投資信託で「つみたて投資」するなら「為替ヘッジなし」でいい理由
LIMO / 2020年10月18日 20時0分
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投資信託で「つみたて投資」するなら「為替ヘッジなし」でいい理由
為替変動リスクを避けるためには為替ヘッジが必要と言われます。確かにその通りなのですが、今回は個人投資家が「つみたて投資」をする場合、本当に為替ヘッジが必要かどうか考えてみたいと思います。
為替ヘッジで為替変動リスクを回避するのは定石
投資信託であれ外国株式であれ、海外投資とは外貨建てで取引されている資産に投資することです。たとえば、米国株、米国債、米国不動産などの海外資産への投資ですね。日本で取引するかどうかは問題ではなく、投資対象が外貨建てで取引されているかどうかがポイントです。
国内公募投資信託はすべて円建てで取引されます。ところが、その投資信託を通じて外国株や外国債券に投資されている場合、基準価額が円建てであっても外貨建資産を保有していることに変わりはありません。
円ベースでリターンを確定するには、外貨建資産売却時に外貨を売って円に戻すしかありません。それは、為替ヘッジしようが、売却時の為替レートで円を買い戻そうが、経済行為としては同じです(結果は異なる)。
個人が為替ヘッジできる金融商品は投資信託だけ
さて、この為替ヘッジ取引ですが、一般の個人投資家が銀行と相対取引で為替ヘッジ取引をすることはできません。銀行間市場での外国為替取引の単位は最低100万ドル(≒1億円)、かつ相対通貨を受け渡す際のリスクがありますから、事実上個人が為替ヘッジ取引をすることはできないのです。
個人でも高額の外貨建資産を購入するのは可能ですが、為替ヘッジが必要であれば、選択肢は為替ヘッジ付き投資信託に限られます。であれば、外貨建資産を保有するなら為替ヘッジをして為替リスクを回避しておけばいいという考え方に落ち着きがちです。
しかし筆者はこの点で、為替ヘッジする必要があるどうかにかなり懐疑的です。
為替ヘッジにはコストがかかりますが、足元では年0.5%程度とわずかです(コストは変動する)。一般的なアクティブファンドの信託報酬より低くなっています。それほど気にする水準ではありません。
つみたて投資家の場合、毎月数万円程度運用する方がほとんどです。たとえば10年間つみたてを続けると、購入回数は120回になります。基準価額変動リスク、タイミングリスク、為替リスク等が120回も分散され、少なくとも基準価額は平準化されるわけです。
そのなかで、為替変動リスクだけを取り出してヘッジしたところで、おそらく運用成果にはほとんど影響が出ないのではないかと考えています。
為替ヘッジコストが年間5%くらいあって、常に円高傾向でファンドのリターン要因にマイナスの影響が出ていた一昔前なら、コストを払ってでもヘッジをしたほうがよかったかもしれません。
しかし、筆者は為替ヘッジのない米国株ファンドでつみたて投資をしていますが、ここ数年は円高で目立つ評価損を計上した記憶はありません。むしろ、個人投資家の投資資金は自己資金であり、機関投資家よりもリスク許容度は大きいはずですので、たとえ円高で評価損を計上してもトータルリターンがプラスであれば、問題はないでしょう。
リターンの極大化を図るなら為替ヘッジは不要
まとめますと、日本から海外投資をする限り、為替リスクを100%避けることはできません。公的年金の積立金でさえ為替ヘッジ付き債券を除くと外国資産部分では為替ヘッジしていないのが実態です。
今は金利が消えた時代です。先進国の金利差はほとんどなく、金利差による為替変動要因が希薄化しています。毎月少額のつみたて投資において、将来のリターンを極大化するためには、為替リスクも取りに行く投資戦略を検討せざるをえないのです。
参考:過去10年の日米短期金利推移 (単位:%)
(/mwimgs/f/9/-/img_f909d3c2a673b1f4e1cb525558acd29396674.jpg)拡大する(/mwimgs/f/9/-/img_f909d3c2a673b1f4e1cb525558acd29396674.jpg)
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