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9.11から19年、米国の”対テロ”からの撤退は吉と出るか凶と出るか

LIMO / 2020年9月17日 18時0分

9.11から19年、米国の”対テロ”からの撤退は吉と出るか凶と出るか

9.11から19年、米国の”対テロ”からの撤退は吉と出るか凶と出るか

先週金曜日で9.11テロから19年となった。既に米国は9.11以降の対テロ戦争からの撤退を進めている。

国家と違って見えにくいテロ組織を軍事警察的に追いつめるという、ゴールの見えない“endless war”にはどこかで歯止めを掛けるというのは、今となってはごく自然な考え方かも知れない。

依然として残るジハーディストによるテロの脅威

安全保障上の米中対立の最前線である日本において、中国の海洋覇権や北朝鮮の核・ミサイルに時間(政策決定やメディア報道など)が割かれるのも必然的な流れで、国際的なテロ問題は部分的なものになるだろう。

そして、オバマ前大統領もトランプ大統領も、考え方は大きく違うとしても米国の非介入主義という部分では同じであり、これはバイデン候補が勝利したとしても同様である。米中対立がさらに高揚するなかでは、米国の対テロでの関与はますます薄くなることが予想される。

だが、長年のテロウォッチャーとして、筆者は米国を含めた国際社会の対テロからの撤退が招くリスクを懸念する。

テロリズムに関する論文や研究機関の調査分析、そしてテロ組織の発信などを網羅的に観察しても、アルカイダやイスラム国に代表されるジハーディストの脅威が収まったといえる状況ではない。

確かに、9.11テロ以降、オサマ・ビンラディンなど多くのアルカイダ幹部は殺害され(依然としてアフガニスタンでは数百人レベルで活動しているとの分析結果もある)、イスラム国もシリア・イラクで支配領域を失い、それぞれの全盛期と比べると弱体化して勢いもない。

だが、中東やアフリカ、アジアでは、ぞれぞれの思惑や戦略、忠誠心の度合いなどで違いはあるにせよ、アルカイダやイスラム国などを支持する組織が活動している。

言い換えると、そういった名前や暴力的な主義・主張は、依然として一部の者たちに支持されている。特に、アフリカのサヘル地域ではそういった過激主義を掲げる集団による暴力が増加しており、ブルキナファソやニジェール、マリなどでは深刻な問題となっている。

米国の対テロ撤退は日本人保護への不安につながる

米国のパワーが相対的に低下し、米中対立が強まるなかでは、対テロに割けるマネーやマンパワーには限りがある。

だが、米国が対テロから対中にシフトし過ぎると、中東やアフリカで政治的空白がこれまで以上に生じ、ジハード主義組織が自由に活動できる空間が拡大し、リージョナルな問題が再びグローバルな問題へと変わる危険性もある。

近年、アルカイダは欧米やイスラエルを攻撃する戦略以上に、アルカイダ系組織が活動する地域で住民からの支持を拡大する戦略(医療支援や食糧供給、雇用の提供など)に舵と切ったとも言われるが、中長期的にはそういった地域的な地固めを強固なものにした後、再び欧米などを攻撃する戦略に回帰するとの声も聞かれる。

このまま時間が経過すると、米国は対テロから対中へさらにシフトするだろうが、テロ問題は100万人以上の在外邦人の安全・保護とも重複する問題である。今後の動向が懸念される。

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