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「阪急電車に一礼」伝統廃止の宝塚音楽学校にみる、ハラスメント改革のススメ。

LIMO / 2020年10月4日 22時5分

「阪急電車に一礼」伝統廃止の宝塚音楽学校にみる、ハラスメント改革のススメ。

「阪急電車に一礼」伝統廃止の宝塚音楽学校にみる、ハラスメント改革のススメ。

タカラジェンヌを養成する「宝塚音楽学校」。この歴史ある学校で継承されてきたルールが、廃止されたことがニュースとなり、話題を呼んでいます。

礼儀正しさを身につけるための伝統以上に、下級生へ負担が生じていたとしてこのような決断に踏み切った宝塚。6月からパワハラ防止法が施行された企業においても、このニュースから学ぶべきことが多いといえます。私たちの生活においても必要な改革について読み解いていきます。

返事の仕方や表情まで!?これまでにあった不文律とは

宝塚音楽学校とは、言わずと知れた宝塚歌劇団の団員となるための学校。「予科生」と呼ばれる1年生「本科生」と呼ばれる2年生が学んでおり、その歴史は100年以上続いてます。

毎年1000人ほどの応募がある中で合格した40人と、生徒は非常に高い倍率を勝ち抜いた精鋭たち。厳しい受験を乗り越えた後は、声楽、バレエ、日舞、演劇などの宝塚歌劇団に入団するためのレッスンがみっちり組まれ、非常に忙しい学校生活を送ることに。

さらにモットーである「清く 正しく 美しく」の教えに基づき、早朝から予科生が稽古場を丁寧に掃除するなど、礼儀作法やマナーも厳しいことで有名なのです。

【参考】
「40名の募集に1000人の応募! 107期宝塚音楽学校入学試験スタート(https://dot.asahi.com/tenkijp/suppl/2019032000076.html)」AERA dot.

特に先輩・後輩間において厳しい ”不文律 (=明言されていない規則やしきたりのこと。暗黙のルール) ”が存在するといわれています。

先輩が普段利用する阪急電車に向かって一礼をする

遠くの先輩には大声であいさつする

先輩への返事は「はい」か「いいえ」に限定する

ルール違反した予科生が先輩に謝る時、ほかの予科生も違反を自主申告して一緒に謝る

学校内の廊下は直角に曲がり、廊下は壁に沿って一列に歩く

先輩の前では眉間にしわをよせて口角を下げる「予科顔」をする

など、多くの不文律が先輩に対して過大に配慮したものが多数でした。なぜこのようなルールがあったのでしょう。

【参考】
「宝塚音楽学校、時代の流れで伝統の暗黙ルール廃止(https://www.nikkansports.com/entertainment/column/hayashi/news/202009180001106.html)」日刊スポーツ 2020年9月19日

賛否両論の中、廃止へ

これらのルールは学校が定めたものではなく、生徒たちの自主的な考えから生まれ、時代とともに進化していったものだそうです。ただやみくもに定めたのではなく、宝塚歌劇団に入団した際の立ち振る舞いや、大舞台での一体感を構築するためなど、「清く 正しく 美しく」のモットーを体現するものでした。

しかし、「理不尽なことに耐える精神力は鍛えられましたが、もう二度と戻りたくありません」とコメントする宝塚OGがいるように、予科生にとってはルールが負担となっていたのは確かでした。そのため学校側も、時代遅れとなってしまったルールを時間をかけて廃止していくという今回の決断に踏み切りました。

この決断について、現役の生徒に加え宝塚OGからも賛成の声が上がりました。一方、一部の生徒からは伝統を守っていくためにルールを肯定する意見もあったそうです。また宝塚OGからも、伝統が失われることに寂しさを感じるなど、不文律をなくさなくてもいいのではという声が上がりました。

賛否両論の中、学校と生徒間で話し合いを行なった結果、最終的には現役の生徒たちも廃止に同意したといいます。宝塚音楽学校はハラスメントに厳しい世相も反映するだけでなく、生徒たちの負担を減らすため、伝統の改革に踏み切ったのでした。

【参考】
「宝塚音楽学校OG、本科生の指導『ハラスメントだった』(https://www.asahi.com/articles/ASN9C7SJMN92PTFC00G.html?iref=pc_extlink)」朝日新聞デジタル 2020年9月12日

私たち社会人も撤廃すべき、暗黙のルール

 2020年6月より、パワーハラスメント(パワハラ)の防止を企業に義務付ける法律が施行されました。そもそもパワハラとは、立場的に優位に立つ者の言動の中で、業務上必要な範囲を超えたものを指します。

パワハラ防止法では、こうした言動に対して雇用管理上必要な措置を講じることを義務付けています。曖昧だったパワハラが法律で定義されるので、これまで被害に悩まされていた人も声を上げやすくなりますし、企業側もパワハラ行為が起こった場合の対処が行いやすくなります。

しかし「上司より先に退社禁止」「忘年会・新年会の幹事は若手に」といったパワハラとは一概に定義できない非効率な不文律が多く存在するため、現状の法律の制定だけでは不十分と感じている人が多いのも事実です。

このようなルールを撤廃するために、パワハラ防止法の施行のような明文化はもちろん必要ですが、それ以上に ”立場的に優位に立つ者” が誰もがおかしいなことにおかしいと言える環境づくりを行っていくことが理想的だといえます。

部下が抵抗なく暗黙のルールのおかしさを指摘できるように、日頃からコミュニケーションを行う。時には上司自らを律してルールの撤廃を宣言する。この姿勢はまさに宝塚音楽学校が表明した不文律廃止のニュースに重なるものなのではないでしょうか。

さいごに

 伝統ある不文律を、社会のために、なにより生徒のために廃止した宝塚音楽学校。この歴史的な行動は、企業においてもまさに行うべき改革なのではないでしょうか。

日本が誇るエンターテイメント「タカラヅカ」。多くのファンを魅了するだけにとどまらず、私たちの生活においても必要なことを教えてくれました。

【参考】
「40名の募集に1000人の応募! 107期宝塚音楽学校入学試験スタート(https://dot.asahi.com/tenkijp/suppl/2019032000076.html)」 AERA dot.
「宝塚音楽学校、時代の流れで伝統の暗黙ルール廃止(https://www.nikkansports.com/entertainment/column/hayashi/news/202009180001106.html)」日刊スポーツ2020年9月19日
「宝塚音楽学校OG、本科生の指導『ハラスメントだった』(https://www.asahi.com/articles/ASN9C7SJMN92PTFC00G.html?iref=pc_extlink)」朝日新聞デジタル2020年9月12日
「職場のハラスメントを防止するためのプラスαの対策とは?(https://www.armg.jp/journal/135-2/)」アドバンテッジJOURNAL

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