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「ポイント還元」VS「現金値引き」節約への近道はどっち?

LIMO / 2020年8月22日 12時30分

「ポイント還元」VS「現金値引き」節約への近道はどっち?

「ポイント還元」VS「現金値引き」節約への近道はどっち?

~行動経済学の視点から解説します~

みなさんは買い物をする時、ポイントカードを使って「ポイント」を貯めていませんか?

一般的にはあまり知られていませんが、実は心理学のデータから経済現象を分析する「行動経済学」の研究により「買い物でポイントを貯めると損をするリスク」が懸念されているのです。

例えば、就職や転勤によって新生活が始まる時期などには、特に冷蔵庫や洗濯機のような大型家電の買い物をすることが増えてくるでしょう。特に、家電量販店などでの大きな買い物の時には、これから解説する内容を知っておくだけで、知らないうちに損をしてしまうリスクを避けられます。

今回は、「ポイントを貯める」以外に節約できる方法を、行動経済学の研究から解説しましょう。

「ポイント還元」よりも「現金値引き」の方がお得になる理由

仮に、あなたが家電量販店で大きな買い物をしたとします。支払い金額が20万円ほどになり、そこで「ポイント10%還元」と「10%現金値引き」を選べるとしたら、あなたはどちらを選びますか?

多くの人は「ポイント10%還元」を選んだのではないでしょうか。

しかし、よく考えてみると「10%現金値引き」の方が確実に節約できることが分かるのです。どちらも同じ10%なのに、なぜ「現金値引き」の方が節約できるのでしょうか?

その理由は2つあります。次ではその理由もあわせて解説していきます。

1:ポイントには有効期限がある

「10%現金値引き」がお得になる理由の1つ目は、「ポイントの有効期限」です。多くのポイントシステムには、ポイントの有効期限が設定されています。この場合、一定期間を経過するとポイントが失効してしまいます。

また多くの人がポイントを貯める一方で、貯めたポイントを使い切っている、と断言できる人はどれくらいいるのでしょうか。

行動経済学の観点からも、貯めたポイントについて「保有効果(自分が持っているものの価値を高く感じてしまう心理効果)」が働いてしまうため、ポイントを一度貯め始めると、ずっと貯め続けてしまいやすい傾向が見られます。

もちろん、みなさんが「貯めたポイントを有効期限以内にすべて使い切れる」のであれば、ポイントを貯めることに問題はありません。

しかし、レジで店員さんに「ポイントが貯まっています。こちら使いますか?」と聞かれた時「いいえ、そのまま貯めておきます」と答えてしまう人も多いのでは?このような経験がある人は、「ポイントを貯めること」にこだわらず、その場で現金値引きを利用するよう心がけてみてくださいね。

2:現金値引きなら、無駄な出費を抑えることができる

続いて2つ目の理由は、「10%現金値引き」を利用すれば、無駄な出費を確実に減らせるからです。

1つ目の理由で、「有効期限内にポイントを使うのであれば、ポイントを貯めても良い」という説明をしましたが、実はこれも確実には節約できません。

なぜなら、有効期限内にポイントを使うことを意識しすぎるあまり、別の日にまた同じ家電量販店に行き、別の家電を購入してしまう可能性が高いからです。

その家電が本当に必要であれば問題ありません。でも、コーヒーメーカーやウォーターサーバーのように、生活必需品ではないちょっと贅沢なアイテムを「ポイントで買うからいいや」と思って購入してしまった経験はありませんか?それこそ店舗側の「思うツボ」なのです。

例えば、2万円分のポイントを使うために3万円のウォーターサーバーを買った場合、不足分の1万円支払うことになりますよね。つまり、最初の買い物の合計金額20万円に、プラス1万円の出費が発生したことになります。

さて、では現金値引きを利用するといかがでしょう?20万円の10%引きで、出費は18万円出費で済みますし、貯めたポイントを使うために再度同じ店に行く理由もありません。

このように、ポイント還元は「お客さんに再度来店してもらうための店舗側の思惑」とも考えられます。結果的に出費がかさむのは当然といえば当然でしょう。

これらの理由を知っておけば「現金値引き」の方が、節約につながることが分かります。

それでもポイントを貯めてしまう心理とは?

そうはいっても、やはりポイントを貯めている方は多いと思います。実は、私たちがポイントを貯めてしまうのには、行動経済学に基づく理由があるのです。

その理由とは、先述の「ポイントの有効期限」のお話でも登場した、「保有効果」に関係しています。そもそも保有効果とは「自分の所有しているものの価値を、所有していなかった時よりも高く感じてしまい、手放し難いと感じること」です。

2017年のノーベル経済学賞受賞者、米シカゴ大学リチャード・H・セイラー教授が行った実験があります。(※)

この実験では、参加した人の半数にマグカップを渡して、その人たちに「売ってもいい値段」を尋ねました。一方で、残り半数のマグカップをもらっていない人たちには、マグカップを「買ってもいい値段」を質問します。

その結果、売ってもいい値段(約600円)は、買ってもいい値段(約300円)の2倍の値段になっていたのです。つまり、人は自分の持っているものに愛着が湧き、他人が思っている以上に高い価値を感じてしまう傾向がみられました。

私たちの「ポイントを貯める」という行為においても、この保有効果が働いているといえます。貯めたポイントに愛着や安心感が湧き、それを手放す(=所有ポイントが減る)ことに知らぬ間に抵抗を感じるようになるのです。そして、さらにポイントを貯めてしまう、とも考えられるでしょう。

まとめ

今回のお話を総括すると、次のようになります。

買い物で「現金値引き」が使える場合は、使った方が確実な節約に繋がりやすい。

ポイントを貯めた場合は、他の必要な出費(食費など)で使い切る。

ポイントを失効前使い切れることが事前に分かっている(大きな買い物を予定している、など)場合は、現金払いではなくポイントを貯めても節約に繋がる。

買い物の際には、これらを意識してみることをおすすめします。無駄な出費を減らし、効率的な節約に繋がるでしょう。ぜひ、実践してみてください。

【参考】
(※)Thaler,R.H.et al. The Endowment Effect, Loss Aversion,and Status Quo Bias.Journal of Economic Perspectives—Volume 5, Number 1—Winter 1991—Pages 193–206(https://pubs.aeaweb.org/doi/pdfplus/10.1257/jep.5.1.193) p.196

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