学校ごとに差がある修学旅行や校外学習。それは感染に過敏な親に配慮しているから?
LIMO / 2020年10月15日 11時0分
![学校ごとに差がある修学旅行や校外学習。それは感染に過敏な親に配慮しているから?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_19783_0-small.jpg)
学校ごとに差がある修学旅行や校外学習。それは感染に過敏な親に配慮しているから?
この春の臨時休校後、6月から学校が再開されましたが、それまでの学校生活とは様子がガラリと変わってしまいました。運動会や学習発表会など全児童が参加する行事は中止または規模縮小となっていますが、校外学習や修学旅行など学年ごとのイベントに関しては学校によって対応が異なるようです。
文部科学省が修学旅行の中止回避を促す
文部科学省は10月2日、全国の教育委員会や私立学校へ修学旅行の実施検討を促しました。当初予定していた旅行先を近場に変更したり、宿泊日数の短縮といった対策をして中止を回避して欲しいと訴えています。
筆者の住む地域では、公立小学校の修学旅行はほぼ例外なく実施されますが、細かい内容は学校によってバラつきがあるようです。たとえば、筆者の子どもたちの通う小学校では例年に比べて日数は短くなったものの、班別行動を行います。しかし、塾の友達の学校では班別行動が中止され全て団体行動となったため、羨ましがられたと言っていました。
そのほかにも、1部屋で寝る人数が前年よりも少なくなったり、必ず体温計を持参するなど「新しい旅のエチケット」を体現する修学旅行になりそうです。
前例のない事態で準備が大変な反面、嬉しいこともあります。Go To トラベルの対象ということで旅行先のお土産屋さんで使えるクーポン券が付くため、当初予定していたより色々な商品が購入できると同級生は喜んでいるとか。
一方、高校受験を控えている中学3年生だと、そう簡単に修学旅行の実施はできないようです。中学生の兄弟がいる友達から筆者の子どもが聞いたところによると、生徒と保護者のアンケートによって決めるというのです。
「数人でも反対者がいたら中止決定だから、お兄ちゃんたちは諦めているみたいだよ」という言葉を聞いて何とも切ない気持ちになりました。
自治体で統一せず学校に判断を委ねているのはなぜ?
結局、学区内の中学校では修学旅行は中止となりました。中学生の娘、息子を持つ近所のママ達との立ち話で子どもの様子はどうか何気なく聞いてみると、一様に「こんな年だから仕方がないけど、部活の大会も何もかも中止されてしまい、かえって勉強や受験に心が向かない」と気持ちの切り替えが上手くいっていないことを心配していました。
ところが、隣町の中学校では行先を近場に変更して修学旅行に出かけるというのです。「そんな話を聞いたら、余計に勉強に身が入らなくてね」と嘆いていたのが印象的でした。
この話を聞いて思い出したのが、小学校でも1年生から5年生の校外学習の実施は学校によって対応が異なることです。近隣の小学校では、9月から校外学習を行っているのを見かけるようになってきました。
中にはバスに乗って校外学習に出かけている学校もありますが、実施を見合わせているところもあります。小学校によって校外学習の実施に差があるのは不思議で仕方がありませんでした。
そんな時、ある事件が起きました。子どもたちが夏休み明けから鬼ごっこの代わりに始めた、体に触れずに楽しめる「しっぽ取り」が禁止されたのです。もちろん、子どもたちからは不満の声があがります。「どうして禁止なのか」と先生に質問すると、予想外の答えが返ってきたというのです。
それは、「1、2年生が真似してベタベタ触るとお母さんが不安に思うから」という理由でした。どうやら低学年の保護者から不安の声が届き、「しっぽ取り禁止」という決定が下されたようなのです。接触を回避しつつ楽しめると先生も容認していた遊びでしたが、それが禁止になった背景がぼんやりと感じ取れました。
それでも、なんとなくモヤモヤ疑問が解けないでいた筆者。子供会運営の相談のついでに、高校生から小学生のお子さんがいてPTA役員も経験しているベテランママさんに、学校による不可思議な温度差の理由を聞いてみました。
すると、「近隣の小学校で徐々に校外活動を始めているのは、コロナに対して過敏なほど神経質になっている保護者がいないから」というのです。
同じ公立学校なのに課外授業に差がつく?
普段の学校生活は平穏ではあるものの、校外学習の実施になると話は別です。実施の判断を学校任せにしているのは、新型コロナウイルスに対して神経をとがらせている保護者の有無を現場が把握し、大騒ぎにならないよう配慮するためなのかもしれません。
何か起きたら先生方は針のむしろとなります。完全に感染が終息しない限り、来年以降も中止や見送りが起きる可能性はあるでしょう。その状態が続けば、同じ公立であっても、学校によって子どもが本来体験すべきだった課外授業に差が生じることになります。
新型コロナの終息は見えていませんが、感染予防を徹底した上で少しでも子どもたちが楽しく、思い出に残るような学校生活であってほしいと願わずにいられません。
【参考】「修学旅行等の実施に向けた最大限の配慮について(https://www.mext.go.jp/content/20201002-mxt_kouhou01-000004520_2.pdf)」(文部科学省)
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