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小学校の「朝読」で人気の本は? 実は活字離れしていない子どもたち

LIMO / 2020年10月22日 13時0分

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小学校の「朝読」で人気の本は? 実は活字離れしていない子どもたち

多くの小中学校では、1時間目の授業が始まる前の10分から15分程度を「朝の読書タイム」(朝読)としています。また、小学校の低学年向けに保護者有志や地域住民のボランティアが紙芝居や絵本の読み聞かせを行い、子どもと本をつなぐ架け橋として活動している自治体もあります。

朝の読書推進協議会が発表したデータによると、朝の読書タイムを設けている小学校は全国平均で8割(2020年3月2日現在)になることが分かりました。そこではどんな本が読まれているのでしょうか。

低学年では楽しく気軽に読める本が人気

読書というと「じっくり読む」というイメージがありますが、小学校の読書では話の展開が早いものや学習まんがなどが人気です。2018年度に朝の読書として読まれた本(朝の読書推進協議会調べ、株式会社トーハン発表)の小学校の結果を見ると、低学年では「かいけつゾロリ」「おしりたんてい」「ルルとララ」(いずれもシリーズ)などが名を連ねています。

「かいけつゾロリ」シリーズは映画化やアニメ化もされており、男女問わず子どもたちに大人気。主人公のゾロリと仲間のイシシとノシシの3人が繰り広げる珍道中という基本設定は初期から変わらないものの、その時の流行を取り入れたパロディやイラストも子どもを魅了しているようです。

また、学習まんがのジャンルには「科学漫画サバイバルシリーズ」や「どらえもん科学ワールドシリーズ」などがありますが、こうした人気作品は学校の図書室でも争奪戦になるようです。筆者の子どもたちは図書室に行っても棚が空っぽで、滅多に手にすることができないと嘆いていました。読んでいて楽しかったり漫画であっても勉強に役に立つ本を求める子が多いようです。

小学校入学当初は絵本を読んでいる子でも、徐々に周りの子が読んでいる本に興味を持ち始めます。そして、自分の好きなジャンルやシリーズを見つけ、自ら本に手を伸ばすようになってきます。朝読のために本を購入する際は、親子で話し合って「確実に読める本」を子ども目線で選ぶことも必要でしょう。

朝読と相性抜群の5分シリーズ

朝読が定着してきているため、出版社もニーズに応じた本を出しています。高学年になると「5分後に意外な結末シリーズ」「5分シリーズ」など朝の読書タイムに特化した作品が人気を集めています。

高学年になると徐々にページ数の多い本を読むようになってきますが、朝の読書タイムは時間が限られています。朝読やすきま時間の読書に特化したこれらのシリーズは少子化や出版不況の中でも最新刊が続々出版されるなど、各出版社が力を入れています。

中でも2017年4月に出版された「5分シリーズ」(河出書房新社)は累計50万部を到達するなど勢いに乗っています。また、初版が2013年と先駆者である「5分後に意外な結末シリーズ」(学研)はシリーズ累計300万部を突破。もし、学校の朝の読書タイムがなければここまでの数字を叩き出すことは難しかったのではないでしょうか。

内容の面白さはもちろん大切ですが、短時間で読み切れることを打ち出したことが大きかったといえます。タイトルに「5分」とあると、読者である子どもたちも「これならすぐ読める」と一目で分かります。それが大ヒットにつながったのかもしれません。

朝の読書タイムだけしか読まない子もいるが…

全国学校図書協議会では全国の小中高を対象にした児童生徒の読書状況を毎年調査しています。第65回目となった昨年6月に行われた調査では、小学生(4~6年生)が2019年5月に読んだ平均読書冊数は11.3冊になりました。30年前の1989年では平均6.3冊だったことを考えると、小学生の活字離れが進むどころか本を読む機会は増えているようです。

こうして子どもが本を読む機会を提供している朝の読書タイムですが、やはりその時間にしか読まない子も多いようです。朝読は「本に触れることがない」という状況を避けることにはつながっていますが、普段から読書習慣のある子とない子は学年が上がると顕著になってきます。

筆者の子どもが本を読まない同級生に理由を聞いてみたところ、「借りて家に持って帰るとなくしそうだから」と主張する子もいれば、「学校で読んで家ではゲームやYouTube見るから時間がない」と言う子もいたそうです。

その一方で、友達が読んでいる本を「面白そうだから次借りる」「親が本を読めとうるさいから、楽に読めそうな5分シリーズを買ってもらう」と、朝読が新たな本を読むきっかけとなっている子もいます。

人生を豊かにする読書

現代はスマートフォンを使えば何でも瞬時に分かる時代ですが、断片的な情報が多くなるきらいもあります。そんな中でも、簡単に忘れない知識や教養が身につく読書の価値はむしろ高まってきているのではないでしょうか。

もちろん、読書習慣の有無が直接学力差に影響を与えるとは言い切れません。しかし、自発的に多くの本を読んできた子の方が、問題を読むスピードや語彙力を身につけやすいでしょう。小学校の朝の読書タイムを良い機会とし、親子で図書館や書店に足を運んでお子さんや自分用の本を探してみてはいかがでしょうか。

【参考資料】
「2018年度 朝の読書で読まれた本(https://www.tohan.jp/news/upload_pdf/20190515asadokuyomaretahon.pdf)」(朝の読書推進協議会調べ、株式会社トーハン発表)
「学校図書調査(https://www.j-sla.or.jp/material/research/dokusyotyousa.html)」(全国学校図書協議会 )
「5分シリーズ(http://web.kawade.co.jp/special/sp-gofun/)」(河出書房新社)
「5分後に意外な結末シリーズ(https://gakken-ep.jp/extra/5fungo/series01.html)」(学研)

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