今、痛感する小学校生活の豊かさ。行事もなく授業に追われる子どもたちはかわいそう?
LIMO / 2020年8月31日 7時0分
![今、痛感する小学校生活の豊かさ。行事もなく授業に追われる子どもたちはかわいそう?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_19007_0-small.jpg)
今、痛感する小学校生活の豊かさ。行事もなく授業に追われる子どもたちはかわいそう?
子どもを持つ家庭に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスの感染拡大。3カ月に及ぶ臨時休校や、授業数確保のために夏休みが大幅短縮されるなど、前例のない事態が立て続けに起きています。
いつもならのんびり過ごせる夏休みもあっという間に終わり、2学期がスタートしました。新しい生活様式が実施される中、行事は軒並み中止され、授業がギュッと詰まった学校生活に子ども達は慣れてきたように見えるものの、問題点も出てきているようです。
異例づくめの2020年度、慣れるしかない子どもたち
新型コロナウイルスは老若男女問わず、これまでのライフスタイルを一変させました。学校生活への影響も大きく、一度に大勢の人が集まる運動会などの行事を中止、あるいは大幅に縮小する学校が続出しています。
筆者の子どもたちが通う小学校でも、予定されていた運動会や学習発表会など全学年参加型の大きな行事は全て中止になりました。学年別の行事でも、遠足や社会科見学の実施は例外なく見送られ、「工場見学に行かずに社会の授業で調べ物をする」という学校内で完結する形になっています。
子どもたちは何かと制限の多い毎日を送り、学習面でもずっと机の上だけで終始しています。校庭で気温の観測するなど、徐々に屋外に出る機会も増えてきましたが、校外に出ることはありません。こうなってみると、いかに今までの学校教育が多様性に富んでいたのかを痛感します。
子どもたちはというと、今年度が例外であることは理解しています。そして、一見、この窮屈さに順応しているようにも見えますが、本当は物足りなさを感じているようです。
実際、筆者の子どもたちは「行事がないから全体練習がなくて楽だし、先生が怒るのを見なくて済むけど、今のクラスで何かしたのかと言われたら記憶に残らないかもしれない」と口々に言います。
これまでなら、「運動会の練習がキツイ」とか「工場見学のグループ発表の役割分担を決めた」といった学校での出来事をあれこれ教えてくれるのですが、そうした話が子どもたちの口から出ることはめっきり減りました。
卒業アルバムに載せるイベントがほとんどない
最近、イベントが少ないために卒業アルバムに載せる写真が少ないという話がメディアで取り上げられていました。小学6年生の子どもを持つ筆者にとっても他人事ではありません。
気になって小学6年生の筆者の子どもに聞いてみると、意外なことが判明しました。運動会や遠足の写真を撮るカメラマンの方が、授業風景の撮影のため足しげく学校に通っているそうなのです。
学年全体の集合写真はソーシャルディスタンスに配慮しながら行われ、カメラマンがシャッターを押す直前までマスクを着用し、合図をみてサッと外して笑顔を作るよう指示されたと聞き、「今年は大変だね」と答えるしかありませんでした。
先生方も卒業アルバムの中身を濃くしようと工夫をしてくれています。6年生が運動会で披露するはずだった踊りを体育の時間に練習し、クラス毎に本番用の衣装で写真撮影をしたのです。「少しでも学校行事の思い出を残したい」という先生方の気持ちが伝わってきて、ありがたく思いました。
放課後の公園に子どもたちは戻ってきているが…
春先からずっと思うように遊べない状態が続き、ストレスが溜まるばかりの生活を強いられていた子どもたちにとって、6月の学校再開以降、一番に日常風景が戻ったのは放課後の公園です。近所の公園には友達と一緒に遊ぶ小学生の姿が戻り、生き生きとした表情からは「待っていました」という子どもたちの喜びと開放感が伝わってきます。
ただ、メンバーをよく見るといつも決まった低学年の子しか集まってきていません。以前はあちこちから来て賑やかに遊んでいたのですが、新型コロナ感染を気にして外遊びを控えている家庭もあるのでしょう。
それ以外にも理由があります。2020年度から始まった新学習指導要領により、小学3年年生以上の授業時間数が増加。そこに臨時休校という緊急事態が発生し、3年生より上の学年ではほぼ毎日6時間授業を受けることになったのです。掃除は今のところ先生方を中心に行われ、児童はその分帰宅時間は遅くならないものの、放課後に遊ぶ心の余裕はありません。
その余波は公園内でのトラブル発生率を高めていて、「1、2年生ばかりで遊んでいたら問題が度々起きるから先生が見回りをする」という話も学校で出ているそうです。自由気ままに遊ぶのは子どもの特権ですが、何か争いが発生した時に対応してくれる高学年がいないと、公園も場合によっては危険な場所になってしまうということなのでしょうか。
昨年までの学校生活のありがたみを痛感
運動会や遠足など、学校行事1つ1つが子どもの成長を促すものとは思っていましたが、行事がなくなった今年度の子どもたちの話を聞いていると一体感が高まらない様子が肌で感じられ、イベントの重要性を再認識しています。
仲間と共に活動することで社会性を身につけ、クラス一丸となって目標に向かい努力することの大切さを学ぶ行事の存在は、子どもの人間形成にとって欠かせないものだったのです。今まで当たり前だった学校生活や行事の数々のありがたみを今さらながら痛感しつつ、来年度は少しでも状況が良くなることを願うばかりです。
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