高成長に死角なし? 激安「業務スーパー」を運営する神戸物産の業績・株価はうなぎ上り
LIMO / 2020年10月30日 21時0分
![高成長に死角なし? 激安「業務スーパー」を運営する神戸物産の業績・株価はうなぎ上り](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_20030_0-small.jpg)
高成長に死角なし? 激安「業務スーパー」を運営する神戸物産の業績・株価はうなぎ上り
生き残りをかけた熾烈な戦いが繰り広げられるスーパーマーケットやコンビニなどの小売業界。特にスーパーは大規模な物流網・倉庫を擁する企業が価格競争で優位に立てることを背景に、イオンとセブン&アイ・ホールディングスの2社だけで46%のシェアを占めています。
一方、こうした状況でも店舗数を伸ばしているスーパーがあります。「業務スーパー」や「肉のハナマサ」などの業務用食品スーパーで、1g単位の価格が従来型のスーパーよりお得なのが特徴です。
新型コロナが経済に大打撃を与え、収入面でも厳しさが増す中、業務用スーパーは家計を支える存在として今後さらに普及していくかもしれません。
業務用スーパーが成長を支える神戸物産
業務用スーパーの中でも「食の製販一体体制」を掲げる神戸物産が運営する「業務スーパー」は、自社グループ23工場で生産されているプライベートブランド(PB)商品の高人気で同業他社と差をつけているようです。
店に入ると、1kgわずか460円のウインナーや10個入り348円のベルギーワッフルなど、お徳用な商品が目につきます。全国に広がる店舗数も、2011年度末時点で614だったものが2015年度末には747店、2020年7月末時点で866店と増加を続けています。
近年の業績〜伸びが続く売上高、利益、株価
神戸物産の売上高は事業の主力である「業務スーパー」の店舗数拡大と共に伸び続け、2017年10月期から2019年10月期まで2515億円⇒2672億円⇒2996億円と推移しました。また、直近の2020年10月期第3四半期では累計売上高が2594億円と前年同期比で18%増加しています。
利益面も順調に成長を続けています。営業利益は2017年10月期から146億円⇒157億円⇒192億円と拡大し、今期第3四半期累計は187億円で前年同期比29%増。当期純利益の推移は83億円⇒104億円⇒121億円で、今期第3四半期累計は117億円と前年同期比で25%増となっています。
利益面の順調な推移は単に店舗数が伸びたことだけでなく、店舗数拡大によって物流網や工場の効率化が進み、1店舗当たりのコストが減少したことも理由として考えられます。
直近の2020年10月期は新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛がありましたが、神戸物産は主力事業でほとんど影響を受けておらず、むしろ内食需要の増加によって売上高が伸びたとしています。
株価の動きも順調で、2017年度末から1200円台⇒1500円台⇒3200円台と上昇し、2020年8月には一時7000円を突破しました。特に2019年以降の急激な上昇は、タピオカブームによって「業務スーパー」PB商品の冷凍タピオカが爆売れしたことが要因です。
神戸物産の過去5年の株価推移
(/mwimgs/0/b/-/img_0bf01c11c7f5482322fd4b22628f791c115158.jpg)拡大する(/mwimgs/0/b/-/img_0bf01c11c7f5482322fd4b22628f791c115158.jpg)
今後の展開〜ドラッグストアチェーンやEC事業者の台頭を警戒
自社工場で大容量のPB商品を生産して販売するという方法は一見従来型のスーパーにもできそうに見えます。しかし、特に都市部では店舗面積が限られている中で業務用商品を並べて商品数を増やすのは高コスト化につながる上、大容量商品を求めていない高齢者の足が遠のいてしまうというデメリットも考えられます。
そのため「業務スーパー」が今後も店舗数を伸ばし続ければ、既存スーパーによる影響を受けることなく業務用スーパーを求める消費者の間で高いシェアを占めることができるかもしれません。神戸物産としては長期計画で「業務スーパー」の店舗数1000店を目標としており、今後も安定した成長が期待できます。
一方で同社は、ドラッグストアチェーンやEC事業者の台頭を警戒しています。仮にウーバーイーツのようにアプリとギグワーカーの組み合わせで低価格を実現する事業者がスーパー業界に現れた場合、迅速に対応できなければシェアを奪われる恐れもあります。
まとめ
一般消費者の間で業務用スーパーの認知度が高まるとともに、自社PB商品の展開によって「業務スーパー」は成長してきました。これによって神戸物産の売上高は増加し続け、効率化によって利益面でも良い成績を残しています。
生活必需品を扱う業種であるためコロナの影響に関係なく今後も成長し続けると見込まれますが、急激な時代の流れに遅れないことが成長を確実にするポイントでしょう。
【参考資料】
株式会社神戸物産 2020年10月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/IRNews/644/644_20200910.pdf)
株式会社神戸物産 2019年10月期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/IRNews/613/613_20191213.pdf)
株式会社神戸物産 2018年10月期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/IRNews/613/613_20191213.pdf)
株式会社神戸物産 2020年10月期第3四半期決算説明資料(https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/IRNews/643/643_20200910.pdf)
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