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若者たちの経済的不満は何かをきっかけに爆発する〜新型コロナの危険な波紋

LIMO / 2020年8月13日 20時0分

若者たちの経済的不満は何かをきっかけに爆発する〜新型コロナの危険な波紋

若者たちの経済的不満は何かをきっかけに爆発する〜新型コロナの危険な波紋

レバノンの首都ベイルートで8月4日、大量の硝酸アンモニウムによる大爆発が起き、これまでに150人以上が死亡、6000人以上が負傷した。爆発の威力は凄まじいもので、強い風と煙が周囲に吹き飛び、市民30万人の家々が被害を受け、現地では今でも混乱が続いている。

そして、6日には反政府デモが始まり、同日だけで5000人から1万人の若者たちが通りに出て抗議活動を行った。一部は警官隊と衝突し、700人あまりが負傷したとされる。これを受け、ディアブ首相は10日、内閣総辞職を発表した。

何度となく繰り返されてきた市民による抗議デモ

多くの若者たちの不満は、おそらく今回の大爆発それ自体にあるのではなく、長年の政府の失策や汚職にあり、それが今回の大爆発がきっかけとなって一気に噴出したものだ。しかし、最近を振り返っても、レバノンでは同様の抗議デモが繰り返し発生している。

以下は、最近の事例である。

2020年1月
ベイルートでデモ隊と警官隊の間で大規模な衝突が発生し、200人以上が負傷、うち80人あまりが病院へ搬送された。翌日19日も同様の衝突が続き、2日間での負傷者は450人に上った。現金を下ろせないなどとして、ベイルートにある銀行の支店が破壊される出来事もあった。

2019年12月
ベイルートで数十人の男が警官隊に向けて投石したことがきっかけで、警官隊とデモ隊との間で衝突が発生し、40人以上が負傷した。警官隊は催涙弾やゴム弾などでデモ隊を追い払うなどした。

2019年10月
政府がスマートフォンのSNSアプリ使用に対する課税を発表し、国内で若者を中心とした数万人規模の抗議デモが発生。抗議デモは首都ベイルートを中心に全土に拡大。政府は同課税撤廃を含む改革案を発表したが、市民による抗議デモは一向に収まらなかった。同月下旬、当時のハリリ首相が辞任を発表した。

新型コロナによる経済格差拡大が暴力的行動の火種に

しかも、最近の抗議デモでは、一部の若者たちはスマートフォンで動画や画像をSNS上に載せ、同じような不満を抱える同士たちとネットワークを構築しようとする。

また、中東ではイラクやイランでも反政府的な抗議デモが断続的に発生しているが、去年のデモでは、レバノンの若者が「イランやイラクの若者たちと一緒になって戦おう」と言及する姿も目撃された。

6日に発生した抗議デモの様子は、おそらく同様の不満を持つ他国の若者たちもチェックしており、今回の大爆発のように、何か大きな出来事がきっかけで再び一気に不満が爆発する可能性がある。

新型コロナパンデミックによって、各国の経済的疲弊はさらに深刻なものになっている。失業や経済格差が長期にわたって続けば続くほど、こういった若者たちの抗議デモがエスカレートし、より暴力的なものになってしまう恐れがある。

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