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どうする「家事シェア問題」~妻のホンネ・夫の困惑~

LIMO / 2020年9月11日 11時55分

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どうする「家事シェア問題」~妻のホンネ・夫の困惑~

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけとした外出自粛やテレワークへの切り替えなどにより、家族と自宅で過ごす時間が増えた人も多いでしょう。

「おうち時間」が長くなることで、これまで気がつかなかった、あるいは見て見ぬふりをしてきた夫婦間の家事・育児シェアにまつわる問題が表面化しているという指摘があります。

共働き世帯が増え、家事・育児の分担を巡ってパートナーへの不満を抱える夫婦が少なくないようです。そこで、夫婦それぞれの本音と、価値観をすり合わせてよりよい関係性を築くためにはどうしたらいいのでしょうか。

共働きが増えても「家庭を守るのは妻の役目」

内閣府が2020年7月に発表した「令和2年版(2020年)男女共同参画白書(http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/gaiyou/pdf/r02_gaiyou.pdf)」では、男女それぞれが家事や育児、介護などにかける時間と仕事をする時間の変化について、以下のように概要を記しています。

 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という、いわゆる性別役割分担の考え方について、「反対」と「どちらかというと反対」を合わせた回答が男性の約55.6%、女性の約63.4%を占めており増加傾向にある。

 女性が家事・育児・介護にかける時間は、晩婚化や未婚化の影響を受けて減少しているものの、既婚女性においてはほぼ変化なし、もしくは増加している。

6歳未満の子を持つ共働き世帯において、妻は育児のために仕事を削って家事や育児などの時間を大幅に増やしており、夫は仕事を削ることなく可能な範囲で家事時間などを増やそうとしている。

 女性が仕事にかける時間は増加しているが、共働き世帯のほとんどの妻が短時間勤務であり、働く時間は圧倒的に夫の方が長い。

共働き世帯でもいまだに稼得役割の多くを夫が担っており、妻が家事や育児のために自分自身の生活バランスを大きく変えて、家族のライフステージの変化に対応している現状がうかがえます。

「夫は外で仕事、家のことと子育ては妻の役目」という考え方に否定的な人が増え、男女が共同で家庭を運営する意識が浸透しつつあるものの、依然として「妻が主体となって家庭を守っている」世帯が多いのが実態のようです。

疲弊する妻たち

性別役割分担に対する意識は変化しても、家事・育児の大部分を女性が担っている現状で、仕事と家庭の板挟みになっているのが共働き家庭の妻たち……。

役割が多すぎる

2人の子供を育てるAさんの話を聞いてみましょう。

「仕事や身の回りのことはもちろん、子どもと夫の世話に家事全般、義実家とのやりとり、子どもの通う園や学校の先生やママたちとの付き合いに、PTAの係…。自分の役割と負担が多すぎて常に疲れている状態です。

生活するにはどうしてもお金が必要で、現に共働きの家庭もどんどん増えていますよね。でも、夫は『家のことや子どもの世話は稼ぎが少ないお前がやるべき』の一点張り。私だけが家の中でも外でもやることに追われています。夫にはゴロゴロするだけの休日というオフがちゃんとあるのに、私にはそんな日はありません」

「見えない家事」問題

Aさんは、勤務形態や収入の差を理由に家事・育児のほぼすべてを丸投げされている状態に疲れ切っていました。さらに、自分が日々こなしている家の中の仕事が「価値のある労働」だと認められないことにもストレスや虚しさを感じていました。

近頃よく聞かれるようになった「名もなき家事」の問題。例えばゴミ捨てのために家中のゴミを集めて分別し、ついでに排水溝を掃除し、最後に次のゴミ袋をセットするまでの一連の作業が挙げられます。

ほかにも、いつでも清潔に調理できるようにまな板をこまめに漂白すること、吸い込みが落ちないように掃除機のフィルターを掃除することなども。「料理」や「掃除」といった目に見えてわかりやすい作業だけでなく、それを円滑に進めるために必要な「下準備」があるからこそ、毎日快適な生活が送れるのです。

この「名もなき家事」に奔走する妻たちに対して、夫たちは感謝したり労ったりするどころか、そもそも妻たちがそうした業務を日々担っていることに気付いていない場合も少なくありません。

家事シェアのためには、まず当事者意識が必要!

家の内外で求められる多くの役割をこなし、労働として認識すらされない「名もなき家事」。それらを一手に引き受けて疲弊していく妻たちがいる一方、パートナーから突然持ちかけられる家事シェアの提案に困惑した夫側の声も聞かれます。

Bさんは子どもの入園を機に外で働き出した妻に「共働きになったのに、自分だけが家事や育児をすべて負担しているのはおかしい。これからは2人で分担したい」と言われて戸惑ったとのこと。思わず「結婚して何年も経った今、どうして突然そんなことを言い出すんだ」と怒りの感情を露わにしてしまいました。

妻の側にしてみれば、共働きであれば、家のことも分担してやるべきだと当然のことを言っただけ。ところがBさんにとっては、結婚当初から家のことを妻がやっているのはそれこそ「当然」で、その価値観を変えるのは並大抵のことではないのです。

そもそも家事・育児に対する当事者意識に欠けているため、いきなり「家事をすべて妻へ押し付けてひどい」と糾弾されたインパクトが大きすぎたのかもしれません。

こうした状況下でなんとか価値観の溝を埋め、家事シェアをすすめていきたいとき、糸口になりそうなポイントが2つあります。

ポイント①「最初は1つのタスクから」

1つは「いきなり大部分をシェアしようとせず、何か1つだけやらないことから始める」こと。「食器洗いはもうしない」「ゴミ捨てはゴミ箱の中身をまとめるところから全部やって」と伝え、それ以降は本当にやめてしまいます。

はじめのうちは反発があるかもしれませんが、シンクに溜まり続ける食器や中身が溢れるゴミ箱を目にすると「さすがにこれはやらなきゃ」と動き出す人も多いそうです。

ポイント②「伝え方に注意」

もう1つは「伝え方に少し配慮する」こと。「もっと早くに言えばよかったのに、言い出せなくてごめんね」という一言を添え、相手の感情に配慮しながら話を進めます。

特に、意図的に家事を押し付けているのではなく、単に当事者意識がなかっただけ、という夫の場合、理解が得られやすいようです。

さいごに

おうち時間が長い今、できるだけ平等な当事者意識を持ちながら業務をシェアして、互いに気持ちよく日々の生活を送れるようにしたいもの。

この機会に、夫婦で家事・育児への関わり方を見直していけたらいいですね。

【参考】
「令和2年版 男女共同参画白書(概要)(http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/gaiyou/pdf/r02_gaiyou.pdf)」内閣府男女共同参画局

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