「収入」と「貯めるチカラ」は比例しない!?
LIMO / 2020年8月22日 11時45分
「収入」と「貯めるチカラ」は比例しない!?
~コロナ禍を乗り切るために、今始めたいこと~
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が、経済の混乱・停滞を招いています。すでにその影響を受けて生活が苦しくなっている人や、先行きの見えない現状に不安を覚える人も少なくないでしょう。
COVID-19は未だ収束の気配がなく、この状態はしばらく続くと考えられます。こんな時期だからこそ、将来や不測の事態への備えを万全にしておくことの大切さに気づいた人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コロナショックを乗り切るために今日から取り組みたい貯蓄のコツや、家計の見直しポイントについて考えていきたいと思います。
「みんなの貯蓄事情」年収が違っても大差なし!?
「年収の高い人は普段からしっかり貯金できているだろうから、こんな非常時にも余裕があるんだろうなあ」、なんて、漠然としたイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。
実はそうとも言い切れないのです。
総務省が2020年5月に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上世帯)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1)」によると、1世帯あたりの貯蓄現在高は1,755万円となっています。
これを年間収入の階級別にみると、年収1,000万~1,250万円の世帯の貯蓄額は2,280万円と2千万を超え、年収1,500万円以上の世帯となると貯蓄額も4,594万円と跳ね上あがります。その一方で、年収が200~250万円の世帯から900~1,000万円の世帯については、いずれも貯蓄額が1,000万台となっており、収入と貯蓄額は必ずしも比例していません。
つまり、家庭ごとに事情は異なるものの、単純に年収が高ければ高いほど貯蓄(=将来や不測の事態への備え)がしっかりできている、といは言い難いことが分かります。
もちろん、手取りの収入が現在よりも増え、かつお金の使い方や生活水準を変えなければ余裕は生まれます。でも、たとえ目先の収入が増えなくても、工夫次第でしっかりと貯蓄をすることができるということです。
コロナ禍の今だからこそやるべきこと
コロナショックの全貌は未だ見えず、経済や生活への影響も長引くことが予想されます。そんな時だからこそ、「ただでさえ不況で収入が上がらないのだから貯蓄は難しい」、と諦めてしまうのではなく、今すぐに取り組める節約のコツや家計の見直しポイントをおさえることで、しっかりと備えていきたいものです。
副業を始めるなら余裕をもって
勤務先の業績が悪化し、ボーナスや月々の給与がカットされた人、また、同様のことが今後の状況次第では自分の身にも起こり得るという人は少なくありません。住宅ローンでボーナス払いを併用していた場合など、収入減が生活苦に直結してしまう恐れがあります。
そんな事態に備えて、現在の勤め先からの給与のほかに副業による収入を確保しておくことは、家計の安定のみならず、心の余裕にもつながるかもしれませんね。
たとえば、クラウドソーシングのサイトでは幅広い職種の募集・業務の発注があり、初心者でも気軽に副業を始める機会にめぐりあえそうです。
もちろん、既に前述のような形態で働いているフリーランサーたちの収入も、COVID-19の拡大により何らかの影響を受けている場合が多いと考えられます。
これから副業を始めることを検討している場合には、「稼げるときに稼ぐ」という気持ちを持ちながら、余裕をもってスタートすることをおすすめします。
投資はリスク分散&長期的な保有で安定した運用を
経済が停滞し株価が軒並み下落している今は、投資の始め時だという考え方もあります。世界経済の先行きが見えず、当面は不安定な値動きが続くと予想されるものの、何よりコロナショック前には高値圏にあった株を割安で手に入れられるチャンスだからです。
余裕資金がある人は、投資に関する知識や自分が許容できるリスクに応じた投資方法を見つけて、購入してからは数年単位の長期的な目線でリターンを得ることを考えてみるのもよいかもしれません。
ただし、初心者が金融商品の買い時を見極めるのは非常に難しいため、今が安いからと一度に大量に購入するよりは、株式や投資信託の積立投資でタイミングを分散したり、投資の対象もさまざまな種類を含めることなどを検討すると、より安定した運用が期待できそうです。
「固定費と変動費を分けて考える」家計の見直しのコツ
副業や投資で収入源を増やしつつ、これを機に家計の見直しもすすめて、コツコツ節約と貯蓄に取り組んでいきたいものですね。
効率良く家計を改善して短期で余剰資金を生み出すためには、家計を固定費と変動費に分けて考えて、それぞれに合った節約方法をとるのがおすすめです。
固定費
まず、毎月決まってかかる「固定費」には、以下のものが挙げられます。
住宅ローンや家賃などの住居費
水道光熱費(基本料金部分)
通信費(同上)
生命保険や損害保険の保険料
車を所有している場合にはローンや駐車代
教育費
これらの他にも、スマホアプリなどの定期課金や、月々のジム代なども含まれます。いずれも月によって多少の変動があるものの、どれもなかなか削れない出費だと考えがちです。
しかし、固定費と一括りにせず上記のように細分化することで、その余地が見えてくる場合もあります。
例えば、ローンは定期的に他商品と比較して借り換えを検討する、携帯電話のプランや保険の加入内容を見直す、使っていないアプリや、通えていないジムを解約するなど、項目ごとに節約できるポイントを探しましょう。
変動費
一方、その月にどれだけ使ったかで支出額が変わる食費や日用品費、被服費や雑費などが「変動費」ですが、こちらは「いくら節約する」と金額を決めるよりも、「何%削減する」という比率で管理するほうがコントロールしやすい、という考え方もあるようです。
特に、通信費の使用料金部分は、テレワークやオンライン授業の増加によって月々の通信量が増えている可能性があります。毎月の利用明細などを確認しながら、各家庭の状況に応じて、料金プランの見直しなどの検討をおすすめします。
また、被服費や雑費に関しては、まずはクローゼットの中の断捨離や、部屋の整理整頓から始めると効果的かもしれません。不要なもの、本当に必要なものが見えてくるため、無駄遣いを減らすこともつながりそうです。
おわりに
終わりの見えないコロナ禍、ついつい気持ちは沈み込みがちです。そんな今だからこそ、発想を変えて、家計の見直しに取り組んだり、新たな収入源を増やすべく副業や投資に挑戦したりする機会としてみるのもよいかもしれませんね。お金の不安を減らしながら、前向きに将来への備えを続けていきましょう!
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。報告書「高齢社会における資産形成・管理」
【参考】
「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1)」総務省
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