「年収1000万円貧乏」はなぜ起こる?600万円家庭の方が幸せそうな謎
LIMO / 2020年10月17日 20時20分
「年収1000万円貧乏」はなぜ起こる?600万円家庭の方が幸せそうな謎
外から見ると夫の収入が1000万円を超えた家庭というのは裕福に見えるものです。「勝ち組」「優雅な奥様」そんな風に見られることも多いのではないでしょうか。
しかし、実際にご主人が1000万円のボーダーラインを超えた家庭では「600万円くらいで和気あいあいとしている家より逆にしんどいのではないかと思う」との声も。いったいどういうわけなのでしょうか。
1000万円プレイヤーはどれくらい?
2020年9月、今年も国税庁から「民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf)」が発表されました。調査によりますと、1年を通して勤務した給与所得者5255万人のうち、1000万円以上の年間給与所得を得ているのは約256万人で、全体のおよそ4.8%にあたります。給与所得者の約20人に1人が「1000万円プレイヤー」と考えると、やはり「勝ち組」なんていわれるのもわかる気がします。
しかし、実際にご主人が大台に乗っている家庭でも「裕福になった実感はない」といいます。それよりも「600~700万円辺りの頃の方が体感的に幸せだった」と。いったいどういうことなのでしょうか。
収入とともに増える支出
それでは、1000万円家庭が「苦しい」と感じているのはどの部分なのでしょうか。今回、多くの方が口をそろえていたのが「教育に関するお金」でした。
「私の住む地区では、ある程度の年収が予想できるおうちのお子さんはみなさん中学から私立に通われる傾向にあるんです。私は田舎で育ったので、中学から私立に通うのは一部の勉強のできる子だけでした。
でも、都心に住んでいるとそうとばかりは限らないんだということを知りました。勉強のできる子は進学校、個性を伸ばしたい子は面倒見がいいと評判の学校を目指す。皆さんお子さんの特性に合った教育を早くから取り入れてあげようという姿勢があるんです。そんな話を聞いてしまうと『我が家も…』なんて気持ちになりますよね。だから我が家も子供と話し合って、息子の行きたい学校を目指すことにしたんです。
まずびっくりしたのが塾の費用です。『4年生からこんなにかかるの⁈』という驚き。うちは収入的に6年間私立の中高に通わせるだけの年収はあるだろうと思っていましたが、まさか入る以前からこんなにお金がかかるなんて。正直打撃だと思うこともありましたが『よりよい体験ができる機会があるのであれば経験させてあげたい』という気持ちが強く、通わせることにしました。
息子は運よく希望の私立の中学校に合格することができたのですが、学校に入ってまたビックリ。入学後も皆さん塾に通い続けていたり『ちょっとリッチな習い事』を当たり前にしているお子さんばかりだったんです」
「お金持ち」の多い環境に身を置いたことで「当たり前のようにもっとお金がかかった」。そういった循環が生まれることは確かに自然なことといえます。
知らなかった世界を知れたり、貴重な体験ができるのはとてもプラスなことですが、お金持ちと一言にいっても、中には桁が違う人がいる場合も。そういう人に合わせてすべてを得ようとするとお金は青天井ということを頭に入れておかないと、比較して苦しい気持ちになってしまうのかもしれません。
割り切った環境に身を置く
一方、年収600万円の家庭はどのようなケースが多いのでしょうか。
「我が家は私のパート代を入れても600万円代後半という感じなので、子供のお受験などは早くから頭に入れていませんでした。私立中学が魅力的なことは理解していますが、うちは夫婦ともに高校まで公立で育ち、それが嫌だったかというとそうでもないので身の丈に合った生活でいこうと話しています。そもそも、娘は地元が大好きなので『みんなと違う学校に行く』ということは頭にないと思います。
今までも自分より裕福な生活をしている人を見ることは当然ありました。羨ましいと思うこともありますが、上を見始めたらきりがない。向上心がないわけではありませんが、ない袖は振れませんから。教育費として学資保険などしていますが、これも無理のない範囲で。家族旅行も年に一回程度できているので、平均的な幸せだと思って暮らしています」
見ている「みんな」が違っている?
お子さんのいる家庭で大きく差が出る教育費。最も頭を悩ますところだと思います。楽しい経験をさせてあげたいし、将来につながる学びも受けさせたい。また、そこで培われる人付き合いなども大きく変わってくるとなると、親も慎重になってくるのも当然です。
収入が増えるにつれて、支出も今までと変わってくるという人も多いはず。そこでまた、新たな魅力的なものに出会うとあらば、ますますお金は必要になってきます。
子供の頃「みんな持ってるから自分も欲しい」という気持ちになったように、付き合う人や周囲の環境がそうだと、人はもっと欲しいという気持ちが高まってくるもの。今回見てきた「収入が多いにも関わらず貧しく感じてしまう」逆転現象は、こういった周囲との比較で感じてくる部分が多いのかもしれません。
【参照】
国税庁「民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf)」
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