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年金受給額を42%増やす方法とは?

LIMO / 2020年10月1日 18時45分

年金受給額を42%増やす方法とは?

年金受給額を42%増やす方法とは?

もし、毎月もらえる年金の受給額が42%増えたらいかがでしょうか?旅行に行ったり、お孫さんと遊んだりと老後生活がより豊かになる人も多いと思います。

「本当に年金の受給額を増やせるの?」と疑問を持たれる方もたくさんいると思いますが、その正体は「年金の繰下げ受給」になります。

年金は本来65歳からもらうことができますが、それを70歳からに遅らせることで受給額を42%増やすことができます。

「受給額が増えるのはうれしいけど、70歳からもらうってことは早く亡くなったら損しそう」

「70歳までの5年間はどうやって暮らせばいいの?」

この記事では、そのような疑問に対して、年金の繰下げ受給の概要とメリット・デメリットを解説しながら回答します。

制度の概要

老齢年金には、加入が義務付けられている老齢基礎年金と、会社員がもらうことのできる老齢厚生年金の2種類が存在します。繰下げ受給は上記2つの年金に適用することが可能です。

受給を1カ月遅らせると、1カ月あたり0.7%が増額され、1年間遅らせると増加率は8.4%になります。最長で70歳まで受給を遅らせることができるので、増加率の上限は42%となります。

(なお、2022年4月からは繰下げ受給の年齢が75歳まで拡大される予定です。)

どれくらいおトクになるの?

年金は死亡してしまった時点でもらえなくなるので、早くに亡くなってしまうと損してしまいます。そこで、何歳まで生きていればおトクになるのかを計算しました。

なお、65歳からもらえる年金受給額は月15万円(※)と仮定しました。

(※厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー2019(令和元)年財政検証結果ー」から算出)

繰下げ受給をしなかった場合の受給できる年金総額

70歳で死亡:900万円
75歳で死亡:1,800万円
80歳で死亡:2,700万円
85歳で死亡:3,600万円
90歳で死亡:4,500万円
95歳で死亡:5,400万円
100歳で死亡:6,300万円

70歳まで繰下げ受給をした場合の受給できる年金総額

70歳で死亡:0円
75歳で死亡:1,278万円
80歳で死亡:2,556万円
85歳で死亡:3,834万円
90歳で死亡:5,112万円
95歳で死亡:6,390万円
100歳で死亡:7,668万円

70歳まで繰下げ受給をした場合の受給額の損得

70歳で死亡:-900万円
75歳で死亡:-522万円
80歳で死亡:-144万円
85歳で死亡:+236万円
90歳で死亡:+612万円
95歳で死亡:+990万円
100歳で死亡:+1,368万円

繰下げ受給を選択してから、100歳まで生きることができたら1,000万円以上も得しますね!しかも、投資であれば運用のスキルや知識等が必要になる上、もらえるお金も保証されていませんが、こちらの繰下げ受給はスキルや知識も不要で、なおかつもらえる年金額が決まっているのがとても魅力的ですね。

ただ、繰下げ受給の損益分岐点(繰下げ受給した方がおトクになる年齢)は82歳になります。現在の平均寿命が、男性81.4歳、女性87.4歳なので、必ずしもおトクになるかと言われるとそういうわけでもなさそうです。

繰下げ受給者の割合はなんと1.5%

先ほどの計算の通り、必ずしも繰下げ受給をした方が良いというわけではありませんが、人生100年時代と言われている昨今では繰下げ受給の方がおトクになる人も多いと思われます。

実際、厚生労働省の算出によると、2019年に65歳を迎えた人の平均余命は、男性の場合84.8歳、女性の場合89.6歳になります。仮に平均寿命まで生きたとすると、男性の場合204万円、女性の場合567万円トクをします(65歳からもらえる年金受給額は月15万円の場合)。

しかしながら、繰下げ受給の利用率はたったの1.5%しかありません。

繰上げ受給者の割合は19.7%

逆に年金を65歳より前からもらう繰上げ受給をしている人が19.7%も存在しています。繰上げ受給をすると、早いうちから年金をもらえるのですが、月々の金額は減るので、長生きすればするほど損してしまいます。

まとめにかえて

繰下げ受給せずに繰上げ受給している人がたくさんいるということは、言い換えると、人生100年時代と言われている状況に真っ向から逆らっていることと同義だと思います。繰上げ受給は長生きすればするほど損しますからね。

ではなぜこのような状況になってしまっているのでしょうか?

大きな理由は2つあると思います。

一つがそもそも繰下げ受給のメリットを知らないことです。私たちはお金のことを学ぶ機会は少ないため、そもそも制度を知らないという人もいると思います。

二つ目の理由が、繰下げ受給するだけの資産を持っていないことです。受給年齢を70歳まで引き下げた場合、仮に60歳に退職しているのであれば、70歳までの10年間は無収入で暮らさなくてはいけません。それだけのお金がなくて繰り下げたくても繰り下げられないという人もいるかと思います。

お金と上手に付き合っていくためには、何をすればいいでしょうか?

抽象的にはなりますが、お金の知識をちゃんと身につけて、いい制度があればそれを活用できるくらいの資産を持っておくことがとても大切だと思います。

参考

「老齢基礎年金の繰下げ受給」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-06.html)日本年金機構
「国民年金及び厚生年金に係る 財政の現況及び見通し ー2019(令和元)年財政検証結果 ー」(https://www.mhlw.go.jp/content/000540199.pdf)厚生労働省
「令和元年簡易生命表の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/dl/life19-02.pdf)厚生労働省
「繰下げ制度の柔軟化」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000558227.pdf)厚生労働省 年金局

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