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背後に中国の影…バイデン政権が誕生した場合に懸念される新たな中東リスク

LIMO / 2020年8月20日 20時0分

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背後に中国の影…バイデン政権が誕生した場合に懸念される新たな中東リスク

トランプ米大統領は今月15日、対イラン武器禁輸を延長する国連安保理決議案が否決されたことを受け、2015年のイラン核合意で解除された国連制裁を再発動させる意思を表明し、依然としてイランへの強硬姿勢を堅持している。

親イラン武装勢力による米への攻撃が多発

今年初め、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が殺害されたことがきっかけで、米イランの軍事的緊張が一気に高まった。その後、軍事的緊張は回避され、それ以降、世界はCOVID-19との戦いの時代に突入し、米イラン対立が報道される機会は激減した。

しかし、米イラン対立の最前線であるイラクでは、親イランのシーア派武装勢力による米国権益を狙った攻撃が断続的に続いている。2月には、首都バグダッドにある米国大使館付近とイラク軍基地にロケット弾4発が撃ち込まれ、うち2発が米国大使館の敷地内に着弾した。

続く3月には、バグダッド北郊にある米軍駐留基地にロケット弾15発以上が撃ち込まれ、米国人2人と英国人1人が死亡、12人が負傷し、「Nujaba Movement」を名乗るシーア派武装勢力が米軍への攻撃を続けるという声明を出した。

また、6月1日から28日までの間に、イラク国内ではイスラム国やシーア派武装勢力による攻撃が59件発生したとされ、首都バグダッドで確認された10件のうち8件がシーア派武装勢力による攻撃だったという。

秋の米大統領選でバイデン氏が勝利したら?

しかし、米国のイランへの強硬姿勢は、秋の米大統領選で変わる可能性がある。現在、バイデン氏がトランプ大統領を支持率でリードする展開となっているが、仮にバイデン氏が勝利すればこの4年間のイラン政策は大きく変わる可能性が高い。

バイデン氏は核なき世界を目指す意思を表明するなど、オバマ前大統領の理念や政策を継承する姿勢を強調している。また、バイデン氏は2015年のイラン核合意から一方的に離脱したトランプ政権を非難しており、大統領になれば2015年のイラン核合意に戻ることだろう。

しかし、バイデン政権によるイラン緊張緩和は、中東に新たな不安材料をもたらす。米国がイランに寄り添う姿勢に変化すれば、イランと長年対立するサウジアラビアやイスラエルの対米不信は再び高まるだろう。

中東各国へのアプローチを強める中国

特に、オバマ政権と微妙な関係にあったサウジアラビアは、最近になって中国支援のもと北西部に核兵器にも転用可能なウラン精鉱施設を建設していることが報じられた。サウジアラビアがバイデン政権に不満を強め、中国へ傾斜すれば、中東地域を舞台とした米中対立が激しくなる。

中国は一帯一路構想に基づき、イランやイラクなど中東各国へのアプローチも近年活発化させており、トランプ大統領同様、対中国では厳しい姿勢で臨むバイデン氏もそれには強い警戒心を示すことだろう。

また、サウジアラビアが核兵器への意欲を示せば、イランや中東で唯一の核保有国であるイスラエルも行動をエスカレートさせ、中東の軍事大国間で核を巡る競争、威嚇合戦が激しくなる恐れもある。

以前、サウジアラビアのムハンマド皇太子は、「イランが核爆弾を開発すれば、我々もできるだけ早く同じようにする」との意思を示したことがある。バイデン政権の誕生で、米イランリスクは低減されたとしても、新たな中東リスクを生む可能性がある。

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