定期昇給がなくなる時代〜利益貢献しなければオジサンも新人も同じ?
LIMO / 2020年8月31日 20時0分
定期昇給がなくなる時代〜利益貢献しなければオジサンも新人も同じ?
トヨタが一律定期昇給制度を見直し、成果制度へ変更していくとの報道が出ています。おそらくそうなるとの前提で、今後日本の雇用制度がどうなるかを考えていきたいと思います。
トヨタがやるなら・・・
トヨタは、定期昇給の条件を評価に一本化するとしています。この制度がトヨタ自動車本社のホワイトカラーかブルーカラーか、はたまた関係会社含むグループ会社全社員が対象かは不明ですが、評価が最も低い社員の定昇はゼロになる可能性があるとされています。要するに、年功による加給がなくなり、職務内容と成果に応じたジョブ型雇用になるということでしょう。
おそらく大企業はトヨタに横並びということで、同じような人事制度を導入していくと思われます。日本を代表するトヨタが導入するなら何も怖いものはありませんし、組合の抵抗や世間の批判もかわせるでしょう。ただ、こうした制度の導入は日本企業にとって遅すぎたのではないか、というのが筆者の個人的な考えです。
終身雇用や年功序列人事が悪いと言っているわけではありません。それがまともに稼働し、かつ業績を上げるのであればどのような人事制度でもかまいません。筆者もサラリーマンを35年ほどやりましたから、ボケ〜っと昼寝しているだけで給料をもらえる部長さんも知っていますし、オーナーの気分に終日振り回されて文句も言えない草食系役員の気持ちも分かります。
とにもかくにも、定年退職まで年々アップしていくサラリーがもらえ、若手から持ち上げられ、それなりの役職につければまあよし、というのが昭和時代でした。なので、今回令和になってトヨタが定期昇給を実質的にやめるというのはエポックメイキングなことです。もっとも、諸外国ではもともとそんな制度はありませんから日本が特殊だっただけなのですが。
でも企業はやらざるを得ない
筆者も社会人の子供がいますから、何の心配もなく給料が年々上がっていって、それなりの生活をしてくれればいいと思います。でも、そんなことはありえませんよね。
トヨタであろうが、社員1人の会社であろうが、会社たるもの利益を上げてナンボです。人件費はどこでも経費の半分以上ですから、人件費を抑えにかかるのは当然です。
その一方で、利益に貢献するのも社員。いくら優れた商品でも、開発する人・売る人がいなければ売れません。ネット化しても、売れるように仕組む人がいないと売れません。つまり、利益に貢献しない人は新人だろうがオジサンだろうが、評価は同じということです。
ただ、もう一歩踏み込んで言うと、デキナイ人には退職金を払って辞めてもらうと言い切っていないところがまだまだ日本的でカワイイところではありますが…。
多少勘違いされていると思いますが、外資系企業が簡単に社員を解雇できるわけではありません。日本で営業している限り日本の労働法に縛られますから、そんなことはありません。しかるべきプロセスを踏まないと、結局裁判沙汰になって企業側が負けることになっています。
もっとも、裁判に持ち込んで結審までは最低2〜3年かかることを考えますと、社員としては退職勧奨に応じリーズナブルな退職金をもらって辞めたほうがよっぽどマシです。これは筆者の経験に基づいています。
サラリーマンも「個」として生きる時代に?
さて、これからの時代を生き抜くにはどうすればいいのでしょう。万人が万人、自らビジネスを立ち上げられるわけではありませんし、大半の方はサラリーパーソンで過ごす時間が多いはずです。
しかしながら、「人」というのは企業にとって貴重な資産。その「人」である読者のみなさんは、自分という資産を最大限活かすことを考えましょう。
仕事から逃げたり、サボったりするのはよくありません。しかし、ご自身の能力を活かすべく、会社の時間を使って次のチャンスに備えるのは「あり」だと思います。加えて、転職もどんどんしましょう。トヨタがだめならホンダで、ホンダがダメならメルセデスで(笑)。チャンスのあるところに向かうべきです。異業種でもOKだと思います。
実際、海外では同業種間での転職は珍しくともなんともありません。自動車産業でも金融業界でもです。そもそも、日本の中でトヨタから日産へ、三菱UFJ銀行からみずほ銀行への転職が一般的ではないほうがおかしいのです。企業同士引き抜き合いをすれば、自ずと競争力が高まるでしょう。
大企業の名前だけ出しましたが、非上場企業でも同じです。そうやって、日本企業全体がより強くなることを願います。
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