50代ではじめる、失敗しないお金の老後対策
LIMO / 2020年10月10日 6時5分
50代ではじめる、失敗しないお金の老後対策
定年前の50代はリタイア後の生活を考えた資産運用をする必要があると考えます。
ただ、人生100年時代を迎え、老後が長くなった今は、定年後も長期での資産運用を考えなければいけません。
では、実際にどのように運用をおこなっていけばいいのでしょうか。
「老後2,000万円問題」で資産運用を意識する人が増えた
2019年に話題になった「老後2,000万円問題」で、老後資金を意識した人も多いでしょう。金融審議会の報告書 では、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の年金収入に頼った生活だと、毎月約5万円の赤字がでると計算。
65歳で定年退職して95歳まで生きるには、夫婦で約2,000万円の金融資産の取り崩しが必要になると試算したのです。
生命保険文化センターの「生命保険に関する調査/令和元年版 」よると、夫婦二人で老後生活を送る上で必要な日常生活費は22.1万円になります。
ただし、旅行やレジャー、趣味などにお金を使えるゆとりのある老後を送るためには、平均36.1万円が必要です。
金融審議会での高齢夫婦無職世帯の実収入は約21万円なので、月に15万円が不足すると考えると、ゆとりのある生活を送るためには30年で約5,400万円の金融資産が必要になるのです。
2019年に金融広報中央委員会(知るぽると)によっておこなわれた「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査) 」によると、50代の金融資産保有額の平均値は1,194万円、中央値は600万円でした。
老後資金として2,000万円に届いていない人はもちろん、2,000万円を超えている人でも貯金を取り崩す生活では豊かな老後を送ることは難しいと考えられます。
人生100年時代の資産運用を考える
老後資金を貯めるためには、資産運用をする必要がありますが、人生100年時代が現実となりつつある今、50代は人生の道半ばといえるのです。
60歳や65歳で定年を迎えるにしても運用に費やせる時間は十分にありますから、50代でも20~30年といった時間を味方につけた運用を考えていくと良いでしょう。
また、50代になると住宅ローンや子どもの教育費など、家計の大きな支出が終わりに近づきます。
余裕資金で資産運用をすると同時に、住宅ローンなどの負債を削減して老後になるべく持ち越さないようにしましょう。
ただ、余裕資金があるからといって株式に一括投資などをすることは避けたほうが良いでしょう。
老後のために資産運用をするはずが、大きく資産を減らしてしまうことになっては意味がないからです。
20代や30代であれば運用金額も小さく、失敗しても取り戻すことが出来ます。しかし、50代に大きなリスクをとって失敗した場合、定年までに取り戻すことができず、老後まで響いてしまう恐れがあるのです。
リスク資産と安全資産の比率を決める
資産運用をおこなうときは、まずリスク資産と安全資産の比率をどのようにするか考えるようにします。
リスク資産とは、リスクがある代わりにリターンも期待できる商品で、国内外の株式や外国債券などです。
一方、安全資産とは損失のでるリスクが低い資産で、預貯金や日本国債などが該当します。
50代での投資はリタイアまで時間がないことから、リスクを取りすぎて大きな失敗をすることは避けなければいけません。
リスクのある投資をおこなう一方で、預貯金などの安全資産の比率を高める必要があるのです。
また、政府と日銀はデフレ脱却を目指し、年2%の物価上昇を掲げています。
インフレ目標はなかなか実現はされませんが、その可能性はゼロではありません。今後はインフレの可能性も考慮した運用を考える必要もあります。
GPIFの運用を参考にする
それでは、どのような運用をおこなっていけばいいのでしょうか。
長期的な資産運用においては、公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオが参考になります。
GPIF は積立金の運用目標について、実質的な運用利回り(運用利回りー名目賃金上昇率)1.7%を目標として、基本ポートフォリオを決定しており、2020年4月からの基本ポートフォリオは、国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%ずつの資産配分になっています。
50代からの資産運用では、GPIFのポートフォリオを参考にしましょう。
そして、リスクを抑えたいときは、国内債券の比率を上げるようにすると良いでしょう。
まとめにかえて
人生100年時代を迎え、老後生活が長くなった現在50代でも20~30年以上の長期で資産運用をしていく必要があります。
どれだけお金があっても、貯金を取り崩す生活ではお金の不安は消えません。
国内外の株式や債券など幅広い資産に分散投資しながら、資産運用を続けていくべきだと考えます。
そこで意識したいのが、過度なリスクは資産を大きく減らす要因になりますので、GPIFの基本ポートフォリオを参考にしながら、リスクを抑えたい場合は国内債券の比率を増やすようにしていくことです。
参考資料
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)
生命保険文化センターの「生命保険に関する調査/令和元年版 」(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/7.html)
金融広報中央委員会(知るぽると)「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査) 」(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/19bunruif001.html)
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「基本ポートフォリオの考え方」(https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html)
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