定年60代。貯蓄ってどのくらいあれば安心?
LIMO / 2020年10月30日 10時0分
定年60代。貯蓄ってどのくらいあれば安心?
60代、仕事や子育てがひと段落して、生活が大きく変わる人が増える時期です。さらにいうと、定年退職金でまとまった金額が手に入った、子どもの教育費がかからなくなった、といった理由で家計に余裕が出る世帯が多い時期でもあるでしょう。
定年延長、再就職、起業といったかたちで社会と接点を持ち続ける熟年世代も増えています。「人生100年時代、老後の生活は長い!」元気なうちはできるだけ長く働き、老後資金を確実に貯めていこうと考えている人も多いはず。
60代で定年を迎える人が多い、熟年世代の預貯金事情を、ちょっとのぞいてみましょう。
定年60代、預貯金「なし」の割合はどれくらい?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2019年)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/)」によると、60代の調査世帯のうち、金融資産を保有している世帯は76.4%、 金融資産を保有していない世帯は23.6%となっています。
備えあれば患いなし。「まさか」の事態が起こった時、やはり貯蓄があるとないでは安心感が違います。貯蓄があるに越したことはありませんが、全体の25%弱の世帯に、預貯金がないことがわかります。
定年60代。どれくらい資産をもっているの?
では、先述の調査から、金融資産を持たない世帯も含めた「年齢別金融資産保有額」より、60代の金融資産保有額をピックアップしていきましょう。
100万未満…3.5%
100~200万未満…4.0%
200~300万未満…3.2%
300~400万未満…3.9%
400~500万未満…2.7%
500~700万未満…5.9%
700~1,000万未満…5.2%
1,000~1,500万未満…9.8%
1,500~2,000万未満…5.8%
2,000~3,000万未満…9.1%
3,000万以上…15.4%
金融資産非保有…23.7%
無回答…7.9%
全体の平均は1,635万円ですが、中央値は650万円となります。ちなみに50代の平均は1194万円、70代以上の平均は1,314万円で、全世代の平均値からしても、60代がいちばん多く資産を保有する結果となっています。
60代の金融資産が増減する理由は?
多くの人にとって、60代はライフスタイルが大きく変化する時期。それにともない、保有資産にも変化が起こるのでしょうか。60代で前年度より資産の増減があったかどうかをみていきます。
増えた・・・13.7%
変わらない・・・48.3%
減った・・・32.9%
無回答・・・5%
「増えた」と答えた人が13%であるのに対し、「減った」人はその2倍以上の32%となっています。また、「減った」人、「増えた」人の理由、上位3位についてもみていきましょう。
資産が「減った」理由 トップ3
定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから・・・53.2%
耐久消費財(自動車、家具、家電等)購入費用の支出があったから・・・31.2%
株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから・・・23.1%
資産が「増えた」理由 トップ3
定例的な収入が増えたから・・・28.4%
相続、退職金等による臨時収入があったから・・・27.4%
定例的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから・・・25.3%
リタイアする人が増える世代であることから、資産が前年より目減りしたという人が、「増えた」人を上回っていることがわかります。
「定期的な収入が減ったので金融資産を取り崩した」という人が半数程度存在する点には着目すべきかもしれません。年金だけで生活費を賄うことが難しい、そんな生活の不安を垣間見ることができるような気がします。
60代。貯蓄はどのくらいあれば安心できそう?
では、60代の人は、預貯金をどのくらい保有していると安心だと考えているのでしょうか。
同調査でみる60代の目標残高の平均値は2,634万円、中央値が2,000万円となっています。老後2,000万円問題の影響でしょうか、2,000万円程度は保有しておきたいと考えている人が多いことがわかります。また全体の約30%が2,000万円以上の保有を希望しており、3,000万円以上を希望する人も全体の約22%となっています。
さいごに
60代の保有資産の平均は、他の世代よりは高いという結果は出ています。でも油断は禁物です。本格的な老後生活に向けた準備の終盤といってよい時期に、資産が「増える」比率より「減る」比率の方が高いからです。
いわゆる「2,000万円問題」の影響なのか、老後は最低限2,000万円が必要だという意識が定着しつつあるようです。とはいえ、ライフスタイルは人それぞれ。「ゆとりある生活」にどのくらい必要となるかも人によって異なります。
ただ、「60代でイチから資産形成を始めるのは難しいことが多い」という点は、すべての人に共通していえることかもしれません。現役世代のうちから、できるだけ早めに老後のお金について意識していくことが大切になってきそうですね。
【参考】
「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和元年調査結果(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/)」金融広報中央委員会
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