夫の会社の「働き方改革」に、妻たちは何を望んでいるのか。
LIMO / 2020年9月17日 11時55分
![夫の会社の「働き方改革」に、妻たちは何を望んでいるのか。](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_19321_0-small.jpg)
夫の会社の「働き方改革」に、妻たちは何を望んでいるのか。
「働き方改革」に向けた政府や企業の取り組みをよく耳にしますが、その反面、何も実施していない企業も少なくないよう…。関係する調査結果を見れば、それほど浸透していないことが窺えます。
今回は夫の職場の働き方改革が与える、家庭環境や妻の心理への影響について見ていきましょう。働き方改革が進められて数年が経ちますが、家庭にまで出てきている「差」とは一体?
夫の職場の「働き方改革」妻たちはどう見ている?
リスクモンスター株式会社が20~49歳の既婚者(女性個人600人)を対象とした「離婚したくなる亭主の仕事(https://www.riskmonster.co.jp/study/research/pdf/202003.pdf)」の調査データを公表しています。
データによると、夫の勤務先で働き方改革が実施されているという回答は全体の44.7%。過半数以上が、働き方改革は実施されていないと答えています。働き方改革の取り組みをしていない企業が今なお多いという、驚きの結果でした。
夫の勤務先の働き方改革の実施内容を聞いてみると、上位に「残業の制限(55.2%)」「有給休暇取得の促進(54.5%)」「育児休暇の導入(27.2%)」が挙がります。
これらの項目は、実施の認知が高いのに加え「今後進めて欲しい『働き方改革』」の回答にも挙がっていました。「有給休暇取得の促進(36.8%)」「残業の制限(35.2%)」「人員増加による業務負担の軽減(28.2%)」となっています。働き方改革を実施していても、本当に求められる実施内容とは、まだどこか食い違っているのかもしれません。
夫の長時間労働と家事に対する協力度の関係
リンナイ株式会社が、日本を含めた世界5カ国、30~49歳の夫婦共働きの男女500人(各国100人)を対象に実施した「世界5カ国の『共働き』に関する意識調査(https://www.rinnai.co.jp/releases/2018/0208/)」の結果をみてみましょう。
夫婦で家事分担をしていますか?という質問に対する、各国のYESの回答率は以下のとおりです。
1位:アメリカ…93%
2位:韓国…87%
3位:デンマーク …84%
4位:ドイツ…77%
5位:日本…56%
そして、上記の「トップ」と「最下位」が逆転しているのが、各国の共働き夫婦の平日の仕事時間です。
1位:日本…9.19時間
2位:韓国…8.72時間
3位:ドイツ…8.42時間
4位:デンマーク …7.64時間
5位:アメリカ…6.68時間
この結果から、労働環境と家事分担との密接な関わりが窺えますね。また長時間労働の傾向があると、夫婦のどちらかが契約社員やパートなど残業が少ない働き方を選び、家事を引き受けるという状態も起こりやすいでしょう。
夫の長時間労働に限界!家庭への軽視できない影響
進められている働き方改革の施策を見ると、男性の働き方が変わることへの期待も大きくなっています。しかし男性の働く環境やスタイルの変容は、期待されるほどスムーズに進んでいないのが現状…。
仕事時間が増えるほど、家庭のことに構う時間がなくなるのは必然でしょう。そのことに妻たちは不満を募らせているのです。
家事のほとんどが妻任せになるのはもちろん、子どもがいれば育児や学校関連も丸投げ。妻たちはワンオペ育児状態になります。「自分ばかり、24時間365日、常にせわしなく動いている気がする」という女性も少なくありません。
夫が残業で帰りが遅ければ、家事も育児も1人でやるしかありません。忙しい時間に夫がいない!と心身を疲弊させる妻の姿が浮かびます。また遅い時間まで帰りを待つ負担も大きいでしょう。深夜になれば、会話やすべき相談も、お互いに疲れや遠慮からスルーしがちになるのでは…。
このような状況が日々積み重なれば、不快な気持ちになるような会話だけが交わされたり、夫婦関係が危機的状況に陥ったりしても、なんら不思議ではないでしょう。
さいごに
夫の長時間労働によって、家事や育児などの多くを妻だけでこなす負担が増えます。心と体両面の健康はもとより、幸福度だけではなく、夫婦関係にもさまざまな影響を及ぶリスクがあるでしょう。
各企業には「働き方改革」へのさらなる取り組みが求められています。そして、管理職を含めた働く側、そしてその家族にも、意識改革が必要ではないかと筆者は感じています。
職場では上司と部下、家庭では夫と妻が、それぞれの状況や意見を伝え、タスク分担について話し合える環境を作っていく。そんな試行錯誤が、「働き方改革」の浸透につながるアクションの一つなのではないでしょうか。
【参考】
「第7回『離婚したくなる亭主の仕事』(https://www.riskmonster.co.jp/study/research/pdf/202003.pdf)」リスクモンスター株式会社
「世界5カ国の『共働き』に関する意識調査(https://www.rinnai.co.jp/releases/2018/0208/)」リンナイ株式会社
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