「記憶力を上げたい!」エビングハウスの忘却曲線から知る、復習の効果的なタイミングとは。
LIMO / 2020年10月3日 12時35分
![「記憶力を上げたい!」エビングハウスの忘却曲線から知る、復習の効果的なタイミングとは。](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_19565_0-small.jpg)
「記憶力を上げたい!」エビングハウスの忘却曲線から知る、復習の効果的なタイミングとは。
資格取得やスキルアップのために勉強する社会人なら、限られた時間の中でできるだけ効率良く勉強したいですよね。
「暗記のコツや良い方法を身につけたい」
「記憶力を良くしたい」
きっとこう感じる人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、人の記憶について研究した「エビングハウスの忘却曲線」を紹介します。この考え方を知れば最適な復習のタイミングが分かり、学んだ内容を定着させることも可能です。せっかくの努力をムダにしないために、ぜひ取り入れてみてください。
エビングハウスの忘却曲線とは
「エビングハウスの忘却曲線」とは、19世紀ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが記憶に関する研究を行い、その結果をグラフに表したものです。
具体的には、意味を持たない「子音・母音・子音」の綴り(rit, pek, tasなど)を被験者に暗記させ、再び覚え直すためにかかった時間から「節約率」を算出しました。
「節約率」とは、一定時間が経った後、もう一度覚えるのにどれだけ時間・回数を短縮(節約)できたかを指すものです。実験結果は以下のようになりました。
20分後・・・節約率は58%
1時間後・・・節約率は44%
9時間後・・・節約率は35%
1日後・・・節約率は34%
2日後・・・節約率は27%
6日後・・・節約率は25%
31日後・・・節約率は21%
つまり、記憶してからの時間が短いほど、節約率が高い=少ない労力で記憶を取り戻せたというわけです。
この研究から分かるのは、人は一度記憶をしても短時間で忘れてしまい、1日経つとまた覚え直すには大きな労力がかかるということです。一方、それ以降はあまり急激な変化はありません。記憶を保つには、覚えてから1日の間が勝負だといえます。
誰でも忘れるのは当たり前ですが、こういった記憶のメカニズムを活用すれば、効率的に学ぶことができるでしょう。
復習のタイミングと繰り返しが重要
忘却曲線から言えるのは、学んだことは早いうちに復習する方が効率的ということです。では、具体的にいつ復習をするのが良いでしょうか。
正解は一つではありませんが、おおむね以下のタイミングが目安となるでしょう。
10分後(覚えた直後)
1日後(翌日)
1週間後
2週間後
1ヶ月後
まずは覚えた直後に軽く復習することが大切です。そして翌日には必ず振り返るようにしてください。そうすれば、あっという間に忘れてしまうこともありません。徐々に間隔を長くしながら復習を繰り返すことで、効率よく記憶を保つことができます。
ポイントは「忘れてしまう前に復習すること」です。社会人は忙しいからこそ、適切なタイミングに合わせて、なるべく少ない手間と時間で勉強するようにしましょう。
またこのように何度も繰り返して復習することは、長期的な記憶にもつながります。精神科医の樺沢紫苑氏によれば「脳は何度も使われる情報を、“重要な情報”と判断して記憶に残す」といいます。
インプットの繰り返しで記憶は強化されていくため、覚えっぱなしにはしないことです。タイミングを図って反復することで、学んだ知識を定着させましょう。
意味づけ・関連付けで忘れにくくなる
エビングハウスの忘却曲線で注意したいのは、これは「無意味な綴り」を記憶させた結果だということです。全く意味のない言葉であれば、すぐに忘れてしまうのも無理はありません。
人は機械的な記号を覚えるよりも、意味やストーリーのある方が記憶に残りやすいものです。例えば「こでうかもしあぱんほ」という文字の羅列よりも、「ノートを書き終えたので新しいものを買う」という情報の方が忘れにくいでしょう。
記憶には何らかの意味づけや関連付けが重要です。そうやって情報に“枝葉”をつけて覚えやすくすることを「精緻化(せいちか)」といいます。
具体的には、歴史の年号を覚える時に使う「語呂合わせ」が分かりやすいでしょう。背景や追加情報とあわせて理解するのも効果的です。また、画像やイラストで視覚的に覚えるのも良いですね。画像を使えば、文字だけよりも6倍記憶に残るという研究もあります。
このように意味づけ・関連付けで情報のボリュームを増やし、記憶した内容を忘れないようにする工夫も大切です。
さいごに
せっかく勉強をするなら「また一からやり直し」になることは避けたいものです。限られた時間で効率を上げるには、エビングハウスの忘却曲線をふまえた復習のタイミングが大切といえます。覚えた直後と翌日には必ず振り返り、徐々に間隔を開けながら復習していきましょう。
これまで「自分には記憶力がない」と思っていた人も、もしかしたら復習のタイミングが悪かったのかもしれません。今回紹介した記憶のメカニズムを活かせば、きっと効果が出るはずです。
また復習のタイミングに加えて、語呂合わせや画像などを活用して記憶することも効果的でしょう。自分に合った工夫をしながらぜひ実践してみてください。
【参考文献】
『学び効率が最大化する インプット大全(https://www.sanctuarybooks.jp/book-details/book1094.html)』サンクチュアリ出版 樺沢紫苑(著)
『大学受験の神様が教える 記憶法大全(https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-1436-4)』ディスカヴァー・トゥエンティワン 和田秀樹(監修)
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