老後資金より子どもの教育費にお金をかけたのは失敗? 将来が不安な2組の夫婦の話
LIMO / 2020年10月12日 20時0分
老後資金より子どもの教育費にお金をかけたのは失敗? 将来が不安な2組の夫婦の話
子どもには十分な教育を受けさせたい。子どもの希望する進路を叶えてあげたい…。そう思うのが親心というものですよね。子どもが生まれたらそんな気持ちで教育資金の準備を始める人もいるでしょう。
ですが、子どもの教育費も親の稼ぎから捻出するわけですから、親の収入に応じた準備をするのが妥当ともいえます。今回は、子どものことを思うあまり自分たちの老後資金を貯めてこなかったという2組の夫婦に話を聞いてみました。
子どもと不仲になり、老後の面倒を見てもらえるかすら不安
「今はもう娘たちとは連絡も取っていない。希望の大学院にまで進ませたのに、老後の面倒さえ見てもらえないかもしれないという不安がある」と嘆くのは、愛知県に住む50代のAさんです。
Aさんには娘さんが2人おり、長女は理系の大学へ、次女は文系の大学院へ進学したと言います。「私自身が両親に『女に学問はいらない。せめて行くなら短大にしなさい』と言われて育ち、親の反対を振り切って大学に進学した身だったから、娘には進路を狭めるようなことは言いたくなかった」と、子どもの進学に対する思いを語ってくれました。
娘の進学に対して人一倍思い入れがあったAさんですが、暮らしは大変だったと言います。「地方の中小企業勤めだと、収入はやはり厳しい。夫と共働きで働いて、子どもが小さいときには夫婦交代で夜も働きに出ていた。毎月決まった金額を貯めるほかにも、生活費を切り詰めてお金が余ったら教育費のために貯金。老後資金なんてほとんど考えていなくて、子どもたちが巣立ってから貯めればいいくらいに思っていた」と話します。
娘さんそれぞれに学資保険を契約し、銀行預金と併用して教育資金を貯めていたというAさん。長女は関西の理系私大に進学し、その2年後に次女が東京の公立大学に進学。長女はそのまま就職したものの、次女が大学院へ進学したいと言い、状況が変わったのだと言います。
「正直、教育資金は尽きていたけれど、老後資金にとかろうじで貯めていた貯金を切り崩して次女の大学院進学をサポートした。当時、夫が奨学金の利用に反対だったから、奨学金の利用はなし。そこで貯金をほぼ使い果たすことになってしまった」と話してくれました。
その頃Aさん夫婦は50代。「夫の仕事も給料は上がったものの、途中で私の健康面の問題で正社員の仕事を辞め、パートで週4日の仕事に変更。それもあって思うようにお金が貯まらず、今は老後が心配でたまらない」と言うAさん。
「娘に迷惑をかけたくないから、年を取ったら2人で老人ホームに入ろうと夫と話していたけれど、老人ホームもびっくりするくらい入居費用がかかる。とても今の貯金では無理だし、そうなると介護が必要になったときには娘に頼るしかない。でも、娘は2人とも大学で家を離れてから私たちを煙たがるようになって、すっかり疎遠になっている。次女に至っては年末年始にも顔を出さない」と嘆いていました。
老人ホームの入居費用は、40代後半からようやく老後資金を貯め始めたというAさん夫婦にとってはかなり難しい出費になるでしょう。子どもの希望を叶えるのも大事ですが、子どもたちにもアルバイトをしてもらったり、奨学金を借りてもらったりして、ある程度親の負担を軽減することも必要ではないでしょうか。
子どもは希望の大学に行くも、自分たちの生活は…
続いては、関東近郊に住む60代のBさんです。「子どもたちは東京でうまくやっているようだけれど、自分たちの生活には不安しかない」と話します。
Bさんには息子さんと娘さんの2人のお子さんがいます。息子さんは文系の私大に、娘さんは私大の薬学部に進学しました。「子どもたちの教育資金を貯めるのは苦ではなかった。子どもたちの希望通り、何の心配もなく進学できるようにしてあげるのが親の務めだと思っていた」と話すBさんですが、大学進学にあたっては2人とも奨学金を借りてもらったと言います。
「関東の田舎だから夫の給与水準も高くない。親の収入と貯金だけでは十分ではないと判断して奨学金を借りてもらった。親の収入のせいで子どもに負債を背負わせるのは心苦しく、卒業後は親が返済をすると約束して息子と娘にそれぞれ奨学金を借りてもらった」とBさん。さらに、離れて暮らす息子さんには生活費の仕送りをしていたと言います。
「学業の妨げになるようなアルバイトもやめるように言っていた。せっかく大学に行ったのにアルバイトに明け暮れている親戚の子どもを見て、『あれじゃ大学に行った意味がないよね』と夫婦で話していたのを思い出す。親戚への見栄もあったのかもしれないけれど、うちの子にはアルバイトは自分のお小遣い程度にさせていた」と続けるBさん。
「長男は塾講師のアルバイトをしていたけれど、週1、2日程度だったから、生活費は仕送りで賄っていたと思う。娘は実家から通っていたけれど授業が忙しすぎて、アルバイトどころではないと言っていたから、お小遣いを渡していた。結局、老後の資金なんてほとんど貯まらないうえに、2人が借りた奨学金の返済がまだ続いている」と言います。
「さすがにこれでは老後が不安だと、40代でパートの仕事を始めた。けれど、貯金の足しになるほどにはならず、奨学金の返済で消えてしまう。夫の収入で生活費を賄い、老後資金の貯金をしているけれど、もう60代に突入してしまって不安」と悩んでいました。
大学進学にはお金がかかります。奨学金を学費の足しにしたとしても、実家を離れて暮らす子どもに仕送りをして、卒業後は奨学金を親が返済するとなると、生活にゆとりが持てないだろうということは想像に難くありません。
おわりに
子どもに負担をかけたくない、負債を負わせたくないと思うのは親心かもしれませんが、子どもも自分が学んで人生を切り拓くために大学進学を決めるのですから、少しは負担してもいいはずです。また、親の老後資金が十分に貯まっていないと、将来の暮らしや介護などで子どもたちにツケが回ることにもなりかねません。
であれば、「教育資金として出せるのはここまで」という線引きをして、子どもたちに「それでもいいからこの私立大学に進学したい」とか「出してもらえる教育資金の範囲内で納めたいから公立の大学へ行く」といった選択をしてもらうのも一つの手なのではないでしょうか。
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