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コロナ禍でも売れる「家」や「高級車」~中間層でいま何が起きているのか~

LIMO / 2020年10月11日 18時45分

コロナ禍でも売れる「家」や「高級車」~中間層でいま何が起きているのか~

コロナ禍でも売れる「家」や「高級車」~中間層でいま何が起きているのか~

コロナ不況といわれる中でも、中・高所得国では家を買う人が増えたり、住宅価格や土地価格が上昇したり、高額な車が売れるといった傾向がみられるようです。

持つ人と失う人。中・高所得国ではコロナ不況によって中間層内で格差が生み出されています。今回はその実態について見ていきます。

在宅ワークが住居の選択肢を広げる

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、アメリカの7月の中古住宅(戸建て)販売件数(季節調整済み年率)は前月比24.7%増の586万戸だ、と全米不動産業者協会が発表したということです。これは2006年以来の高水準だそうです(※1)(https://www.wsj.com/articles/u-s-existing-home-sales-rose-24-7-in-july-from-june-11598018897)。

需要が増えていると同時に、中・高所得国の多くでは2020年4~6月期には住宅価格も上昇しました(※2)(https://www.economist.com/finance-and-economics/2020/09/30/why-despite-the-coronavirus-pandemic-house-prices-continue-to-rise)。

日本では、国土交通省がまとめた7月1日時点での「令和2年 都道府県地価調査」によると、全体的には2019年を0.6%程下回っているものの、沖縄の宮古島や北海道のニセコ地区などでは「商業地」、「住宅地」ともに約30%~40%近く上昇、東京23区の「住宅地」も1.4%上昇しているということです(※3)(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000044.html)。

どの国でも、こういったトレンドの背景には在宅勤務や自粛など自宅で過ごす時間が長くなり、住まいのスペースや生活環境を今まで以上に重要視するようになっているのはいうまでもありません。

在宅勤務が新しい働き方として定着しつつある企業に勤めていれば、今まで通勤を考えて都市部の小さなスペースに住んでいた人が、週1、2程度の通勤なら、少し離れた郊外に在宅ワークのスペースもとれる広めの戸建住宅を購入しようと考えるのも納得できます。

また完全な在宅勤務が出来るのなら、いっそのこと沖縄などのリゾート地に移住するなど、住む場所の選択肢も広がっていることもみられます。

日本は中古車、アメリカは高級車の需要増

車に関しては、どの国でも新車販売台数は減っています。しかし、日本では中古車の需要が増えているということです。

日本自動車販売協会連合会によると、2020年8月の中古車登録台数は前年同月比4.5%増の30万3,147台となっており、3カ月連続で増加傾向にあります(※4)(http://www.jada.or.jp/data/year/y-u-touroku/y-u-all/)。

少し前まではシェアエコノミーで、車を所有する人が減ったともいわれていましたが、コロナパンデミックを機に他人と共有することによる衛生面を不安視する人も増えているようです。

一方、アメリカでは、同様に販売台数自体は減少していますが、値段の高い新車が売れているとうことが分かりました。

調査会社のJ.D. Powerによれば、2020年8月の一台当たりの平均販売価格は3万5,420ドル(約370万円)で、ピックアップトラックやSUVなどの大きめな車が人気を集めているということです(※5)(https://www.wsj.com/articles/car-sales-are-down-almost-20-but-prices-are-setting-records-11599219000)。

低金利が高級車と住宅需要に影響

住宅や高級車の需要が高まる背景には「低金利」の影響もあります。低金利は消費者の購買意欲をそそります。

日本は長いことマイナス金利政策が続いていますので、今更金利の影響は関係ないようですが、他国では中央銀行が政策金利を平均して2ポイントほど引き下げているということです。

それにより、例えばアメリカでは、30年固定金利住宅ローンが2020年初めには年利3.7%だったのですが、現在では2.9%まで下がったそうです(※2)(https://www.economist.com/finance-and-economics/2020/09/30/why-despite-the-coronavirus-pandemic-house-prices-continue-to-rise)。いずれはマイホームを、と考えていた中間層のミレニアル世代にとっては絶好のチャンスといえるでしょう。

自動車長期ローンの金利も同様に下がっていますので、欲しかった高額な車を比較的少ない利息で購入できることになります。また、もともと大きなピックアップトラックやSUVは人気がありましたが、価格だけでなく、ガソリン代もかかってしまうことで諦める人もいました。しかし2020年はガソリン価格が下がっていることも大きめの車が売れる要因の1つだといえそうです。

コロナ不況で一番先にダメージを受けたのは低所得層でした。しかし、今まで普通に安定した生活をしていた中間層の人達さえも、突然の失業で路頭に迷うケースも増えてしまいました。一方、同じ中間層でも仕事が安定していることで、低金利の恩恵を受け、もっと広い家や高級車を…と高額の買い物ができる人も少なくないということなのでしょう。

このようにコロナ不況によって中間層という一番大きな層の中で明暗が分かれることになってしまいました。今後、経済格差はますます深刻になりそうです。

参考

(※1)WSJ “U.S. Existing-Home Sales Rose Nearly 25% in July”(https://www.wsj.com/articles/u-s-existing-home-sales-rose-24-7-in-july-from-june-11598018897)
(※2)The Economist “Why, despite the coronavirus pandemic, house prices continue to rise”(https://www.economist.com/finance-and-economics/2020/09/30/why-despite-the-coronavirus-pandemic-house-prices-continue-to-rise)
(※3)「令和2年都道府県地価調査の概要」(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000044.html)国土交通省
(※4)「中古車・登録者合計」(http://www.jada.or.jp/data/year/y-u-touroku/y-u-all/)日本自動車販売協会連合会
(※5)WSJ “Car Sales Are Down Almost 20%, but Prices Are Setting Records”(https://www.wsj.com/articles/car-sales-are-down-almost-20-but-prices-are-setting-records-11599219000)

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