隣の芝生は青い?専業ママとワーママ、子供に抱えるそれぞれの「タラレバ」

LIMO / 2020年8月27日 20時15分

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隣の芝生は青い?専業ママとワーママ、子供に抱えるそれぞれの「タラレバ」

東京都が2020年1月に発表した「平成30年東京都人口動態統計年報(各定数)(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/01/16/16.html)」によると、東京都の合計特殊出生率は1.20と全国平均の1.42より下回っています。

その中でも最も少ない数字を出している豊島区では0.99と、1.00を割る結果に。一人っ子は都内でもはや珍しい存在ではありません。

その背景には女性の生活形態の変化といったものがよくあげられます。また、女性の社会進出に対し世の中がまだ追いついていないため悩みが生じているという問題も。いったいどのようなものなのでしょうか。

働く状況が整わなかった二人っ子専業ママ

都内に住むSさんとFさんは仲の良いママ友です。Sさんは夫婦共に地方出身で二人の子供を持つ専業主婦、Fさんは実家のある街で一人のお子さんを育てるワーキングママだといいます。今回、お互いの「羨ましい」点をお聞きしてみました。まずは専業主婦のSさんのお話です。

「私が仕事を辞めたのは長女を妊娠したタイミングでした。私がつわりで寝込んでも夫は多忙で、家のことまで手が回らない。実家の母に来てもらうには片道3時間以上かかるので気軽に頼ることもできませんでした。出産前から仕事と育児の両立の厳しさを実感したため、一度会社を辞めて専業主婦になることに。出産の際、一カ月ほど里帰りはしましたがそのあとはほとんどワンオペで子供を育てました。

その後、同じ時期に出産したママ友ができたのですがその人たちが育休から職場復帰する頃、私もお仕事をしてみたいな…と思ったのですが、月に数回熱を出す子供を見ていると『夫も休めないのに自分が仕事にいったら誰がこの子の面倒を見るの?』という現実を考え断念。その後、3歳下の次女が生まれ、ますます『誰も頼れないのに子供たちの調子が悪い時は誰が看るの?』という思いが強まりました。

結局、下の子が入園するまでは専業主婦でいましたが、いざ入園して週3日のパートをはじめても上の子の夏休みの問題や下の子の長期休暇の延長保育料など、周囲の協力が得られなかったりコストに見合わない仕事が多いことに気が付きました。以来、たまにパートを探したりしますが、うまく環境が整わないときはスッパリと諦め、生活を切り詰めて専業主婦で暮らすことが多いです」

労働の対価が生活ストレスに見合わないことが多いというSさん。「贅沢をしなければ」生活は成り立つといいますが、やはり子供のことを考えるとこれでいいのか悩むといいます。

「第一に気になるのは習い事や今後の受験のことです。うちは二人いるので現状だと1つずつしか習い事に通わせてあげられません。

周りの一人っ子のお友達は3つ以上やっている子も多い。ママたちの話を聞いていると、当然のように中学受験を考えている様子。都内は習い事の環境が整っているのでお金の問題で通えないというのはつらいです。今後、子供の成長に合わせて私がパート時間を増やすことはできますが、夫の扶養の範囲だとたかが知れている。扶養から抜けるような仕事をするには私のブランクがありすぎる。

そんなことをモヤモヤ考えてしまいます。二人を私立中学に行かせてあげるだけの教育費を用意できないのを考えると「産むのは一人にして早めに仕事復帰していれば、子供にもっとお金をかけてあげられたのではないかと一人っ子でバリバリ働いているお友達家庭を見ていると思ってしまいます」

送迎する時間が取れない一人っ子ワーママ

一方、正社員として10年以上会社に勤め、育休後も大事な仕事を任されるFさんにも悩みがあるそうです。

「仕事に復帰後、朝は夫が保育園への送迎をおこない帰りのお迎えは私が担当していました。娘が体調不良の時は休むこともできましたが、あまりに長い時は実母に協力してもらうなどしてなんとか小学校までやってこれました。ただ、これは子供が二人いたらできなかったかもと思うこともあります。

反面、最近では祖母の家や学童に通うのを嫌がるような年齢になり、家に一人で留守番させていいのか?といった悩みはあります。こんなとき兄弟がいたら二人でお留守番をさせたり、協力しあって成長していくのかな、なんて兄弟がいないことへの申し訳なさのようなものを感じることもありますね。

中学受験はできたらさせてあげたいと思っていますが、今の状況だと平日習い事に送迎できる時間には帰宅できない。ワーママのお友達は土曜日に3つの習い事をさせていますが、お子さんがへとへとになっているのを見るとうちの子には無理かな…など、ジレンマがあります。今後、本格的に中学受験をするとしたら、私が子供のサポートをできるような時間を捻出しなくてはならず、悩みは尽きません。」

都市部の習い事費用は高い傾向に

ベネッセ教育総合研究所が2017年におこなった「第3回学校外教育活動に関する調査(3歳から18歳(高校3年生)までの子供を持つ保護者を対象)(https://berd.benesse.jp/up_images/research/20171026release_Gakko_gai_tyosa.pdf)」によりますと「子供の一人当たりの学校外教育活動費」の平均は、人口5万人未満の自治体が9900円なのに対して、政令指定都市・特別区の平均は17500円と実にその差は約1.8倍。

また、世帯年収400万円未満の家庭の平均が8000円だったのに対し、800万円以上の家庭では25000円となるなど、実に約3.1倍もの差が開きました。

Sさんたちが住む自治体は特別区に該当するため、やはり多くの人が教育活動費に力を注いでいるようです。しかし、ダブルインカムではないSさんは「うちだけよその家のように習い事にたくさんお金をかけてあげられない」と周囲をみて悩んでしまう状態に陥るとのこと。

一方、世帯年収800万円を超えているFさんの家庭ですが「二人の年収を足し合わせれば習い事費用の捻出はできますが、送迎をしたり毎日の課題をこなす子供に付き合う時間がない」といいます。「結局『世帯年収800万円』といっても、ご主人が一人でこの金額を稼ぎ、奥さんが育児に専念できる環境でないとなかなか子供の教育を万全にサポートするのは難しいのではないか?」と最近は考えているそうです。

隣の芝生の内情は青くない

お互いに面と向かって「あなたが羨やましい」ということのないママたち。自分の人生の選択が間違っていたのでは…という思いを口にする機会というのは案外ないものです。そのため、目の前にいる相手が輝いて見えたり、自分の選択が子供に対して申し訳なく感じたり。ママたちは常に葛藤しています。

日本の多くの女性が今抱えている「仕事をして稼ぎたい。子供の成長にしっかりと関わりたい」という二つの願いの両立。それをこなせている人が少数派というのは、子育て環境としてまだまだ課題があるということではないでしょうか。二人産んだら稼ぐ時間がない、稼いだら育てる時間がないのアンバランスが解消される世の中になることこそ、ママたちが隣の芝生を羨まなくなる一番の近道なのかもしれません。

【参照】
東京都福祉保健局「平成30年東京都人口動態統計年報(各定数)(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/01/16/16.html)」
ベネッセ教育総合研究所「第3回学校外教育活動に関する調査(3歳から18歳(高校3年生)までの子供を持つ保護者を対象)(https://berd.benesse.jp/up_images/research/20171026release_Gakko_gai_tyosa.pdf)」

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