないと、母親にいらぬストレスがかかってしまう可能性もあるんです」
まとめ
新しい産休制度が創設されれば、父親の産休取得のハードルがグンと下がりそうな予感はしますが、「ただ産休が取れればいい」というわけではありません。
今回の産休制度の真の目的は、母親の肉体的・精神的負担を減らすこと。ただ父親が家にいるだけで負担が軽減されるはずもなく、ともすれば新たなストレスの原因となってしまう場合も。
さらに、「産休を取りたいけれど業務上取れない」という男性の意見もチラホラ。「父親の産休制度」がきちんと浸透するまでには、制度ができてからもまだまだ時間がかかりそうです。
【参考】
「【独自】『妻の出産直後』対象に…夫の産休創設へ、育休より給付金手厚く(https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200726-OYT1T50145/)」読売新聞 2020年7月26日付
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