行動科学からつかむ「苦手なあの人」への正しい接し方
LIMO / 2020年9月21日 12時35分
行動科学からつかむ「苦手なあの人」への正しい接し方
身近に苦手な人がいると、毎日ストレスを感じてしまうものです。そういった相手にうまく対応できる方法はあるのでしょうか。
ここでは人の行動パターンを4タイプに分ける「DiSC理論」を紹介し、それぞれのタイプに合った具体的な対応方法をお伝えします。
“いつも苦手なあの人”への正しい接し方が分かれば、普段のコミュニケーションが楽になるはずです。上司・部下との折衝、取引先との商談など、ビジネスでの対人関係においても、きっと役立つ場面があるでしょう。
DiSC理論とは
DiSC(ディスク)理論とは、1920年代にウィリアム・M・マーストン博士が提唱した、人間の行動パターンを分析する理論です。彼はウソ発見器の生みの親としても知られています。
この理論では、人の行動傾向を以下の4タイプに分類します。
D(Dominance)=主導型
i(influence)=感化型
S(Steadiness)=安定型
C(Conscientiousness)=慎重型
一つ注意したいのは、どのタイプが良い悪いというものではありません。あくまで行動特性として捉えるための要素ということです。どんな人もこの4つのタイプに当てはめることができますが、必ずしも一つのタイプとは限らず、複数のタイプを兼ねている人もいます。
自分がどのタイプなのか、そして苦手な相手はどのタイプなのか。自分と相手の特徴や違いを理解することで、スムーズなコミュニケーションの一歩となるでしょう。
それでは、具体的に各タイプの特徴と対応方法を見ていきます。
D(Dominance)=主導型
D:主導型の特徴は、意思決定が早く決断力があることです。
強い意志を持つ勝気なタイプで、チャレンジ精神が強く主体的に行動します。他人からの指図やコントロールされることが嫌いで、自分が仕切りたいタイプです。勝ち負けにこだわり、達成感を重視します。
結果をすぐに求める傾向があり、形式的なルールや場の空気を読むことは重視しません。頼りがいがありますがワンマンタイプともいえるため、自己中心的に思われることも多いでしょう。
D:主導型の相手はせっかちなので、相手の速いペースに合わせることが重要です。何か伝えたいことがある時は結論から端的に説明し、曖昧な表現や態度は避けましょう。相手の顔色をうかがったり、雰囲気を作ったりする必要はありません。
また、自分軸で物事を進めたいタイプなので「本人に決めさせる」「自分が決めたと思ってもらう」ことがカギになります。
i(influence)=感化型
i:感化型の特徴は、ポジティブでコミュニケーション能力が高いことです。
感情表現が豊かなタイプで、周りを自然と明るくすることができます。いわゆるムードメーカー的存在です。人と接することを好み、積極的に色々なチームに加わり、アイデアを共有することを得意とします。
大雑把なタイプのため緻密さには欠け、詳細については無頓着、飽きやすい一面もあります。また、自分が好きか嫌いかといった感情を重視するため、他の人が振り回されることもあるでしょう。
i:感化型の相手は、明るく楽しい雰囲気が好きで、オープンなコミュニケーションを求めます。 先ほどのD:主導型とは異なり、ちょっとした雑談で距離を縮めることが大事です。
人から注目されることを好み、周りとのつながりや評価を重視するため、みんなの前で褒めることはとても効果的です。「一緒に頑張りましょう」といった声かけもよいでしょう。
S(Steadiness)=安定型
S:安定型の特徴は、協調性があり、思いやりがあるところです。
人を助けることが好きで、周りに対して協力的なタイプです。チームワークを大切にし、他人への奉仕に力を発揮します。コツコツと最後までやり遂げる粘り強さがあり、依頼されたことは忠実にこなします。
安定志向で変化を嫌う点も特徴です。自分の予測可能な範囲で行動することを選び、新しいことへの適応は早くありません。意欲はあっても決断に時間がかかります。そのため、積極性に欠けると見られることも多いでしょう。
S:安定型の相手には、何より安心感が大切です。大きな挑戦やリスクを嫌がるので、仕事ではいくつかの段階に分けた具体的な手順を示すといいでしょう。やることを明確に伝えるとスムーズです。
また「みんなが助かっている」「周りのためになる」ことを喜ぶので、そういった場面があれば積極的に伝えてみてください。
C(Conscientiousness)=慎重型
C:慎重型の特徴は、論理的で事実・データを重視する点です。
物事を分析的に考える傾向があり、自分が納得するまで正確さや合理性を求めます。メリットやデメリットも多角的に検討し、じっくり慎重に決断します。計画を立てることに長けている真面目なタイプです。
人の感情よりもデータや数字を重視するため、冷たい印象を持たれることもあるでしょう。また、小さなミスや間違いも許さないきっちりタイプなので、自分にも他人にも厳しい人と思われがちです。
C:慎重型の相手には、データや事実ベースでのやり取りを心がけましょう。ただ仲良くなろうとしても距離は縮まらず、逆に警戒されてしまうかもしれません。論理で納得する人なので、「なぜ」をしっかり伝え、信頼できる根拠を伝えることが大切です。
褒める時も注意する時も、抽象的な言葉ではなく、起きている事実をもとに話すことで相手に伝わるでしょう。
さいごに
人はそれぞれ異なる行動パターンを持っています。自分自身、そしてあなたが苦手に感じている相手は、どのタイプに当てはまるでしょうか?
他人への苦手意識は、ただ単に自分とは違う行動パターンだった、ということも多いものです。だからこそ、お互いのタイプを理解・把握することが、スムーズなコミュニケーションにつながります。なぜなら、適切な対応のヒントになるからです。
ぜひ今回紹介したDiSC理論を活用し、普段のコミュニケーションに取り入れてみてください。
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