ダブルインカムで憧れの「世帯収入1000万円」稼いで得たもの・失ったもの
LIMO / 2020年9月17日 18時15分
![ダブルインカムで憧れの「世帯収入1000万円」稼いで得たもの・失ったもの](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_19322_0-small.jpg)
ダブルインカムで憧れの「世帯収入1000万円」稼いで得たもの・失ったもの
裕福に感じる世帯収入の目安として、よく例にあげられる1000万円という金額。夫一人で稼ぐとなるとかなり狭き門と思う人も多いのではないでしょうか。反面、正社員の妻を持つ家庭だと「ある程度継続して働いてきた妻と夫の給与を合わせるとそこまでハードルの高い金額ではない」そんな印象になるかもしれません。
そんな「ダブルインカム」とは、夫と妻の「共働き」を意味する言葉。1世帯で二つの収入源があることから「double(2重の)+income(収入)」と呼ばれています。
そのダブルインカム家庭に対し「妻にキャリアがあれば簡単に世帯収入を2倍にできて羨ましい」と専業主婦サイドから見ても思いがちです。しかし、その金額を稼ぐことで得たものもあれば失ったものもあったといいます。
働く女性の500万円以上稼ぐ割合は?
国税庁が2019年9月に公表した「民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)」によりますと、1年を通して勤務した給与所得者5026万人のうち、1000万円以上の年間給与所得を得ているのは約250万人で全体のおよそ5%にあたります。ちなみに、女性だけの給与所得者を比較してみると1000万円以上を得ている人は全体のわずか1.2%という結果に。対等といわれる「夫と同じだけ稼いで世帯収入1000万円を目指す」のに必要な500万円以上の給与所得を得ている割合を調べてみると、それだけ収入を得ている人は全体の12.2%でした。
一方、働く女性のうち59.8%が300万円以下の給与所得者ということもわかりました。これらの結果は未婚・既婚を分けていない調査である点も考えると、ワーキングマザーが男性と同等に稼いで「夫婦合わせて1000万円稼ぐ」というハードルはかなり高いものであることを物語っているのではないでしょうか。
同僚である妻のメリット
なかなか険しい道である「同等に稼ぐ夫婦」。まったく存在しないのかといったら、一概にそうともいえません。地方公務員として働くKさんのご主人は同じ職場の一つ上の先輩だそう。
「夫は自分と同じ職種のため、業務も似たものが多くいつも気軽に相談ができる存在です。ただ、妊娠・出産の際は私が産休・育休を取り、夫はあくまでサポートという感じではありました。復職後は、最初のうちは私が時短勤務を申請していましたが、子供がある程度大きくなると私もフルタイムに復帰。保育園や小学校の用事は、仕事の繁忙期でない方がやるというスタイルにしました。
同等の給与をもらうからには、私も残業をする時期があります。そういったときは夫が仕事をなるべく早めに切り上げ、家のことや子供の世話をしてくれています。「同じだけ稼ぐ」ということは、「家のことも同じくらいできなければうまく回らない」ということ。もし夫が家のことをしない人だったら、私はとっくに仕事を辞めていたかもしれません。あと、気を付けていることは二人とも忙しいときは割り切ってお金で解決する。あれもこれもと思うとパンクしてしまうことが目に見えているので、そのあたりは無理をしないように気を付けています。」
同じ職場ということで相手の業務がイメージできることで、そのとき「自分ができること」を自然と探すようになったというKさんご夫婦。たくさん稼ぐためには多少の出費も必要経費と考えることがポイントのようです。
対等の収入を得るために失った時間
また、夫と同じだけ稼いでいるというRさんは「この収入と引き換えに、失ってきたものがあると感じる」といいます。
「正社員で働いていており、産休・育休を経たあとは通常勤務をしています。私の職場には派遣社員の方やパートの方などもいるため、そういった方の不測の事態には自分が対応しなければなりません。これら責任のある立場と両立しながらの子育ては精神的にも肉体的にもかなりハードなものです。急に欠員がでたときなどは家族に負担をかけながら出勤することもあるし、子供が寝た後に家で作業をすることもあります。結果、一番あおりを受けているのは子供だと思うんです。
先日、学校でママ友に会ったとき私の知らない学校での娘の様子を耳にしました。先生からも『もう少しご家庭でお話を聞いてあげてくださいね』なんていわれて…。自分が専業主婦だったら『おかえり』といってあげることもできるし、しっかりと学校の宿題を見てあげたり話を聞いてあげることもできる。今の私は家にいてもどこかで会社のことが頭の片隅にある状態です。そんな気持ちで接しているのが娘にも申し訳なくて」
正社員としての責任と母親としての責任。どちらもRさんにとって大事なことはかわりません。そのため「不器用な自分が両立するのは無理だったのではないか」と常に考えてしまうそうです。
ダブルインカムは楽ではない
きれいなスーツに身を包みさっそうと歩くキャリア女性は、専業主婦から見ると憧れともとれる存在です。「夫の収入が増えないのであれば、自分が外へ出てバリバリ働くことで家も豊かになるのではないか」と思いますが、実際におこなっている家庭では、夫や親族の協力や外部機関の利用が必須であったり、時間が足りず満足に接することのできない子供への申し訳なさに悩む母の姿があったりと悩みは尽きないようです。
世帯収入1000万円への道。キャリア志向の女性が増える今、以前より現実的になっているご家庭も多いかと思います。しかし、現在の日本では、その途中に乗り越えなければならないものや、何かと引き換えなければならない選択などまだまだ山積みなようです。
【参照】
国税庁「民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)」
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