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罰金は最高1750万円! 海洋哺乳類を守るニュージーランドの法律とは?

LIMO / 2020年8月15日 12時0分

罰金は最高1750万円! 海洋哺乳類を守るニュージーランドの法律とは?

罰金は最高1750万円! 海洋哺乳類を守るニュージーランドの法律とは?

世界50カ国を対象に「動物をどのように扱っているか」を調査した「アニマル・プロテクション・インデックス(API)(https://api.worldanimalprotection.org/)」や、自然保護連合などの組織が発表するデータをもとに、「最も動物保護に力を入れている国」ランキングが昨年10月に発表になりました。

主宰はインターネット上でコンテンツ配信をしている、米国の24/7ウォール・ストリート社(24/7 Wall St., LLC)。17カ国において、野生動物から家畜、ペットに至るまでの動物の処遇を、最高ランクの「A」から最も低い「D」まで国ごとに評価しました。すると、筆者が暮らすニュージーランドの成績は「A」。特に高い評価を受けたのが、動物を苦しませる行為に対処する法律が整っていることです。

シャチ5頭が危機一髪!

今年初め、ニュージーランド北部にあるナワイ・ベイという入江で、ボートとシャチのニアミス事件が起こりました。2隻のボートが、4頭のシャチとその子ども1頭が泳いでいるところに近づき、シャチが水中に姿を隠した上を5、6回行ったり来たりしたそうです。

この様子をドローンで撮影し、フェイスブックにアップしたために事件が発覚。しかし、シャチがけがをしたり、死んだりしたのではないようでした。

環境省の中で野生動植物を守る役割を担う環境局(DoC)は、ボートに乗っていた人たちの手がかりを求めて市民に呼びかけました。情報は寄せられたものの、その後事件がどうなったのかは報道されずじまい。限られてはいるが、入手した情報をもとに捜査を行うというのが、DoCが本件について発表した最後のコメントでした。

空も関係あるの? 上空にも規制アリ

ニュージーランドでは、アニマルウェルフェア(動物福祉)が比較的よく行き届いています。同時に独自の進化を遂げた、特別な原生動植物を守ろうという姿勢が多くの人々にあり、自然環境保全法が充実しています。

たとえば、海で海洋哺乳類に遭遇した場合には、以下のことに気をつけなくてはなりません。「マリン・ママルズ・プロテクション・レギュレーションズ・1992」という法規で、アニマルウェルフェアを最優先とし、動物を保護するために人間の行動に制限がかけられています。

動物から300m以内では、船をアイドリングさせるか、徐行速度以上のスピードを出さない。

動物がいる300m圏内に3隻以上の船、もしくは3機以上の飛行機が入らないようにする。

動物に近づく場合は、並行に進んでからか、少し後ろから。

動物の周囲を回ったり、行く手を阻んだりしない。動物が群れで泳いでいる際は群れの中に割って入らない。

動物から離れる場合は、ゆっくりアイドリングし続ける。

法規でカバーされているのは海だけではありません。陸に上がれるアシカなどには、陸上での接し方の規制があります。クジラ、イルカ、アシカと大きく3種類に分類し、海で遭遇した際に、守らなくてはいけない規制も各々事細かく決めらえています。

海の動物たちのことですから、空とは関係ないと思いきや、そんなことはありません。上空にもしっかり規制がかけられています。主に飛行機に対するもので、動物の上空300m以下を飛んではいけなかったり、飛行機の影が動物たちにかからないようにしなくてはならなかったりします。

ドローンにも規制があります。基本的には飛行機のそれに倣うことになっていますが、上空150m以下に下がってきてはいけないなど、ドローンに特化した決め事もあります。ほかにも、進む方向を急に変えること、騒音を出すことなどが禁じられています。ドローンで動物を追いかけるなんてもってのほかです。

法規を守れない人を待ち受ける罰金と懲役刑

海洋哺乳類をこんなふうに守っている法律が、「マリン・ママルズ・プロテクション・アクト・1978」です。動物に対し、嫌がらせ行為をしたり、動揺させる行動をとったりしてはいけません。もちろん、けがをさせたり、殺すことも罪に問われます。

罰金は最高で25万NZドル(約1750万円)か、最長で2年の懲役となります。場合によっては、罰金と懲役の両方が科せられることもあります。

ちなみに法の設定後、海洋哺乳類が初めて人間の手によって殺されたのは2005年のこと。南島のオタゴ地方の海岸線沿いで、 農場経営者3人が保護されているニュージーランド・ファーシール(オットセイ)1頭を殺したのです。3人とも有罪判決を受け、それぞれ2500NZドル(約17万円)の罰金を科せられ、裁判と弁護士の費用の支払いを求められました。

徴収した罰金は、海洋哺乳類を保護するための法律、つまり上述の「マリン・ママルズ・プロテクション・アクト・1978」といった法規の認知度を上げるために使われます。違反者からのお金が、違反者を出さないために回されるというわけです。誰もが納得のいく使われ方といえるでしょう。

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