厚生年金と国民年金だけでは老後に安心できない3つのワケ
LIMO / 2020年10月26日 6時5分
厚生年金と国民年金だけでは老後に安心できない3つのワケ
2019年は「老後資金2000万円問題」が話題になったというのをご記憶にある方も多いのではないでしょうか。
これは、老後の年金収入の他にざっくりと2000万円がないと困りますよというもので、大きく注目されましたが厚生年金と国民年金などの公的年金だけでは、ゆとりある老後生活を送れないのでしょうか。
この記事では、公的年金の平均的な支給額と、不足分はどのようにしたらいいのかについて解説します。
年金の仕組み
日本の年金制度は3階建ての構造になっています。1階部分は国民全員が加入する「国民年金」、2階部分は職業に応じて上乗せ給付をおこなう「厚生年金」です。
1・2階部分は、国が社会保障の一環として運営していて「公的年金」と呼ばれています。そして、3階部分に企業や団体などが運営している「企業年金」などがあるのです。
厚生年金と国民年金で受け取れる額
公的年金(厚生年金+国民年金)では、どれほどの額を受け取れるのでしょうか。平成30年度・厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省年金局)によると、年金の平均受給額(月額)は、以下の通りです。
国民年金のみ(自営業・専業主婦など) 5万4614円
国民年金+厚生年金(会社員・公務員など) 14万3761円
夫婦2人(会社員+専業主婦)の場合、月額平均19万8375円を年金として受け取れる計算になります。
※ただし、国民年金については、基礎のみ共済なし・旧国年の受給者。
公的年金だけではゆとりある生活を送れない
公益財団法人生命保険文化センターが発表した意識調査によると、夫婦2人が老後を生活するために必要な生活費の月額は、最低日常生活費では月額で平均22.1万円。ゆとりある老後生活費は平均36.1万円となっています。
この意識調査を前提にすれば、公的年金の月額平均19万8375円だけでは、最低日常生活費を賄えないことになり、不足分は貯蓄などを充てる必要があります。
必ずしもすべての方の生活水準が意識調査を前提にするというものではないですが、計算上はそう見えるという点については、認識しておきたいところです。
人生100年時代を迎え定年後にまとまったお金が必要
会社に勤めているサラリーマンは定年があります。また自営業やフリーランスの人は年をとれば若い頃のようには働けなくなります。つまり収入が大幅に減ったり、なくなったりするリスクがあるのです。
しかし日本人の平均寿命はどんどん伸びていますので、収入が大幅に減ったり、なくなったりする期間もどんどん長くなっています。そのような状況に備えて貯蓄が十分にある人ならいいのですが、誰もがそういうわけにはいきません。ですから、生活するための資金をあらかじめ用意しておく必要があります、その手段の一つが「自分年金」なのです。
老後の安心のためには「自分年金」が必要
年金の3階部分の企業年金は、会社が運営しているので退職金の変形といえます。
しかし、企業年金はすべての会社にあるわけではありません。会社勤めの一部の人しか企業年金には入れないのです。またフリーランスや自営業の人には、企業年金はありません。
ですから「自分年金」をつくる必要があるのです。自分年金とは、自分でお金を積み立てて準備する年金。国の年金は誰でももらえますが、会社の年金をもらえない人が多いので、自分年金で不足分をカバーして老後に備えるのです。
iDeCoが自分年金の決定版
自分年金にはいくつかの種類があります。たとえばフリーランスや自営業の人には「国民年金基金」という制度があります。ただし、国民年金基金は公務員や会社勤めの人は利用できません
ただ、公務員や会社勤めの人には「財形年金貯蓄」という給料から天引きをして、自分年金のための仕組みが用意されている場合もあります。
一方、これまで専業主婦は自分年金として利用できる制度がありませんでしたが、iDeCoは、専業主婦でも加入できる自分年金を利用するための国の制度です。
原則20歳から60歳であれば、自分の老後資金をつくるために利用できます。運用を自ら行い、その運用結果に応じて受取額が異なる制度です。
iDeCoは公務員や専業主婦、会社の年金がある会社に勤めている人でも、原則として誰でも利用できるのです。どんな職業や立場の人でも加入できるという点から、iDeCoは自分年金の決定版といえるでしょう。詳しくはiDeCo公式サイトを確認いただくことをおすすめします。
まとめにかえて
国民年金や厚生年金などの公的年金だけでは老後の最低限の日常生活費も賄えず、ゆとりのある老後生活のお金として考えると全くと言っていいほど足りないことが分かります。老後はある程度の貯蓄を用意しておくか自分年金が必要となるのです。
自分年金にはiDeCoが最適です。会社員や公務員・専業主婦など、どんな立場や職業の人でも加入できるからです。ゆとりある老後生活を送るために、iDeCoで自分年金を用意してみてはいかがでしょうか。
参考資料
生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/7.html)
厚生労働省年金局「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/000578278.pdf)
iDeCo公式サイト(https://www.ideco-koushiki.jp/guide/index.html)
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