株価大暴落「ブラックマンデー」が起きた10月19日、コロナ禍の今年は大丈夫か?
LIMO / 2020年10月18日 21時0分
株価大暴落「ブラックマンデー」が起きた10月19日、コロナ禍の今年は大丈夫か?
今年3月のコロナ暴落ではサーキットブレーカーが3回も発動
今から約7カ月前の今年3月中旬、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済停滞の懸念等により、世界中の株価が暴落しました。
特に、最大規模の米国株式市場での暴落は凄まじく、2週間(10営業日)でサーキットブレーカーが3回も発動される緊急異常事態となりました。一連の株価暴落は、まだ多くの人が鮮明に記憶していると思われ、株式投資のリスクの大きさを改めて認識したことと推察します。
なお、詳細は省略しますが、サーキットブレーカーとは株価指数が大幅下落した時、強制的に一定時間の取引停止が施される制度で(米国市場では15分間停止)、個別銘柄のストップ安・ストップ高とは全く異なる制度です。
これが発動される時は、まぎれもなく暴落、いや、大暴落と見ていいでしょう。ちなみに、米国市場では現行制度の下でサーキットブレーカーが発動されたのは、今回が初めてのことでした。
ところが、今から33年前には、今回の“コロナ暴落”をさらに上回る大暴落が起きました。
10月19日は、世界の金融史で絶対に忘れることができない重要な日です。1987年10月19日、米国NY市場で株価が空前絶後の暴落となりました。いわゆる「ブラックマンデー(Black Monday)」と呼ばれるこの日、たった1日における下落率▲22.6%は、今も破られていない“不滅の大記録”です。
若い世代の方々は、当時のことを知らない人も多いはずですから、まずは、改めて「ブラックマンデー」を振り返ってみましょう。
1987年10月19日の月曜日に起きた空前絶後の大暴落
1987年10月19日、ごく普通の週末が終わり、ごく普通の週明けを迎えていました。しかし、NY市場が開くと大量の売り注文が殺到し、全く値が付かない状況となります。そして、寄り付いた後も“売りが売りを呼ぶ”連鎖となり、史上最大の暴落を記録しました。
この日のNYダウの終値は、前週末比▲507.9ドル安の1,738.7ドル。下落率▲22.6%は、それまでの暴落記録を大幅に更新したのです。
1日の下落率▲22.6%は今も破られていない
ちなみに、現在までの1日におけるNYダウ下落率トップ7は以下の通りです(小数点第2位切り捨て、以下同)。
第1位:1987年10月19日 ▲22.6%
第2位:1929年10月28日 ▲13.4%
第3位:2020年3月16日 ▲12.9%
第4位:1929年10月29日 ▲11.7%
第5位:1931年10月5日 ▲10.7%
第6位:2020年3月12日 ▲10.0%
第7位:1929年11月6日 ▲9.9%
間接的な第2次世界大戦の発端とも言われている1929年の世界大恐慌は、同年10月に起きた一連の株価暴落から始まりました。
実際、この歴代記録を見ても、1929年10月の株価暴落が凄まじかったことが分かりますが、ブラックマンデーはそれを遥かに上回る暴落でした。投資家や証券会社・銀行など市場関係者はもちろん、一般の人々も大パニックに陥った歴史的な暗黒の日だったことは間違いありません。
そして、一連のコロナ暴落時の記録も2つ入っていますので、やはり、今年3月の暴落は特筆すべきものだったことも確かです。
一般に、個別銘柄とは違い、株価指数(NYダウや日経平均株価など)が1日で▲5%下落すれば暴落と言われますから、▲10%超下落は大事件となります。
何しろ、今年3月16日にNYダウが約▲13%下落した時、あのトランプ大統領がツイッターで「God Bless the USA!(神様、米国をお救いください!)」と神頼みしたくらいです。ブラックマンデーはそれをさらに10%上回る暴落でした。
「下落率」に比べて重要度の低い「下落幅」を見てみる
なお、ご参考までに、現在までの1日におけるNYダウ下落幅トップ10も掲載しておきましょう。カッコ内は下落率です。
第1位:2020年 3月16日 ▲2,999ドル(▲12.9%)
第2位:2020年 3月12日 ▲2,353ドル(▲10.0%)
第3位:2020年 3月 9日 ▲2,014ドル(▲7.8%)
第4位:2020年 6月11日 ▲1,862ドル(▲6.9%)
第5位:2020年 3月11日 ▲1,465ドル(▲5.9%)
第6位:2020年 3月18日 ▲1,338ドル(▲6.3%)
第7位:2020年 2月27日 ▲1,191ドル(▲4.4%)
第8位:2018年 2月 5日 ▲1,175ドル(▲4.6%)
第9位:2018年 2月 8日 ▲1,033ドル(▲4.1%)
第10位:2020年 2月24日 ▲1,032ドル(▲3.6%)
下落幅で議論するのはあまり意味がなく、当然、下落率で見るべきです。ただ、それでも、コロナ暴落の記録が目立ちます。12年前のリーマンショック時にも大きな下落幅と下落率が記録されましたが、今回のコロナ暴落はそれを上回りました。
ブラックマンデー翌日、日経平均株価も大暴落
さて、33年前のブラックマンデーは世界に波及しました。日本も例外ではなく、翌日(10月20日)の東京市場は大暴落となりました。
この日の日経平均株価の下落率▲14.9%は、今でも1日に記録した最大の下落率として記録されています。そして、日本だけでなく、世界中の金融市場を大混乱に陥れました。それが、この「ブラックマンデー」だったのです。
ちなみに、あくまでも仮定の話になりますが、現在のNYダウがブラックマンデーと同じ下落率になると、1日で約▲6,500ドルの下落、日経平均株価の場合は約▲3,500円の下落となります。ただし、現在では前述したサーキットブレーカー制度の導入や個別株の値幅制限強化により、ここまでの大暴落発生はないと見られます。
しかしながら、今年3月の米国市場で“まさか”という状況が度々起きていることから、決して舐めてかかってはいけないでしょう。
ブラックマンデーを引き起こした要因は?
ここで重要なことは、ブラックマンデーを引き起こした理由が未だに不明ということです。
確かに、今となっては、米国の「双子の赤字」に対する懸念、FRB金融政策の不透明さ、ドル高に対する不安などが背景とされていますが、ハッキリ言って、後付の理由(こじつけ)に過ぎません。
これらの懸念材料は、ブラックマンデー発生のずっと以前から指摘されており、しかも、当時は“過度な懸念は不要”という楽観的な見方が大半でした。その意味で、ブラックマンデーは何の前触れもなく、突然起きたと言えましょう。
実は、1929年10月24日(ブラックサースデー)の株価大暴落も、ある日突然に起きたものでした。
今年の10月19日は33年前と同じ月曜日だが…
ブラックマンデーから33年が経ち、大暴落の記憶も薄れつつあります。しかし、今般のコロナ暴落を経て、大暴落の発生は決して非現実的なものではないと感じられたのではないでしょうか。今一度、株式投資には大きなリスクが付随することを認識すべきでしょう。
ちなみに、今年の10月19日は、33年前と同じ月曜日です。10月19日が月曜日に当たるのは、ブラックマンデー後も何回かありましたが、目立った下落は起きていません。今年も何事もなく過ぎるよう祈るばかりです。筆者の懸念が杞憂に終わりますよう。
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