「”ノー”と言えないあなたへ」職場での自己主張に役立つアサーションのすゝめ
LIMO / 2020年10月17日 12時35分
「”ノー”と言えないあなたへ」職場での自己主張に役立つアサーションのすゝめ
頼まれた仕事を断れない、会議で自己主張をするのが苦手、そんな風に悩んだことはありませんか?あるいは自分の意見を押し通してしまい、後悔したことがあるかもしれません。
職場でのコミュニケーションがうまくいけば、きっと仕事上のストレスも減るでしょう。そこで注目してほしいのが「アサーション・トレーニング」です。自分と相手が対等に向き合い、お互いを尊重する自己表現を身につけるための方法です。
このトレーニングを通じて"上手な伝え方"ができるようになれば、職場でのやり取りがぐっと楽になります。具体的なテクニックや実践例を含めて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
アサーション・トレーニングって?
「アサーション」とは、自分も相手も尊重しながら自己表現を行うコミュニケーションです。お互いの気持ちや考えを正直に伝え合い、その場にふさわしい表現で会話をします。
アサーションの始まりは1950年代のアメリカで、もともとは自己主張が苦手な人を対象とした心理療法の中から生まれました。その後、1970年代からアサーション・トレーニングの研究が始まったとされています。
アサーション・トレーニングとは、その言葉通り、アサーション(自己表現法)を身につけるためのトレーニングのことです。自分の気持ちにフタをすることなく、かつ相手に不快な思いもさせずに自己表現できる状態を目指します。
職場で“ノー”と断れることは自分の時間や心身を守ることになりますし、部下や後輩と前向きな意見交換ができれば、信頼関係を築くこともできます。自他尊重のアサーション・トレーニングは、働く人全てに必要といえるでしょう。
コミュニケーションにおける3つのタイプ
アサーション・トレーニングを始めるにあたって、はじめに知っておきたいことがあります。それは、コミュニケーションには以下3つのタイプがあるということです。
アグレッシブ(攻撃型)
ノンアサーティブ(非主張型)
アサーティブ(バランス型)
1.アグレッシブ(攻撃型)は、相手よりも自分の意見を優先するタイプです。はっきりと自己主張をすることはできますが、相手の意見を無視して一方的に考えを押し付けがちです。攻撃的で相手への配慮に欠けるため、上手なコミュニケーションとはいえません。
2.ノンアサーティブ(非主張型)は、自分よりも相手の意見を優先するタイプです。自分の気持ちや意見を言うことを遠慮する傾向があります。自分をうまく表現することができず、それが自己肯定感の低さや、周りに対するストレスにもつながります。
3.アサーティブ(バランス型)は、相手の意見も自分の意見も大切にする、自他尊重のタイプです。自分の気持ちを率直に伝えた上で、相手の意見もしっかりと受け止め、建設的な会話を進めることができます。
アサーション・トレーニングでは、この中の3.アサーティブ(バランス型)を目指します。
アサーション・トレーニングの方法とは
アサーションには基本的な考え方があり、これを「アサーティブ・マインド」ともいいます。具体的には以下の4つです。
率直(自分の気持ちや意見を率直に伝える)
対等(相手と自分を対等に考える)
誠実(誠実で謙虚に接する)
自己責任(自分の主張や結果には責任を持つ)
この4つの心構えをふまえて、日々のコミュニケーションに活かしてみましょう。「こんな時どうしよう?」と困った時には、ここに立ち返ることが大切です。
次に、覚えておきたいテクニックを2つ紹介します。
一つは「I(アイ)メッセージ」です。
「私はこう思います」「私は困ります」というように、「私(I)」を主語にすることで素直に伝えやすくなり、攻撃的な印象を防ぐこともできます。
もう一つは「DESC法」です。伝えたいことがある時には、次の4ステップで整理してみましょう。
D:Describe(状況を客観的に描写する)
E:Explain(自分の気持ちを説明する)
S:Specify(提案をする)
C:Choose(代案を述べる)
これに沿って話をすれば相手にも意図が伝わりやすく、合理的な解決につなげることができます。
具体的にはどうする?アサーティブな会話例
では、具体的にはどう実践すればよいでしょうか。
【例1】
急に仕事を頼まれて断りたい…そんな場面をイメージしてみましょう。アサーティブな対応は、以下のようになります。
「今はこの仕事を進めているため、明日なら対応できます。いかがでしょうか?」
こう答えれば、自分の状況を率直に伝えることができ、かといって単純に拒否するわけではなく、代替案を提示して向き合う誠実さがあります。これが自他尊重のコミュニケーションです。
【例2】
会議で自分の意見に反論された時には、どう対応するのが望ましいでしょうか。
「なるほど、Aさんはこういう意見ですね。確かに有効な面もありそうです。私はこう思うので、例えばB案から試してみるのはどうでしょう」
こちらは、IメッセージとDESC法を含んだ対応例です。どちらの意見も尊重し、対等な立場で議論ができるでしょう。
【例3】
依頼した仕事が進んでおらず、催促したい場合はどうでしょうか。
「今この件が止まっています。3日後までに完了しないと、私も先のスケジュールが心配です。もし難しいようならCさんにも協力してもらうか、今回は少し対象を限定しましょう」
こちらもIメッセージとDESC法を活かした例です。こういった伝え方なら、相手に嫌な思いをさせにくく、対応してもらいやすいでしょう。
さいごに
アサーション・トレーニングは、一朝一夕で成果が得られるものではありません。ですが、一度身につければ一生使えるスキルでもあり、あらゆる場面で活用できるでしょう。
ぜひ今回紹介した自己表現法を少しずつ身につけ、日々の会話に取り入れてみてください。きっと職場でのコミュニケーションが楽になり、お互い無理のない、さわやかな人間関係に近づくことができるでしょう。
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