キャッシュレス決済の広がりは資産形成にどう影響する?
LIMO / 2020年11月15日 19時0分
キャッシュレス決済の広がりは資産形成にどう影響する?
キャッシュレス社会の到来
2019年の消費税引き上げに合わせて政府がキャッシュレス社会へ大きく舵を切ったことは記憶に新しいところです。その後、新型コロナの蔓延で非接触型決済への嗜好が強まり、さらに2020年9月から始まったマイナンバーカードとの連動によるマイナポイント付与などの促進策で、キャッシュレス決済がさらに拡大すると予想されます。
2018年に経済産業省が発表した「キャッシュレス・ビジョン」によると、日本のキャッシュレス決済の比率は2015年で18.4%と世界と比べても非常に低い水準でした。ちなみに、主要国の同比率は韓国89.1%、中国60.0%、英国54.9%、米国45.0%といった具合ですから、日本も急ぎ普及させる必要があるのもわかります。
使いすぎにブレーキをかけられないかも
ところでクレジットカードやスマホ決済は、つい使いすぎてしまう傾向が気になります。現金で支払う時とプリペイドカードで支払う時では、買い物に対する躊躇感に違いがあると感じたことはありませんか。
行動経済学では「心の会計」という、人のお金に関する行動の「癖」についての研究があります。たとえば、買い物の時、現金で支払うより、スマホ決済アプリで支払う方が心持ちが楽だと感じたことはありませんか。
金銭的負担は同じでも、現金よりもスマホ決済の方が楽に感じるのは、スマホ決済の口座に現金を振り替えた時に、人は既に頭の中でこの金額を消費に回していると「仕分け」しているためといわれています。
行動経済学で行動バイアスと呼ぶこうした心理的な「癖」は、ほとんどの人間が持っているもので、合理的な行動ができない分、過剰消費の懸念につながります。ただ、それを理解することで、キャッシュレス社会でも、行動バイアスを抑制することができるはずです。
家計簿付けでは資産形成につながらない
過剰消費を抑える方法のひとつが家計簿でしょう。ただ、多くの人は家計簿をつけることが目的になってしまい、それが資産形成になかなか結びつかないようです。フィデリティ退職・投資教育研究所が2016年に行った「第3号被保険者アンケート調査」からは、そうした実態が浮かびあがりました。
調査対象の第3号被保険者、いわゆる専業主婦(夫)の方11,952人のうち、家計簿を付けている6,389人と付けていない5,412人を比べても、投資経験者の比率にそれほど違いはなく、家計簿付けはあまり投資と関係ないようです。
クレジット利用頻度の高い人ほど資産形成に前向き
しかし、クレジットカードの利用頻度でみると、クレジットカードの利用頻度が高いほど投資をしていることが窺えます。日々の買い物でもできるだけクレジットカードを使う人の20.7%に投資経験があり、なるべく使わない人では6.9%に留まっています。
もちろん、「資産があるからクレジットカードをよく使う」、「資産があるから投資をしている」という可能性もあります。しかし、クレジットカードの利用明細や家計簿アプリの活用などいわゆる家計簿付けそのものは自動化し、それをもとに資産形成を考えていくのであれば、これはキャッシュレス時代の資産管理といえると思います。
<<筆者のこれまでの記事リスト(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E9%87%8E%E5%B0%BB%20%E5%93%B2%E5%8F%B2)>>
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
東奔西走キャッシュレス 第50回 外国人には不便?タイのキャッシュレス事情
マイナビニュース / 2024年5月2日 12時57分
-
【現金派vsキャッシュレス派】キャッシュレス派という回答が6割以上。「外食で店を選ぶときはキャッシュレス決済ができる店を優先する」という声も。
PR TIMES / 2024年5月1日 10時15分
-
便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月18日 19時0分
-
現金払いとカード払い、精神的苦痛がより大きいのはどっち?―英メディア
Record China / 2024年4月16日 6時0分
-
【キャッシュレス決済に関する調査】約9割の人が「PayPay」を利用!最も普及してほしい場所は「医療機関」
PR TIMES / 2024年4月11日 11時15分
ランキング
-
1円上昇、一時151円台 3週間ぶり円高水準、介入警戒も
共同通信 / 2024年5月3日 22時28分
-
2黒田東彦・日銀前総裁「円安は一時的」…NYの講演で見解、マイナス金利解除・利上げは「当然のこと」
読売新聞 / 2024年5月3日 17時45分
-
3いなば食品、大炎上も「ほぼ沈黙」の戦略的な是非 「沈黙は金」黙って耐える…のはもう通用しない
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 19時30分
-
4過度な動き「ならす必要も」=円安、介入コメントせず―鈴木財務相
時事通信 / 2024年5月3日 23時51分
-
5インフレ・金利上昇、マンション購入は急ぐべき? 長期では、マンション所有は3つのリスクの塊
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 11時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください