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老後資金2000万円を持っている高齢世帯は、どれくらいいるの?

LIMO / 2020年8月29日 17時45分

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老後資金2000万円を持っている高齢世帯は、どれくらいいるの?

貯めている世帯から見える、貯蓄のコツ

2019年に金融庁の「老後2,000万円問題」が話題となりました。この報告書により、二人暮らしの夫婦世帯の生活費は公的年金だけでは大幅に不足することが指摘されています。では、高齢者世帯ではこの2,000万円の資産を所有できているのでしょうか。また、貯蓄を増やしたい世帯が資産形成をしていくコツはどこにあるのでしょうか。

貯めている世帯との比較から考えていきましょう。

2,000万円を貯めている高齢者世帯はどれくらいいる?

まず、高齢者世帯の貯蓄額について見ていきましょう。総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)‐2019年(令和元年)平均結果‐(二人以上の世帯)」(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)の調査結果によると、高齢者世帯の貯蓄額は平均で2,000万円をクリアしていることが分かります。

《平均貯蓄額と負債額》

二人以上世帯の平均  貯蓄現在高:1,755万円

60~69歳の世帯 貯蓄現在高:2,330万円

70歳以上の世帯 貯蓄現在高:2,253万円

60代以上の高齢者世帯では、全体平均よりも貯蓄額は500万円ほど多くなり、平均で2,000万円をクリアしていることが分かります。また、60代の貯蓄2,000万円以上の世帯数は、抽出率調整済実数で53万4,000世帯で、60代世帯全体(132万6,000世帯)の4割ほど。

(ここでいう「世帯数分布(抽出率調整)」とは、「層ごとに抽出率が異なるので,抽出率の逆数に比例した調整係数と労働力調査による比推定比を集計世帯に乗じて得た世帯数を1万分比で表章したもの」となっています。)

70歳以上の貯蓄2,000万円以上世帯数は72万世帯(抽出率調整済実数)で、こちらも70歳以上世帯全体(184万6,000世帯)の4割ほどを占めています。

高齢者世帯の約4割が貯蓄2,000万円をクリアしている一方で、貯蓄100万円以下の世帯も存在します。60代で12万世帯(同年代世帯の約9%)、70歳以上で14万世帯(同年代世帯の約8%)を超え、同じ年代の中でも貯蓄額に大きな格差があることが分かります。

貯めている世帯の収入と支出

高齢者世帯のこのような貯蓄格差を見ると、収入の多さの違いではないかと考える方もいるでしょう。「貯蓄できている世帯はそこそこ収入が多くて、生活も貯蓄も楽なのでは?」と思う方もいるかもしれません。貯蓄できている世帯と、少ない世帯の収入や生活には、どのような違いがあるのでしょうか。

貯蓄「100~200万円」世帯と貯蓄「1,000~1,200万円」世帯について、収入と支出の実態を比較してみましょう。

上述の総務省統計局データ(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)から、世帯全体(二人以上世帯)の平均的な貯蓄額の差を見てみましょう。

全体の平均貯蓄額:1,755万円

貯蓄「100~200万円」世帯の平均貯蓄額:138万円

貯蓄「1,000~1,200万円」世帯の平均貯蓄額:1,085万円

貯蓄できている世帯と少ない世帯の平均額の差は約950万円となりました。では、1カ月間の消費支出や収入面を比較していきます。

(消費支出:日常の生活を営むに当たり必要な商品やサービスを購入して実際に支払った金額であり、いわゆる生活費を指しています)

(1) 貯蓄「100万円」世帯と「1,000万円」世帯、年収はどれくらい違う?

貯蓄できている世帯と、少ない世帯の収入面はどのくらい違うのでしょうか。

《年間収入》

全体平均:629万円

貯蓄「100~200万円」世帯:537万円

貯蓄「1,000~1,200万円」世帯:626万円

両者の間に年収で約90万円(月々7万5,000円)の差があります。ただし、貯蓄「1,000~1,200万円」世帯の年間収入は全体平均(629万円)よりも低くなっている点に注目すべきだといえるでしょう。

(2) 貯蓄「100万円」と「1,000万円」世帯の生活費ってどれくらい?

決して収入が多いというわけではないのであれば、貯蓄できている世帯の生活費はどのようになっているのでしょうか。比較の前に情報を整理しておきましょう。

《世帯数(抽出率調整)》

総世帯数:621万7,000世帯

貯蓄「100~200万円」の世帯:37万1,000世帯

貯蓄「1,000~1,200万円」世帯:36万8,000世帯

おおよそ同じくらいの世帯数となっています。

《世帯人員数》

貯蓄「100~200万円」の世帯:3.19人

貯蓄「1,000~1,200万円」の世帯:3.01人

世帯の人数にもそれほど差はありません。ただし世帯主の年齢については、「100~200万円」の世帯は52.0歳、「1,000~1,200万円」世帯は59.4歳となっており、年齢差は7歳ほどあるようです。

毎月の支出額の違いはどのくらい?

ここから毎月の消費支出について見ていきます。どのくらいの支出差があるのでしょうか。

《貯蓄現在高階級別の消費支出》

貯蓄「100~200万円」の世帯:25万5,000円

貯蓄「1,000~1,200万円」の世帯:29万6,000円

全体平均:29万3,000円

両者の消費支出の違いは月々4万円ほどになり、年間では約50万円ほどの差となります。ただし、貯蓄額「1,000~1,200万円」世帯の消費支出は、全体の平均値と比べても3,000円多いだけで、同程度だといえるでしょう。

《毎月の食費》

家計で多くの割合を占める食費についてはどうでしょうか。

貯蓄「100~200万円」の世帯:6万9,000円

貯蓄「1,000~1,200万円」の世帯:7万7,000円

全体平均:7万5,000円

食費でも、貯蓄額の多い世帯グループは全体平均よりも2,000円ほど多いだけであり、ほとんど差がないことが分かります。

このように収入と支出を見てみると、両者の年間収入の差は約90万円、消費支出の差は月4万円(年間約50万円)ほどでした。単純計算でこの差額の年間40万円が貯蓄の差となっているのかもしれません。

年間40万円の差でも、継続すれば大きな差となります。両者の平均貯蓄額(多い世帯:1,085万円、少ない世帯:138万円)の差、約950万円はこの累積の差にあるといっても良いのかもしれません。

まとめにかえて

しっかりと貯蓄できている家庭でも、決して高収入とは限らず、支出額も平均的であることが分かりました。データから見えるのは、堅実に貯めている姿でした。

老後資金については収入を増やすことも大切ですし、収入面に余裕ができても家計支出は維持しながら貯蓄に回せるかどうかが貯蓄の分岐点となりそうです。

収入については、社内で副業が許可されるなど、働き方も多様化しています。定年後の再就職を目指しやすい環境も整いつつありますし、自分に合った働き方で、より長く働ける方法を模索してみてはいかがでしょうか。家計の見直しをして、収入を増やし、支出の最適化をはかることが効率的な資産形成につながるようです。

参考

「家計調査報告(貯蓄・負債編)‐2019年(令和元年)平均結果‐(二人以上の世帯)」(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)総務省統計局

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

【ご参考】年間収入とは

総務省統計局の「家計調査」における「年間収入」とは、世帯全体の過去1年間の収入(税込み収入)です。以下1~6の収入の合計金額となっています。
1. 勤め先収入(定期収入、賞与等)
2. 営業年間利益(原材料費、人件費、営業上の諸経費等を除く。)
3. 内職年間収入(材料費等を除く。)
4. 公的年金・恩給、農林漁業収入(農機具等の材料費、営業上の諸経費等を除く。)
5. その他の年間収入(預貯金利子、仕送り金、家賃収入等)
6. 現物消費の見積り額

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