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バック駐車で給料アップ…?パワハラ社長のありえない「わが社ルール」

LIMO / 2020年8月10日 20時15分

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バック駐車で給料アップ…?パワハラ社長のありえない「わが社ルール」

会社には、その組織に属している人にしか分からない苦悩があるもの。

中でも、パワハラは近ごろ取りざたされることが多く、今年の6月には「パワハラ防止法」も施行されました。しかし、法だけで現状を変えるのはなかなか難しいことも…。

今回、取材に協力してくれた緒方美和さん(38)はワンマン社長によるパワハラを受けて心を病み、会社を辞めました。

役に立たないから、減給しよう

美和さんの勤務先は、家族経営の金型製造会社。入社した頃は、まだ会社が軌道に乗っておらず、仕事もあまりない状態。だからか、人間関係も殺伐としておらず、家族経営ならではの密接な人間関係に温かみを感じることも多かったそう。「私は事務を担当していました。事務職をやっていたのは私と、30歳の女の子の2人だけ。社長もフランクで話しやすかった。専務を務めていた社長の奥さんは、プライベートな悩みもよく聞いてくれて。こんな女性になりたいって、憧れたこともありました。」

しかし、外注先が増えたり、地元の大手メーカーの下請けになったりしていくと、社長の態度に変化が…。「新しく従業員が入社してくると、まず社長はすごく褒めるんです。でも、何か社長の勘に障るようなことを1回でもすると、途端にみんなの前でこき下ろされてしまう。」

美和さんが事務作業をしていた部屋では社長や専務が打ち合わせをすることも多かったため、従業員の悪口を言う社長たちの姿を目にし、嫌な気持ちになったことも。「社長と専務が笑いながら、『あいつは使えないから減給しよう』って言っている姿を見た時、人間のどす黒い部分を目にしたような気がして、私の心も暗くなりました。」

社長や専務の悪口の矛先は、もっぱら従業員の中で唯一60歳を過ぎていた男性社員に向けられていたそう。「自分よりも年上だったり賢そうだったりする人を貶めて、従順な年下の従業員だけを褒めちぎる。そんなワンマン会社でした。」

バック駐車ができるようになったら給料がアップ

濁った職場の空気を感じるたび、美和さんは日に日に出社するのが憂鬱になっていったそう。そんなある日、美和さんは同じく事務職に就いている同僚から信じられない話を聞かされました。

「お昼ご飯を食べながら何気ない雑談をしていたら、その子がいきなり『そういえば給料あがったんだよね』と切り出してきました。」自分よりも後に入社したのに、なぜ彼女だけ昇給したのだろう…。疑問に感じ、尋ねてみると、理由はまさかの「バック駐車ができるようになったから」でした。

「うちの会社は駐車場の作り的にバッグで駐車したほうが出やすかったのですが、彼女はずっとバッグ駐車ができなくて。でも、自宅で練習してできるようになったらしいんです。それを社長が気づいたみたいで、『そういう努力は大切』と言われ、1万円も給料がアップしたんだと聞かされ、複雑な気持ちになりました。」

こなす仕事の量は、明らかに自分のほうが多く、勤務年数も長い。それなのに、バック駐車ができただけで評価され、給料が上がる、この会社の仕組みはなんなのだろう…。そんな疑問や憤りを感じながらも、その頃の美和さんにはまだ「辞める」という選択肢はありませんでした。「次の仕事を見つけないといけないと思うと、二の足を踏んでしまって。高給ではありませんでしたが、踏ん切りがつかない自分がいました。」

仕事のミスを従業員全員の前で責め立てられて…

しかし、それから数ヶ月後のあるお昼休みに辞職にきっかけとなる出来事が。「その日は土用の丑の日が近かったので、社長がうなぎをお昼にとってくれて。『こんなにも従業員のことを考えている俺はいい社長だろう?』という言葉を流し聞きながら従業員みんなで食べていたんですが、私が午前中に取引先への連絡ミスをしていたことが発覚して…。」

和やかなムードは一変。社長は美和さんに対して、暴言を浴びせかけたそう。「この会社の中で一番使えないのは、お前だ。うちの会社で働けないなら、他の会社なんて勤まるはずがない。こんなにも良くしてやってるのに、ありがたみを分かってない。」

机を叩き、従業員みんなの前で暴力的な言葉を浴びせられた美和さんは、自分を役立たずな人間だと思うようになってしまい、この日以降、出社しようと思うと腹痛や頭痛を感じるように。

「仕事をしていてもミスはないかって神経質になり、手が震えました。私は父親がモラハラな人で、もともと男性の怒鳴り声が怖かったので、余計に恐怖を感じてしまったのかもしれません。」

ミスをしたからか、美和さんは減給され、仕事の報告をしても社長や専務からは鼻で笑われるようになってしまったそう。「そのうち、制服を着た途端、涙が出るようになってしまって。これはもう限界だと思って、辞職しました。」

ワンマンな会社で理不尽な扱いを受けた美和さんは今、心を休ませながら、職探しをしているよう。次は、人権や心を理不尽な理由でないがしろにしない会社と出会えることを願いたくなります。

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