尖閣諸島奪取に突き進む中国の狙いは何か〜持久戦化する問題
LIMO / 2020年9月9日 20時0分
尖閣諸島奪取に突き進む中国の狙いは何か〜持久戦化する問題
新型コロナウイルスの感染拡大以降、中国と尖閣諸島を巡る情勢が多く報道されているように思う。100日以上連続で中国公船が尖閣近海に現れたり、日本の漁船を中国船が追尾するなど、その行動はより先鋭化しているようにも見える。
我々は一丸となって尖閣諸島を守らなければならないが、中国がそこまでして尖閣諸島を狙う理由はどこにあるのだろうか。
石油資源、日米台へのけん制
中国は尖閣諸島を固有の領土と主張し、台湾や香港と同じように自らの核心的利益に位置づけるが、中国が固有の領土と主張し始めたのは、1969年に国連が東シナ海に石油埋蔵の可能性があることを発表して以降であり、固有の領土と主張するには程遠い感がある。
しかし、いずれにせよ、中国が尖閣諸島を狙う理由の1つに、石油埋蔵の可能性を含めた経済的背景があることは間違いない。
しかし、近年の中国の海洋覇権を考慮すると、理由はそれだけではない。
まず、地理的に尖閣諸島は台湾に近い。尖閣諸島を占拠することによって、中国は台湾を軍事的にこれまで以上にけん制することが可能になる。
台湾にとって、中国は台湾海峡を挟んだ“西からの脅威”、南シナ海からの“南からの脅威”というイメージだったが、尖閣諸島となれば“北からの脅威”にも直面することになる。
また、尖閣諸島は当然ながら石垣島などにも近く、米軍が駐留する沖縄本島を含め、米国や日本を一層けん制することが可能となる。
尖閣諸島の南シナ海化
さらに、西太平洋への影響力拡大を狙う中国としては、尖閣諸島は大陸からより遠くに離れた都合の良い場所でもある。第一列島線を確保するという意味でも戦略的に重要な拠点にある。
簡単に言うと以上のような理由があるが、それを達成するためにも、中国には尖閣諸島を南シナ海化したい狙いがある。
南シナ海の南沙諸島や西沙諸島では、軍用滑走路の建設など中国による軍事拠点化が一方的に進んでいるが、中国には尖閣諸島の南シナ海化を押し進め、そこを拠点に米国や日本をけん制するだけでなく、台湾侵攻や西太平洋進出のための最前線基地にする狙いがある。
しかし、そう簡単に上手くいかないことは中国も十分承知のはずだ。よって、中国が取る戦術は、小さな行動を積み重ねて徐々に自らに有利な環境を作っていく“サラミ戦術”である。
中国は持久戦を想定している。尖閣諸島近海で中国公船が航行を繰り返すのはその小さな行動の一部であり、尖閣諸島の問題は長期的に続く。中国が狙っているのは、海上保安庁や自衛隊、米軍の“疲労、疲弊”である。
今後とも中国による日本や米国を“疲れさせる戦術”は続く。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
政府が「領土・主権展示館」拡張へ…固有領土の北方領土・竹島・尖閣諸島に関する発信を強化
読売新聞 / 2024年9月15日 22時43分
-
中国「琉球研究センター」設立へ 大連海事大学が準備、日本けん制
共同通信 / 2024年9月12日 16時5分
-
南シナ海の緊張が世界貿易に与える影響―独メディア
Record China / 2024年8月29日 9時0分
-
中国軍機による領空侵犯の衝撃 7月の対抗措置か…「沿岸諸島は影響が大きい」と指摘される背景
東スポWEB / 2024年8月27日 6時5分
-
日中関係の再考 その6 中国の無法な海洋戦略
Japan In-depth / 2024年8月21日 11時0分
ランキング
-
1高齢者のダイエットは危険!実は寿命を削ってしまう可能性もあることが判明
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月19日 11時0分
-
2マイナ保険証では"大損"する人が続出…廃止される健康保険証だけに記載された最重要情報で医療費は雲泥の差
プレジデントオンライン / 2024年9月19日 10時15分
-
3ローソン、107円になる「長すぎるパン」を発売 「大きすぎるパン」も KDDIと共同開発した背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月19日 16時44分
-
4日系企業、社員の一時帰国容認も=邦人に募る不安―中国・男児襲撃事件
時事通信 / 2024年9月19日 21時1分
-
5お金持ち流!100円ショップで買うもの・買わないもの
オールアバウト / 2024年9月18日 21時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください