注目度上昇の「リモ葬」に考える、コロナ時代のお葬式事情
LIMO / 2020年9月27日 0時10分
![注目度上昇の「リモ葬」に考える、コロナ時代のお葬式事情](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_19479_0-small.jpg)
注目度上昇の「リモ葬」に考える、コロナ時代のお葬式事情
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、冠婚葬祭を含む「人が集まる場面」に大きな変化が訪れています。
結婚式については多くのカップルが挙式キャンセルや延期を余儀なくされたり、「web婚」「リモ婚」と呼ばれるオンラインスタイルで祝福を受けたりした、という声も。大型連休やお盆の帰省も「オンライン」が推奨されましたね。
一方、延期や「キャンセル」といった選択肢がない「葬儀」に関しては直葬や家族葬といった、ごく少人数でのスタイルを選ぶ家庭が増えているようです。そんな中、オンライン形式の葬儀への注目度も上がっています。
葬儀は大切なお別れの場だからこそ
「オンライン」での集会は、感染症対策など観点でメリットがあると言えます。しかし、とりわけ「葬儀」については「最後のお別れなのに」「そんな方法で供養できるのか」という迷いや不安が生じて当然でしょう。コロナ禍をきっかけに変化しつつある葬祭事情について見ていきましょう。
結婚式
結婚式のケースでは、式の様子をWEBで配信し、ゲストもそれぞれオンラインで参加するというサービスがあります。式のライブ中継だけでなく、招待状の送付やご祝儀の集金もすべてオンライン決済でき、時間的にも地理的にも、比較的自由になるというメリットがあります。
葬儀
しかし、その一方で、葬儀についてはオンラインでの実施に違和感を覚える人も多いのではないでしょうか。もし参列する側であれば選択肢として考えられる方法だとしても、身内の葬儀などの場合は判断が難しくなります。「最後のお別れがこうした形で本当によいのか」という悩みもあるでしょう。
斎場などで執りおこない、勤め先の同僚・上司といった会社関係、近所の人など、かかわりのある人が幅広く参列するケースや、身内のみで行う「家族葬」「直葬」など、葬儀には様々な選択肢があります。
葬儀を身内のみで行った場合、後から知人が弔問を希望するケースもあり、残された家族の負担がかえって大きくなるという話もよく聞きます。親族の思想や、地域の慣習などが強く反映される部分でもあるため、「何が正解」ということはできないでしょう。
参列者にとってのメリット
しかし、一般の参列者側の視点によってはメリットがあるという意見もあるようです。オンラインで行う葬祭については、訃報の段階から知人などにオンラインで連絡を取ることもでき、葬儀への出欠確認などもワンストップで対応できます。
訃報を受け取った人がお悔やみを送信したり、弔電や供花の手配ができるようなサービスも付帯し、利便性も向上しています。「香典は直接手渡すのが当たり前」という感覚の人は、オンライン決済に違和感を覚えるかもしれませんね。
ちなみに、総務省統計局の「家計消費状況調査年報http://www.stat.go.jp/data/joukyou/2019ar/index.html」によると、1世帯当たり1か月間の支出(二人以上の世帯)の推移をみると、葬儀・法事費用は減少傾向にあることが分かります。
《年間支出の全国平均値》葬儀・法事費用
2017年 3185円
2018年 3150円
2019年 2974円
一言で「葬儀」といっても、金銭的・時間的な負担を重く感じる人がいるのも事実でしょう。喪主側としても、香典をオンラインで受け付ける場合、「誰から」「いくら」が自動的に記録されます。集計する手間も省けますし、高額の現金を手元で保管しなくてよいから安心というメリットもあるのです。
家族側にとってのメリット
オンラインでの葬儀なんて・・・と考えるのであれば、故人や家族の希望にできるだけ近い、オンライン以外のスタイルで葬儀を執り行った方がよいかもしれませんね。要は気持ちの問題です。
ただし、執り行う人の健康状態や年齢的・金銭的負担が重い場合は、できるだけその負担を減らす方法を検討することも必要となってくるかもしれません。
弔いの場で不満を言葉にすべきではないと考えがちですが、遺族の側にも、
一連の葬儀にかかるお金が高額
墓地・墓石の購入、法要の準備、といった葬儀以外の出費も多い
自宅の整理、相続手続きなどで多忙である
などの事情があることが考えられます。
供養サービス事業を展開する「鎌倉新書」が実施した「終活に関する全国調査(https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/detail.html?id=7480)」の結果によると、葬儀関係の費用は地域によって差があるようですが、「葬儀費用同様に、葬儀以外にかかる費用が看過できない」という点がうかがえます。
葬儀の負担
葬儀費用:最高値は富山県の169万4000円、最安値は広島県の80万9000円
会葬者人数:最多は沖縄県の91.5人、最少は大阪府の27.2人
葬儀以外の負担
葬儀後のお墓購入金額:最高値は関東地方の152万3000万円(概ね東日本が高額)
葬儀後の仏壇購入金額:最高値は中部地方の99万6000円(西日本が高額の傾向)
遺品整理専門業者への依頼費用:関東地方・中部地方が55万円前後で最高値
空き家処分のための費用:北海道・東北地方が約130万円で最高値(いずれの地方も100万円程度)
家族内での葬儀を別途行うとしても、親族以外の参列者に対してはオンライン葬儀を案内すれば、費用は数千円~数万円程度のシステム利用料で実施可能となります。遺族の負担を減らすことができるのであれば、大いに検討に値する時代になりつつあるのかもしれません。
さいごに
冠婚葬祭に関する意識は、世代・地域間で大きな差がありますよね。「この方法で後悔しないか」「親族から反対の声が上がるのでは?」といった不安が生じて当然でしょう。
香典だけでなく、結婚式のご祝儀や寺社参拝のキャッシュレス決済サービスは、コロナ禍の前から存在していました。そこに外出やイベント開催の自粛、都道府県をまたぐ移動の規制、といった、感染防止対策が行われたことをきっかけに、オンラインでの冠婚葬祭の注目度が上昇してきています。
ウィズコロナ/アフターコロナ時代にフィットした、合理的な面を備えていることを考えると、今後、幅広い層に受け入れられていくことも考えられます。
【参考】
「家計消費状況調査年報(http://www.stat.go.jp/data/joukyou/2019ar/index.html)」 総務省統計局
「地方・都道府県別 終活に関する全国調査(2020年)(https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/detail.html?id=7480)」 鎌倉新書(2020.05.29プレスリリース)
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