悪口を言う人は不幸になる？その理由とは

東北大学大学院医学系研究科教授の辻 一郎氏によると、「人の悪口を言う人は死亡リスクが高い」といいます（※）（https://president.jp/articles/-/36757）。これは「人の悪口をいうような人はバチが当たる」などという感覚論ではなく、医学的根拠に基づく主張です。

悪口を言う人はなぜ、死亡リスクが高いのでしょうか？

悪口を言う気質は不健康

辻 一郎氏によると、「人の悪口をよく言う人には競争に勝とうという気持ちが強いタイプが多く、　……　かなり交感神経系が強い。　……　血圧が上がりやすかったり、心拍数が速くなったりする。これが動脈の血管にストレスをかけ、その結果動脈硬化になるリスクが高くなる」（※）（https://president.jp/articles/-/36757）というのです。また、それだけでなく「血管の中で血液の凝固が起こりやすくなる。そのために冠動脈が詰まり、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなる」（※）（https://president.jp/articles/-/36757）といい、医学的見地から悪口は不健康の元と言えるのです。

人間は感情の動物です。他人と比較することで競争心や、相手への嫉妬心が自分自身に返ってきてしまうというのです。「悪口を言うと自分に返ってくるよ」という、誰もが聞いたであろう教訓は、医学的に見ても理にかなった話というわけです。

悪口を言う人は悪口を言う人で集まる

悪口を言う人は同じ気質の人同士で集まります。

「類は友を呼ぶ」というとおり、他人を批判する人同士が集まって、一緒になって有名人や親族・友人、会社の同僚などの悪口を言っているものです。人の価値観を否定するつもりは毛頭ありませんが、このような構図は医学的にではなく、社会的リスクも高いと感じます。

同じような価値観を持った人同士が集まることで、自分の物事の見方を「自分は正しいのだ」と強化されてしまいます。これを心理学の世界では「エコーチェンバー効果」といいます。自分の意見に同調する人が周囲にいて、相手の価値観にも同調します。問題はこのような行動を続けていくと、人の悪い点ばかりが目につくようになることです。

世の中には「完全なる白、完全なる黒」はほとんどありません。どんな人、テーマでも「賛成派と反対派」に別れます。自分と同じ意見の人とだけ同調するのは精神的には楽かもしれませんが、思考が凝り固まってしまい、尚且つ他人の悪口という、ネガティブなエネルギーに染まりますから、ますますいいことはなにもないと感じます。

視野が狭くなるデメリット

「みんな違ってみんないい」という言葉通り、世の中は多様に満ちており、色んな意見や考え方、価値観があるのです。

しかし、上述したエコーチェンバー効果によって、自分が支持する偏った意見ばかりを見てしまうと、多様性へ否定的になります。自分と違った考え方の人を見れば「この人は間違っている」と決めつけてしまいます。

筆者は悪口を言う側ではなく、言われる側なのですが、「あなたはおかしい！」と決めつけ口調で攻撃的な人ほど、視野の狭さを感じてしまいます。自己の頑なな思い込みによって、自分とは違った考え方の持ち主を「悪」と考えているように感じます。

悪口ばかりを言っている人は、視野が狭く、それ故に新たな視点の獲得や自分にはない価値観を持った人間関係を得られませんから、結果的に損をしてしまう可能性があると思います。

悪口を言う人とは「ソーシャルディスタンス」を取る

コロナ禍で感染拡大防止のために、「ソーシャルディスタンス」が推奨されています。これはそのまま、SNSなどの人間関係にも当てはまると思います。

悪口ばかりいう人に嫌気が差したらソーシャルディスタンスを取ることで、精神的な負のマインドの感染拡大を防止できるのではないでしょうか。

あるインフルエンサーの方が「Twitterで毎回攻撃的なコメントを送ってくる人を数人ブロックしたら、ほぼ批判がゼロになって快適」とつぶやいていました。数万人、数十万人のフォロワーを有する彼・彼女らも、少数の悪口を言う人達によって嫌な思いをしていたのです。SNSもリアルの人間関係も、悪口ばかり言う人とは積極的にソーシャルディスタンスを取るのが良いと感じます。

参考

（※）「なぜ人の悪口を言う人は､死亡リスクが高いのか」 PRESIDENT Online（https://president.jp/articles/-/36757）