米UDC、20年4~6月期は4年ぶりの営業赤字
LIMO / 2020年8月25日 20時0分
米UDC、20年4~6月期は4年ぶりの営業赤字
通期見通し開示せず
有機EL用燐光発光材料メーカーのユニバーサルディスプレイコーポレーション(UDC、米ニュージャージー州)の2020年4~6月期業績は、売上高が前年同期比51%減の5797万ドル、営業損益は119万ドルの赤字(前年同期は4866万ドルの黒字)となった。営業赤字になったのは16年7~9月期以来約4年ぶり。
20年4~6月期は先行購入で反動減
スマートフォンやテレビに搭載されている有機ELディスプレーは、電気を流すと発光する有機EL発光材料をRGB(赤緑青)の画素に採用している。現在量産されている有機ELは、赤色と緑色に発光効率が高い燐光発光材料、青色には蛍光発光材料を採用するのが一般的。UDCは世界最大の燐光発光材料メーカーで、青色の燐光発光材料の実用化を目指して開発を進めている。
20年4~6月期は、新型コロナウイルスの影響で発光材料の需要が低迷した。加えて、19年10~12月期に中国FPD(Flat Panel Display)大手のBOE(京東方科技)が安全在庫として購入した2400万ドル分、そして20年1~3月期にも顧客が備蓄のために約2000万ドル分を先行購入したことによって、20年1~3月期の売上高は前年同期比28%増と伸びたが、逆に20年4~6月期は反動減に見舞われた。
売上高5797万ドルのうち、発光材料の売上高は同58%減の3193万ドルだった。発光材料のうち、黄緑色を含めた緑色発光材料の売上高は同60%減の約2420万ドル、赤色発光材料は同53%減の約750万ドルだった。
通期見通しは依然非公表
同社は20年1~3月期決算発表時に年間の業績見通しを撤回したが、引き続き不確実性が高いとして公表を見送った。20年7~9月期の見通しも非公表だが、20年7月からは受注が増加しているという。iPhoneの20年モデル向けのパネル生産が本格化することや、韓国FPD大手のLGディスプレーが中国広州でテレビ用有機ELの8.5世代(8.5G=マザーガラスサイズ2200×2500mm)新工場を稼働させたことなどが追い風になる。
このほか、BOEが重慶に3番目の6G(マザーガラスサイズ1500×1850mm)有機EL工場を完成させ21年に稼働予定であることや、天馬微電子が20年5月に厦門で6G有機EL工場を起工し21年に稼働させることなどを挙げ、「21年末までに世界の有機ELディスプレーの生産能力がインストールベースで19年末比5割増加する」という想定の前提は変更しないと述べた。
独自製造技術の事業化へ子会社設立
UDCは先ごろ、開発してきた有機蒸気ジェット印刷技術「OVJP(Organic Vapor Jet Printing)」を事業化するため、完全子会社「OVJP Corporation」を設立した。OVJP技術の研究開発はニュージャージー州ユーイングで、OVJPプロセスと装置のスケールアップはシリコンバレーのOVJP本社で、それぞれ手がける。
OVJP技術は、ガスを用いたインクジェットで低分子材料を成膜するダイレクトドライ印刷技術。社長兼CEOのSteve Abramson氏はOVJP技術について「現在の中小型有機ELと非常によく似た、RGB並列ピクセル構造を備えた、新型有機ELテレビ用パネルの製造テストが提供できる。この技術が有機ELテレビの将来の市場の可能性をさらに拡大する」と述べている。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
11月の貿易赤字は378億ドルに拡大、金輸入が大幅増(インド)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月20日 0時10分
-
【資生堂】「中国人観光客の変化」がのしかかり、株価の年初来安値更新が続くが…今後注視すべき“もう1つの要素”とは
Finasee / 2024年12月16日 19時30分
-
日本企業、2024年度と2025年度の業績見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月11日 12時45分
-
日本発売が決定した可変絞りカメラ搭載のハイエンドスマホ「nubia Z70 Ultra」速攻チェック
ASCII.jp / 2024年12月7日 12時0分
-
ジャパンディスプレイ、台湾企業と提携 次世代有機ELを共同展開へ
ASCII.jp / 2024年12月3日 15時40分
ランキング
-
112月末まで!今年の「ふるさと納税」注意したい点 定額減税の影響は? 申し込む前に要チェック
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 13時0分
-
2女川原発、営業運転を再開=福島第1と同型で初―東北電力
時事通信 / 2024年12月26日 18時46分
-
3昭和的「日本企業」は人事改革で解体される? 若手社員への配慮と、シニアの活性化が注目される背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月26日 5時55分
-
4なぜスターバックスの「急激な拡大」は失敗に終わったのか…成長を一直線に目指した企業の末路
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 15時15分
-
5ローソン、東京など一部店舗で販売する“氷”を自主回収へ ガラス片混入の恐れ
日テレNEWS NNN / 2024年12月26日 20時51分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください