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還暦前から知っておきたい「遺族年金」のこと。

LIMO / 2020年9月16日 11時55分

還暦前から知っておきたい「遺族年金」のこと。

還暦前から知っておきたい「遺族年金」のこと。

2019年、金融庁の報告書で話題となった、いわゆる“老後2000万円問題”。これをきっかけとして、老後資金や年金に関心を持つようになった、という人も多いでしょう。日本年金機構の資料によると、40年間会社勤めをしていた夫と専業主婦のモデル世帯がもらえる年金は、月額20万円ほどになるようです。(※(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200401.html))

夫婦がともに40年間会社勤めをした世帯では、これより多くの年金がもらえる可能性が高いでしょう。

(※)「令和2年(2020年)4月分からの年金額等について(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200401.html)」日本年金機構

厚生年金はいくらもらえるのか

厚生労働省の「平成30年(2018年)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(https://www.mhlw.go.jp/content/000578278.pdf)」によると、厚生年金の平均受給額は14万6000円です。単純に2倍すれば1世帯あたり29万2000円を受け取れる、という計算になります。

夫婦2人とも退職金をもらえるのであれば、老後の生活に対する不安はかなり軽減できるかもしれません。老後資金を検討する際には夫婦2人分を想定しがちですが、パートナーが亡くなった場合の生活費や老後資金についても考えておく必要があります。

パートナーの死亡で支給される「遺族年金」とは

公的年金には主に3つの種類があります。

老齢年金

遺族年金

障害年金

このうち、年金加入者が死亡したときに遺族に対して支給されるのが遺族年金です。老齢年金とは異なり、条件を満たせば65歳を待たずに支給されます。

遺族年金がもらえるのは、基本的に年金加入者に生計を維持されていた遺族(受給対象者の年収は850万円未満)のみです。ほかにも、受給資格期間や保険料納付済期間などの諸条件を満たさなければなりません。

遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。

遺族基礎年金

自営業(国民年金の第1号被保険者)や専業主婦(国民年金の第3号被保険者)が死亡した場合、遺族は遺族基礎年金の支給対象となります。

遺族基礎年金がもらえるのは「子どもがいる人」のみ

遺族基礎年金を受給できるのは、死亡した人に生計を維持されていた「子がいる配偶者」と「子」のみです。「子」とは、18歳になる年度の末日を経過していない子(または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子ども)に限定され、夫婦間に子どもがいない場合はもらえません。条件を満たせば、夫を亡くした妻のみでなく、妻を亡くした夫も受給できます。

遺族基礎年金の金額

遺族基礎年金の支給額は、基本年金額(78万1700円)に「子」の人数に応じた加算額(1人目と2人目は1人につき22万4900円、3人目からは1人7万5000円)を加えた額となります(金額はいずれも2020年度分)。

遺族厚生年金

会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者が死亡した場合、遺族は遺族基礎年金および遺族厚生年金の支給対象となります。

遺族厚生年金は受給条件に性差がある

遺族厚生年金は、遺族が「妻」の場合と「夫」の場合で要件に大きな違いがあり、55歳未満の「夫」は対象外です。遺族厚生年金が受給できる対象者は下記の通りです。

妻(夫の死亡時に30歳未満でかつ子のいない妻は、5年間の有期給付)

子、孫18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限る)

55歳以上の夫・父母・祖父母(支給開始は60歳から)

遺族厚生年金の金額

遺族厚生年金の支給額は条件によって大きく異なります。非常に大まかな計算ですが、、年収700万円で会社勤め10年間の夫が亡くなった場合、支給される遺族厚生年金は70万円程度であるとされます。

妻のみが利用できる「中高齢寡婦加算」

遺族が妻の場合は、遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」が加算される場合があります。遺族基礎年金は子が18歳を過ぎると支給が止まるため、生計の維持が困難になる人も少なくありません。「中高齢寡婦加算」はこれを補う役割を果たすもので、下記の条件を満たす場合に支給されます。

夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻

40歳に到達した当時、子どもがいるため遺族基礎年金を受け取っていた妻が、子どもが18歳(1・2級の障害の子どもの場合は20歳)に到達したため、遺族基礎年金を受給できなくなった場合

中高齢年寡婦加算の金額

遺族厚生年金に遺族基礎年金の4分の3(2020年度は年額58万6300円)が加算されます。自分自身の老齢基礎年金を受給すると、中高齢寡婦加算は支給停止となります。

65歳からもらえる年金はどうなるの?

冒頭で紹介したようなモデル世帯で夫が亡くなった場合、条件を満たす妻には一生涯遺族厚生年金が支給され、65歳からは自分の老齢基礎年金が加算されます。一方、妻を亡くした夫は、遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給することができます。65歳からは、自分の老齢基礎年金と老齢厚生年金のみが支給されます。

遺族厚生年金と老齢厚生年金の関係

厚生年金保険に加入していたパートナーを亡くした人が、老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方を受ける権利が出てきた場合、老齢厚生年金が優先的に全額支給されて、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する分だけ支給停止となります。遺族厚生年金よりも自分の老齢厚生年金のほうが多い場合では、遺族厚生年金は全額支給停止になります。

遺族厚生年金の年金額(令和2年4月分から)

報酬比例分の年金額は、①の計算式で算出した額となります。ただし、①で算出した額が、②算出した額を下回る場合は、②で算出した額が報酬比例分の年金額になります。

① 報酬比例部分の年金額(本来水準)
【平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数】+【平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数】 ×3/4
※加入月数が300月に満たない場合は300月で計算。

② 報酬比例部分の年金額(従前額保障)[平成6年の水準で標準報酬を再評価し、年金額を計算したもの]
【平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの加入月数】+【平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以降の加入月数】 ×1.002(※)×3/4
※昭和13年4月2日以降に生まれた人は1.000

「もしも」の時に備える

夫婦がそろって年金をもらえる年齢まで元気で過ごせるのが理想でしょう。家計を支えていた人が亡くなるとたちまち生活が厳しくなるおそれがあります。ケガや病気をすることで働けなくなる可能性も想定しておく必要があるでしょう。

将来もらえるはずの年金が減り、ライフプランの見直しが必要になることも考えられます。「パートナーの死亡を前提とした話なんて…」と思う人もいるかもしれませんが、しっかり情報を集めて夫婦間で共有しておくことが大切です。現役時代にできるだけ貯蓄をしておくなど、万が一に備えておきたいものですね。

【参考】
(※)「令和2年4月分からの年金額等について(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200401.html)」日本年金機構
「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(https://www.mhlw.go.jp/content/000578278.pdf)」厚生労働省
「遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html)」日本年金機構

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