年金受給額はいくら?40代・50代・60代の平均貯蓄額からみえる未来とは
LIMO / 2020年9月20日 20時15分
年金受給額はいくら?40代・50代・60代の平均貯蓄額からみえる未来とは
年金の受給開始年齢は、原則65歳から。しかし、60~64歳など早めにもらう「繰り上げ受給」や、受給開始年齢を70歳まで遅らせる「繰り下げ受給」など、1ヵ月単位でもらい始める時期を調整することができます。
しかし、一体どのくらい年金がもらえるのか、いくら貯金しておけばいいのか不安を抱えている方も多いことでしょう。
40代・50代・60代の平均貯金額と年金額から、老後を見据えた資産形成について考えてみました。
気になる年金受給額はいくら?
年金は主に全員が加入する「国民年金」と第2号被保険者が加入する「厚生年金」の2階建て。日本年金機構が令和2年4月1日公表した「令和2年4月分からの年金額等について(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200401.html)」によると、令和2年4月分(6月15日支払)からの年金額は昨年度と比べ0.2%の増額となりました。その年金額の一例がこちら。
国民年金:65,141円(老齢基礎年金 満額1人分)
厚生年金:220,724円(夫婦2人の老齢基礎年金を含む標準額)
年金を繰り上げて早くもらう場合は一定の率で年金が減額され、繰り下げる場合は増額されます。
一方、老後必要な毎月の生活費はどのくらいをイメージしていますか?公益財団法人生命保険文化センターが全国の18~69歳男女4,014人を対象に調査した「令和元年度 生活保障に関する調査(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho/2019honshi_all.pdf)」によれば、夫婦2人が老後をすごすための最低日常生活費は平均22.1万円だそうです。趣味やレジャーなどを加味すると、さらに平均14万円ほどかかるとのこと。ゆとりある老後生活を送るためには月平均36.1万円ほど必要ですが、年金でまかなえない分は貯蓄からまわすことになります。
40代・50代・60代の平均貯蓄額は
それでは、気になる40代・50代・60代の平均貯蓄額はいくらなのでしょうか。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/19bunruif001.html)」掲載の「金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯も含む)」から、世代別の平均貯蓄額、および中央値をみてみましょう。
40代:694万円(中央値365万円)
50代:1,194万円(中央値600万円)
60代:1,635万円(中央値650万円)
中央値とは、データの並びで中央にくる値のことです。一般に、平均値よりも中央値のほうが身近な値と感じることが多いでしょう。60代でも貯蓄額の中央値は650万円と、平均よりもかなり下回っている現状が分かります。
退職金などまとまった収入もありますが、ここでは貯蓄650万円のみで単純計算してみましょう。その場合、夫婦2人で約22万円の年金を受け取ったとしても、ゆとりある暮らしをすると約3年8ヵ月で貯金は底をついてしまうことになります。節約した生活を送っても、老後30年ともいわれる超高齢化社会では、いっさい余裕のないギリギリの家計運営となってしまうおそれがありますよね。
老後資金はどのように調達すべき?
老後資金の基本は、「年金額との差額」を余命年数分用意することです。老後資金の準備は早めのほうがいいですが、定年後の資産形成プランを考え、今からでもやれることを見つけておくのが大切です。
【金融商品を使う】
預貯金を運営して老後資金を確保するなら、低リスクで税制優遇を受けられる「つみたてNISA」や「iDeCo」がおすすめです。両者を併用することで予想外の支出に対する備えをしつつ、老後に向けた資産形成が可能になります。
金融審議会が令和元年6月に公表した市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)」をみてみると、20~50代における老後不安の1位は「お金」でした。資金寿命を延ばす手段では「働く」「節約」のほか「若いうちから少しずつ資産形成に取り組む」が挙げられていますが、実際に投資を行っている人は少ないとみられ、意識と行動の乖離があるようです。
【できるだけ長く働く】
高齢者の雇用についても近年さまざまな制度が変化し始めています。厚生労働省「高年齢者の雇用(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page09.html)」では、「65歳までの雇用機会の確保」「再就職の援助」のほか、65歳以上になっても意欲と能力に応じて働き続ける制度について示されています。
できるだけ長く働いて資金を増やし、年金受給を繰り下げることで、受け取れる年金額を上げることも可能です。繰り下げは現在70歳までですが、22年には75歳までに拡大されます。受け取り開始時期にもよりますが、現時点では繰り下げを選択することでだいたい78歳前後を境に年金の総受給額が多くなるそうです。
安心した老後のために今できることを見直して
老後に関する不安は、お金や健康のことをはじめさまざまなものがありますよね。年金制度のこと、自分の会社の退職金、投資方法など、自分たちのライフスタイルや理想の老後をイメージして、まずはいろいろと検討してみることをおすすめします。
少しでも安心できる老後を迎えるためにも、気づいたときから資産形成について考え、今できることを見直してみましょう。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参照】
日本年金機構「令和2年4月分からの年金額等について(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200401.html)」
公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho/2019honshi_all.pdf)」
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/19bunruif001.html)」
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)」
厚生労働省「高年齢者の雇用(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page09.html)」
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