40年後にもらえる年金は増える?将来の年金受給額と老後資金
LIMO / 2020年10月25日 18時45分
![40年後にもらえる年金は増える?将来の年金受給額と老後資金](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_19898_0-small.jpg)
40年後にもらえる年金は増える?将来の年金受給額と老後資金
年金については、2019年の「老後2,000万円問題」を筆頭に暗いニュースがとても多いですよね。筆者の周りでも年金はもらえないと考えている人もいるくらいです。
このような状況において、年金が増える可能性があると聞いたらいかがでしょうか?
筆者はとても嬉しく感じます。
どうして増える可能性があるかというと、厚生労働省が将来の年金について試算した全6パターンのシミュレーションのうち、年金額が増えるパターンが3つ、ほぼ横ばいが1つ、微減するのが2つという結果だったからです。
国としては年金を増やす未来を作ろうとしているのですね。実際に全6パターンのシミュレーションのうち、年金が増加する3パターンでは老後2,000万円問題が解決しています。しかし、残りの3パターンでは現在より厳しい老後生活となってしまいます。
そして、こちらは筆者の個人的な意見ですが、仮に年金が増加する未来が訪れたとしても、投資はした方がいいと考えています。
この記事では、将来の年金の受給額のシミュレーション、老後資金作りには投資がおすすめの理由、そして、今私たちにできる対策について解説します。
私たちが年金をいくらもらえるのかはタイムマシーンでもない限りわかりません。しかし、国の方針を知ることで、対策を打つことは可能だと思います。
将来の年金受給額のシミュレーション、いったいいくら貰える?
厚生労働省が5年ごとに実施する財政検証により、将来の年金の受給額がシミュレーションされています。直近では2019年に行われました(※1)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html)。様々な検証項目がありますが、この記事では2060年に年金がいくらもらえるのかというシミュレーションについて解説します。
シミュレーションのモデル世帯
シミュレーションのモデル世帯は夫が会社員で、妻は専業主婦です。夫の給料は平均年収と同じです。こちらのモデル世帯が2019年時点で老後を迎えている場合、夫婦合算で月22万円の年金を受給できます。
2060年時点での年金額
財政検証にはケースⅠ~ケースⅥまでの6つのシミュレーションがあります。ケースⅠ〜ケースⅢは、内閣府試算の成長実現ケースに基づき(※2)(https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/shisan.html)、経済成長と労働参加が進んだ場合のシミュレーションです。
ケースⅣ〜ケースⅥは、内閣府試算のベースラインケースに基づいており、ケースⅠ〜Ⅲに比べ、経済成長と労働参加が進まなかった場合のシミュレーションになります。それでは全6ケースの2060年時点での年金額を見てみましょう。
ケースⅠ:月32万7,000円
ケースⅡ:月30万7,000円
ケースⅢ:月27万6,000円
ケースⅣ:月21万9,000円
ケースⅤ:月20万8,000円
ケースⅥ:月18万8,000円
(※年金額は物価上昇率で2019年度に割り戻した実質額となっています)
かなり開きがありますね。現状のモデル世帯は月22万円なので、ケースⅠ〜Ⅲでは年金の受給額が大幅に増えています。
老後2,000万円問題は解決!?
先ほどのシミュレーションのうち、ケースⅠ〜Ⅲでは老後2,000万円問題は解決しています。
老後2,000万円問題は、年金だけでは生活費が足りず、仮に老後を30年とした場合、おおよそ2,000万円不足するといったものでした(※3)(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html)。生活費は夫婦二人で月26万4,000円で計算されています。
ケースⅢでも年金は月27万6,000円もらえているので、老後は年金だけで黒字生活となり、老後2,000万円問題は解決ですね。
老後資金作りには投資が必須?
昨今、投資が非常に盛んになりつつありますが、その理由の一つとして、年金の不安が挙げられると思います。ケースⅠ〜Ⅲでは老後2,000万円問題は解決しましたが、それでも老後の資産作りには投資は必須だと考えます。
なぜかというと、ケースⅠ〜Ⅵの全てのケースでインフレが進んでいるからです。もらえる年金額は増えたとしても、インフレにより物の価格が上がり、貯めたお金の実質的な価値は目減りしているということです。
ケースⅠを例にとって詳しく解説します。
ケースⅠではインフレ率が2.0%で計算されています。インフレとは物の値段が上がることで、インフレ率2.0%ということは昨年100円で購入できたものが今年は102円になっているということです。
2013年1月22日からインフレ率の目標は2.0%と定められているので、それを継続して達成できたというシミュレーションですね(※4)(https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2013/index.htm/)。そして、インフレ率2.0%が今後40年間継続できたとすると物の値段は今の2.2倍にもなります。
つまり、現時点で2,000万円の資産を持っていたとしても、40年後の価値は現在の1,000万円以下になってしまっているということです。せっかくお金を持っていても価値が減ってしまうのはもったいないですよね。
ケースⅠ〜Ⅵの全てにおいてインフレを前提としていました。そのため、老後への資産作りには投資が必要だといえます。
まとめ
この財政検証にはとても大切なことが書かれています。
繰り返しになりますが、それはケースⅠ〜Ⅵの全てのケースにおいてインフレを前提としていることです。一般的にはインフレが起きると株価も上がりますので、私たちの資産形成において投資をすることが非常に重要になってきます。
毎年2%株価が上がると仮定した場合、月3万円を40年間積み立てると、40年後の価値は2,203万円になります。また、過去の歴史を見ると40年間の平均利回りが5%を超える商品も存在します。
もし、そういった商品に毎月3万円積み立てると、40年後には4,578万円にもなります。これらの資金を一括で取り崩すのではなく、運用しながら取り崩せば老後の金銭的な不安を解消することにもつながりそうです(※5)(https://www.daiwa-am.co.jp/special/100years/simulation.html)。
今、私たちに必要なことは将来を悲観することでも、現実から目を背けることでもなく、お金の知識を身につけて投資を始めることだと思います。
参考
(※1)「将来の公的年金の見通し(2019年財政検証)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html)厚生労働省
(※2)「中長期の経済財政に関する試算」(https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/shisan.html)内閣府
(※3)金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理(別紙1)」(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html)
(※4)「金融政策決定会合議論要旨 2013年1月21、22日開催分」(https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2013/index.htm/)日本銀行
(※5)「人生100年時代シミュレーション」(https://www.daiwa-am.co.jp/special/100years/simulation.html)大和アセットマネジメント
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