ベトナムで、キラキラネームが禁止に!?「つけられた子ども」「つけた親」それぞれの声
LIMO / 2020年8月16日 20時15分
ベトナムで、キラキラネームが禁止に!?「つけられた子ども」「つけた親」それぞれの声
厚生労働省が6月5日に発表した「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai19/dl/gaikyouR1.pdf)」によると、子どもの出生数は過去最少となる86万5234人にまで落ち込みました。少子化の加速度は、政府の見通しを上回るペースで進んでいるといわれています。
そんな今、子どもの名づけでよく話題にのぼるのが「キラキラネーム」。「一心(ぴゅあ)」「大陸(あーす)」など、当て字に意味をもたせる名前も人気があるようです。
珍しい名前は昔からありましたが、子どもの数が減ったことでより目に付きやすくなっているのかもしれません。今回は、そんなキラキラネームをつけた親・つけられた子どもから、それぞれの声を伺いました。
ベトナムでキラキラネームが禁止に!?
ベトナム政府は2020年7月16日、少子化とSNSを背景に、国民の名前に関する新たな規定を施行しています。日本経済新聞「ベトナム、キラキラネーム禁止 背景に少子化とSNS(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62167840R30C20A7XR1000/)」の記事によると、長すぎたり、国・民族の慣習に合わない名前を事実上禁止するもので、"キラキラネーム" 禁止令とも言える内容のようです。
ベトナム総合情報サイトVIETJO (ベトジョー)「子どもの命名、長くて使いにくい名前は禁止。戸籍法の通達で(https://www.viet-jo.com/news/law/200707170955.html)」で、ベトナムの文化に適した命名については2020年7月16日に定めたことについて記事化しています。その内容は、子どもの命名にあたり、ベトナム人としてのアイデンティティを守らなければならず、長すぎることに加え、使いにくかったりする名前をつけてはいけないということです。
命名される本人が、名前が原因で人からからかわれるなどして自己憐憫の情にかられることを防ぐのが同通達の狙いのようです。
難読キラキラネームで改名をする人も
インパクトのあるキラキラネームが注目されるようになって数年。今その世代は大人になり、なかには改名して新しい人生を歩み始める人もいるようです。就職に不利になる、親の知性を疑われるなどマイナス面を強調されがちなキラキラネームですが、つけられた本人たちはどのようなことを感じているのでしょうか。
「私の名前はキララ、漢字で見たら読めないでしょうね。でも、昔から可愛い名前だねと褒めてもらえることが多かったですし、自分ではもうこれ以外考えられません。名前に負けない女性になりたいと思っています」(30代女性)
「最初は苦労しますが、逆に一発で覚えてもらえるのがメリットかなと思っています。子どもの頃ははずかしいと感じていた時期もありますが、大人になった今は大切なのは名前より人間性だなと実感することが多いです」(20代男性)
「私は大学生のとき改名しました。名前の響きは気に入っていたのですが、当て字がどう見ても男性名なので間違われることが多く、就活への影響も気になっていたからです。漢字からカタカナに変えましたが、友達からも『こっちのほうがイメージに合う!』と好評でしたね」(30代女性)
難読キラキラネームをつける親の気持ちとは
また、キラキラネームというとつけられた子どもに目がいきがちですが、名づけた親はどのような思いでつけているのでしょうか。
「我が子にはちょっと変わった読みの名前を付けましたが、『奇抜な名前で目立たせよう』とは一切考えていませんでした。重視したのは言葉の響きや意味のほうです」(30代・幼稚園児の父)
「漢字は、字からイメージを与えることができる特別なものだと思っています。名づけにはどうしても『絆』という文字を入れたかったので、読みは若干強引になってしまったかもしれません。子どもには『この漢字にはこういう意味を込めている』ということを伝えています」(40代・小学生の母)
「3人兄弟ですが、みんなジェンダーレスな名前です。本人がどんな将来を選ぶか分かりませんし、性別にとらわれない名前でありつつ、海外でも呼びやすい響きにこだわりました」(30代・小学生・幼稚園児の母)
どの親も、意味や響きにこだわりを持ち、しっかりと子どものことを考えている様子が伺えます。ときに珍しい名前に出会って驚いてしまう人もいるかもしれませんが、その由来を聞いてみるのもいいかもしれません。
「心桜」「陽翔」は難読キラキラネーム?
また、複数の読み方がある・間違えやすいなどといった面から、キラキラネームに分類されやすい名前もあるようです。近年では一般化しつつある名づけですが、当人たちはどんなことを感じているのでしょうか。
「心」「桜」という美しい漢字を組み合わせた「心桜(みお)」という名前を娘に名づけたAさん。「心桜」という名前は人気も高く、「こころ」「こはる」と呼ばせるパターンも多いようです。Aさんは、日本を感じる漢字を使い、響きの可愛らしい名前にしたかったそう。
「周りからはかわいいと好評ですし、字面も気に入っています。ですが、あるとき義母が『あの字でみおと読ませるなんて、信じられない』と愚痴っていたことを知り、すごくショックでした。他人ならともかく、身内からそんなふうに思われていたなんて」
珍しい名前は、家族内での理解を得にくいというのもよく聞く話です。また、インターネットが普及したことでこんなこともあるようです。
Bさんは、息子に「陽翔(はると)」という名前をつけました。『陽翔』は、ここ数年人気ランキングでも上位にあがる名前です。読みは「あきと」「ひろと」「ひなと」などさまざまなパターンがあります。
「ネットでよく『陽翔はキラキラネーム』というのが出てくるので、友達にからかわれることがあるようです。私の祖父が『陽雄』、夫が『翔太』なので、両家からもらった名前です。息子には、からかわれたらそれを伝えて、自信を持つよう教えています」
その後も子どもの心に寄り添って
名づけは誕生の一瞬で終わるものではなく、子どもの一生についてまわるものです。多くの親は子どもの幸せを願い、さまざまなことを考えて名前をつけていることでしょう。
しかし、キラキラネームといわれることでまわりから厳しい目を向けられたり、子ども自身が悩みを抱えてしまったりすることもあるかもしれません。日頃から子どもに名前の由来を聞かせたり、親戚の理解を得ておいたりすることで、そうしたリスクを下げることもできるでしょう。
また、子どもが改名したいと考えたときも、しっかり向き合って子どもの気持ちを尊重してあげたいものですね。
【参照】
厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai19/dl/gaikyouR1.pdf)」
日本経済新聞「ベトナム、キラキラネーム禁止 背景に少子化とSNS(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62167840R30C20A7XR1000/)」
ベトナム総合情報サイトVIETJO (ベトジョー)「子どもの命名、長くて使いにくい名前は禁止。戸籍法の通達で(https://www.viet-jo.com/news/law/200707170955.html)」
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