増税は10年後に!「巨額赤字で財政は破綻する」が誤りである理由

LIMO / 2020年9月27日 20時0分

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増税は10年後に!「巨額赤字で財政は破綻する」が誤りである理由

日本政府は巨額の借金を抱えているけれども財政は破綻しない、と筆者(塚崎公義)は考えています。

新型コロナ不況への対応として、政府は巨額の財政支出を行う予定です。それにより財政赤字が増えて、日本政府が破産する可能性が高まると心配している人もいるでしょうから、数回にわたって財政を考えるシリーズを組むことにしました。今回は第2回です。

日銀の紙幣印刷等は禁じ手と考えよう

理論的に言えば、日本政府が破産することはあり得ません。日銀に紙幣を印刷させて全ての借金を返済してしまえば良いからです。以上。

というのでは面白くないので、「これはハイパーインフレを招きかねないので禁じ手だ」ということにしましょう。

財産税という手もあります。家計の保有する金融資産は1900兆円あるので、これに税率60%で課税すれば政府の借金1100兆円は一気に返済することができます。しかし、これも暴動が起きそうですから、禁じ手ということにしましょう。

筆者としては、「60年かけて毎年1%ずつ財産税を課せば良い」「相続税率を100%にすれば、数十年内には1100兆円を超える相続税が得られるはずだ」といった選択肢も要検討だと考えていますが、それについては本稿では触れないこととしましょう。

なお、南海トラフ大地震等で日本経済が壊滅的な打撃を受けることがあれば、財政も当然に破綻するでしょうが、そうした可能性は本稿では考えないことにしています。

数千年後には自然と解決する

日本人の少子化が続くと、数千年後には最後の1人が生まれて、個人金融資産1900兆円を相続します。その子が死ぬと、それが国庫に入ります。政府は何の苦労もせずに借金1100兆円を返済することができます。

これは極論ですが、頭の体操としては重要です。第一に、数千年後には全ての問題が解決する理論的な可能性があるということであり、すなわち「財政赤字が巨額であるから、財政はいつかは破綻するに違いない」という考え方が誤りだということを教えてくれるからです。

第二に、「財政赤字は後世に負担を残す世代間不公平だ」という考え方を否定するものだからです。財政赤字だけを考えれば世代間不公平ですが、遺産のことまで考えれば世代間不公平などない、ということがわかるでしょう。

そして、増税は世代間不公平を縮小しない、ということにも理解が必要です。増税すれば財政赤字は減るので将来の増税額は減るが、現在世代の預金が減り、将来世代の受け取る遺産も減るので、世代間不公平の大きさには影響はないのです。

世代間不公平はないけれど、遺産が相続できる子とできない子の間の世代内不公平はあります。そこで筆者は相続税の増税を主張しているというわけです。

10年後には増税が容易になる

いかに筆者でも、数千年待てば良いのだから増税は不要だ、などと考えているわけではありません。MMT論者ではありませんから。

しかし、今急いで財政を再建する必要もない、と考えています。それは、10年待てば今より遥かに楽に増税できるようになるからです。

10年後には、少子高齢化による労働力不足が激しくなり、「好況期には超労働力不足、不況期にも少しは労働力不足」といった時代になるでしょう。「現役世代と高齢者世代の人数比が変わることによって、作る人と使う人の比率が変わる」と同時に「高齢者の消費は医療や介護など労働集約的」だからです。

今、増税が難しい理由の一つが「増税して景気が悪化したら失業者が増えてしまう」ということがありますが、増税して景気が悪化しても失業が増えないならば、今より「気楽に」増税することができるようになるわけです。

もしかすると、10年後には労働力不足で賃金が上昇し、恒常的なインフレ圧力に悩まされるようになっているかもしれません。そうなれば、増税で景気を冷やしてインフレ圧力を弱める必要が出てくるかもしれません。増税がインフレ抑制と財政再建の一石二鳥政策となるわけですね。

常識的には、インフレ抑制は金融引締めの役割ですが、政府が巨額の借金を抱えている時に金融を引き締める(金利を上げる)と、政府の利払いが著しく増えてしまうので、それは避けたいわけです。そこで政府が日銀に「インフレ抑制は増税で行うから、金利は上げないでほしい」と要請するのでしょうね。

国債暴落は起きそうもないし、起きても大丈夫

上記によれば、10年後から増税が開始できるので、数十年後には政府の借金は今より小さくなり、財政破綻の心配は解消されると期待されます。しかし、それまでの間に財政が破綻する可能性はないのでしょうか。

筆者は、大丈夫だと考えています。一つには、日本人投資家が日本国債を買うインセンティブを持っているので、日本政府が資金繰りに窮することにはならないだろう、ということです。この点については拙稿『日本政府は巨額の財政赤字で破綻? そうならない理由は「国債」にある(https://limo.media/articles/-/19211)』をご参照いただければ幸いです。

そうは言っても国債相場が暴落することはあり得るでしょう。そうなれば新発国債が売れずに日本政府が資金繰りに窮することがあるかもしれません。しかし、その場合でも大丈夫だと筆者は考えています。

それについては、財政が破綻する瞬間の大逆転をシミュレーションした拙稿『日本政府が破産する瞬間、大逆転が起きる(https://limo.media/articles/-/7994)』をご参照いただければ幸いです。これは、私の人生で2回だけヤフーニュースのアクセスランキングで1位に輝いた経験のうちの1回ですので、まだお読みでない方は是非。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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