FPD装置大手のアルバック、新中期経営計画を策定
LIMO / 2020年9月1日 20時0分
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FPD装置大手のアルバック、新中期経営計画を策定
半導体・電子を伸ばす
㈱アルバックは、2022年度(23年6月期)までを対象とした新中期経営計画「Breakthrough2022」を策定した。従来主力だったFPD(Flat Panel Display)製造装置の利益体質を強化するとともに、半導体・電子部品向けの装置事業を拡大し、売上高を19年度実績比13%増の2100億円、営業利益率を8.6%から16%以上へ高める。これに向けて研究開発費に3年で500億円を投じ、半導体・電子の比率を7割にまで向上する。
主力はFPDから半導体・電子へ
アルバックは産業・研究用真空装置の総合メーカーで、真空下で機能性の薄膜を形成する技術に強みを持つ。なかでも、大型FPD用のスパッタリング装置では、米Applied Materialsと並ぶ世界2強の地位にあり、これまでは主に液晶ディスプレー用の装置メーカーとして、FPDの大画面化や高精細化を支えてきた。
だが、これまでの主力だったFPD市場では、液晶の大型投資に一服感が強まり、同社では大型テレビ用液晶への投資は、年内に見込まれる中国大手パネルメーカーの商談で一段落し、その後は8K対応など限定的なものになるとみている。
一方で、同社は6年前から電子機器事業の改革に取り組み、前中計の3年間で同事業の利益率を約6%改善した。スパッタ、CVD、エッチャー、アッシャーなど様々な装置を同一プラットフォームで提案できるモジュール化と標準化を進め、ロジック最先端プロセスへの参入などを実現した。この成功事例を今後、他の事業にも展開していく。
半導体と電子は売上1.6倍に
半導体と電子は、新中計の3年間で売上高をそれぞれ1.6倍に拡大する。ロジックでは、EUV露光の導入に伴うメタルハードマスク用スパッタ工程に新規参入できた。これを皮切りに、DRAMの材料変化に伴う新工程への参入を図るほか、PCRAMのスパッタ工程、バッチ式自然酸化膜除去装置の量産対応などで成長を目指す。
電子分野では、中国が進める国産化をビジネスチャンスとして取り込む。商談が急増しているため、モジュール化で装置提案の機会を拡大し、パワーデバイスやMEMS、オプト、通信デバイス向けに現地サポートの強化やデモ機設置の拡充などで新たな顧客を開拓していく。
パワーデバイスでは、シリコンIGBT裏面用スパッタで豊富な実績があり、これを台湾や中国に展開し、300mm化で生産性を向上する。IGBT・SiCイオン注入装置もアジアや欧州へ展開し、GaNによる低消費電力化の開発にも取り組む。
MEMSでは、すでに強誘電体スパッタ技術によるCMOS上へのPZT-MEMS成膜装置で量産実績がある。今後は半導体レベルの装置技術が求められると想定し、センサーやアクチュエーター向けに欧州・アジアのリーディング企業や研究機関と先行開発を活発化していく。
通信デバイスでは、SAW/BAWフィルターやRF用GaNデバイスなどの成膜・エッチング用途を狙う。得意の材料開発も含めた技術革新を図り、5GやIoTの普及による搭載数増加を商機とする。
FPDは次世代パネル技術に対応
FPDは22年度に減収を見込む。有機EL用の蒸着装置は苦戦中だが、バックプレーン(背面駆動基板)にはチャンスがあるとみて、8K対応や次世代有機EL技術の構築に取り組む。また、ロール・ツー・ロール装置を電池の製造用に伸ばしていく考えだ。
このほか、有機EL向けでほぼ100%のシェアを持つクライオポンプを中心としたコンポーネント、IGZO向けにシェア約7割を誇るマテリアル(材料ビジネス)も拡充。約9000台に上る納入実績をベースとしたカスタマーサポート事業もパッケージ展開で伸ばし、19年度に売上構成比28%だったサポート事業を22年度は30%まで高める方針だ。
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