私は父親にとって「駒」でしかなかった。アル中の父親が放った忘れられない一言
LIMO / 2020年9月5日 20時15分
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私は父親にとって「駒」でしかなかった。アル中の父親が放った忘れられない一言
先月、多くの人に衝撃を与えたのが、人気俳優・三浦春馬さんの死。あまりに早すぎる別れであったからこそ、死の裏に親との確執があったのではないかという推測も飛び交いました。
そんな状況下で、自身の親との確執を思い出したと語るのは埼玉県に住む、佐久間恵さん(仮名)。
「モラハラで酒浸りな父親と過ごした日々は、本当に地獄でした。私はあの人にとって、ちっぽけな存在に過ぎなかった。」
私の家族は“理想的”なんかじゃない
絵に描いたような、理想の家族―。幼少期、恵さんは周囲からそんな言葉をかけられていたそう。控えめで上品な母親と、人当たりがよくて優しい父親…。しかし、それは表の姿。有香さんが見てきた本当の姿は全く違うものでした。
「母親は控えめというより、アル中の父親に怯えていました。父親は自分の思い通りに家族が動かないと罵声を浴びせたり、無視をしたりする人。些細なことで機嫌が180度変わるため、どんな言葉を口にしたらいいのかといつも考えていた。機嫌が悪いとドアを勢いよく閉めるので、母と私はその音にもビクビクしていました。」
父親の飲酒量は年々多くなっていき、恵さんが中学生になる頃には会社を辞め、昼間から浴びるようにお酒を飲むように。そのため、母親は昼間は飲食店でパートをし、夜はスナックで働き始めたそう。
「父親とふたりで過ごす時間が増えて、苦痛でした。料理ひとつとってみても、自分は動かないくせに文句ばかり。今でも覚えているのは、お米を炊く時に水の配分を間違えてしまって少し柔らかくなってしまったら『こんなにもどうしようもない馬鹿はいない』とか『人様に笑われるような子だ』と暴言を吐かれたこと。」
社会に出ていった時に恥ずかしくないよう、俺が躾けてやってるんだから感謝しろ―。父親は暴言を吐く時、必ずそんな言葉を口にしたそう。「暴力は振るわれませんでしたが、少しでも言い返すと物を投げられたり、さらに人格否定されたりしたので、何も言えなくなりました。声があり、言葉も知っているのに何も言えない。悔しかったです。」
高校生の私が絶望した「父親の本音」
そんな毎日を生き抜いてきた恵さんの心には今もなお、癒えない傷がたくさんあります。中でも一番彼女の心を苦しめているのが、高校生の頃に言われた“ある言葉”。
高校2年生になり、進路を考え始めた恵さんは動物関係の仕事に就きたいと思うように。専門学校に入ろうと考え、色々な学校からパンフレットを取り寄せていました。「ある日、偶然、父親にそのパンフレットを見られてしまって…。」娘が思い描く未来図を知った父親は恵さんにこんな言葉を言いました。
「そんなくだらないことに使う金、うちにはない。どうしても行きたいんなら、自分の身体で稼げ。無理だろ?だったら、一生、俺の駒でいろ。」
恵さんはその言葉を聞いて、自分が父親にとって娘ではなく、ただの駒としてしか見えていないことに深い悲しみを抱きました。「父親のことはずっと大嫌いでした。でも、どこかで娘だからお父さんのことを守らないと、助けないとっていう考えがあった。だから、そんな気持ちを踏みにじられたような気もしました。“親子ごっこ”さえも、私たちはできていなかったんだなと。」
家を出て「駒」ではない人生を歩む
その後、恵さんは家を出ることを一番の目標として考えるようになり、高校卒業と同時に家を離れ、新しい土地での生活をスタートさせました。「母親に相談したら、自分の好きな道を歩めばいいと言ってくれたので、私が一番望む未来ってなんだろうともう一度、じっくり考えた。そしたら、“家を出たい”という願望が真っ先に浮かんだので、仕事は選ばず、とりあえず家を出てみようと思って。」
四六時中、父親の目を気にし、暴言に怯える生活から解放されると、恵さんの心に初めて怒りが湧いたのだそう。「父親といる時に悲しい、悔しいという気持ちはよくこみあげてきましたが、怒ることはできなかった。諦め、嫌いながらもどこかで愛してほしいと願っていたのかもしれません。」
現在、恵さんの父親は肝臓を悪くし、入院中。しかし、彼女は一度も見舞いに行っておらず、これからも行く気はないと言います。「あの人にとって私は駒。親子じゃないと言われたも同然。だから、行こうとか行きたいとか思わない。正直、死んだとしても泣けないと思います。」
そう語る恵さんは今、駒ではない人生を生きています。
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